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2021/03/08

試合レポート

■グリーンロケッツ、「パンチ・ファースト」で先制するも、二の矢を継げずヤマハに敗れる!

 6日のヤマハ発動機ジュビロ戦は、NECグリーンロケッツにとって、さまざまな意味を持つ試合だった。
 アタックが改善され、毎試合いい形でトライも獲れているのに、まだ白星を挙げられない状況を打破するための試合であり、今季初めて関東地方で行なわれる試合でもある。まして会場は、聖地・秩父宮ラグビー場だ。
 選手たちにも、それぞれ思いはあった。



 ヤマハが誇る強力なスクラムにどう対処するのか、1番から3番までのフロントロー3人を中心にFWは対策を練り、準備を重ねてきた。その真価が問われる。
 バックスも、今季は大きくボールを動かすスタイルを採用しているヤマハのアタックをどう守り、アタックに転じたときにどう崩すか。こちらも、これまで2試合でつかんだ手応えと、課題に対する修正力が問われることになる。
 そして――。
 FB吉廣広征には、個人的な強い思い入れもあった。
 桐蔭学園高校1年生のときに佐賀工業高校1年生チームとの練習試合で対戦して以来、大学でも社会人でもしのぎを削ってきた“同期”でありライバル、今季限りでの引退を宣言しているヤマハFB五郎丸歩との“最後の対戦”でもあったからだ。舞台は、お互いに筑波大学と早稲田大学で同じ15番を背負った頃から何度も対戦している秩父宮だ。
 気合いが入らないわけがなかった。



 最初に見せ場が訪れたのは吉廣だった。
 グリーンロケッツは、ラインアウトでLO山極大貴がボールを確保すると左へ展開。NO8ジャック・ラムが力強く前に出てラックを作り、さらにボールを左に動かす。SH中嶋大希からパスを受けたSOアレックス・グッドが少し長くボールを持って間を作り、その脇にCTBベンハード・ヤンセ・ヴァン・レンスバーグが走り込んでパスを受け、一気にヤマハ防御を突破する。
 左に待っているのは吉廣と、WTB宮島裕之だ。
 ベンハードはタックルにきた五郎丸を引きつけて吉廣にパス。吉廣も冷静に宮島へとパスを通して、試合開始から1分16秒でグリーンロケッツが先制トライを挙げた。
 開幕戦同様に「パンチ・ファースト」が実を結んだのだ。
 しかし。
 2分後に、流れが暗転する。
 五郎丸が蹴ったハイパントをグッドがキャッチ。グッドは、プレッシャーを浴びながらボールを後方の吉廣に送り、吉廣が地域を挽回すべくキックを蹴る。が、このボールをヤマハWTBマロ・ツイタバがチャージ。そのままトライに結びつけ、試合は7―7の振り出しに戻った。
 吉廣が、噛み締めるように試合を振り返る。
「ゴロー(五郎丸)とは、佐賀工業との1年生同士の試合で対戦して以来約20年、同じポジションだから、ずっと意識してきました。彼との対戦が最後だと思うと、個人的にも、チームとしても、勝ちたい思いが強くありました。だから、試合を楽しみにしていたのですが、結果はショックでした。今から思うと、ゴローと戦うことにフォーカスし過ぎましたね。少し冷静ではなかった」
 そして、こう続けた。
「先制した直後にキックをチャージされてトライを獲られたのは、チームにとってマイナスでしたが、すぐに気持ちを切替えることはできました。アタックでも、宮島を上手く活かせたのはすごく良かったと思いますが……」



 確かにグリーンロケッツは、悪くなりかけた流れを断ち切るように、6分にはCTBマリティノ・ネマニがヤマハからボールを奪って反撃。中嶋がガラ空きとなったヤマハ防御の背後にキックを蹴り込み、WTB飯山竜太が追走して、ゴール前でマイボールのスクラムを得た。
 2発目のパンチを叩き込んで試合の主導権を奪い返したい場面だ。
 しかし、ここでショックを受けたのは、グリーンロケッツだった。
 8分、チャンスのスクラムを一気に押し込まれて反則をとられたのだ。
 右PR土井貴弘が苦い表情でこの場面を振り返った。
「開幕戦もそうでしたが、今季はこれまで最初のスクラムが課題でした。だから、対策を練ってきたのですが、思っていた以上にヤマハの圧力が強くて、受けてしまった。その後は、少しずつ修正して、ボールをキープできるようになったのですが、最初にペナルティを取られて、レフェリーに『ヤマハの方が、スクラムが強い』という印象を与えてしまったので、どうしてもスクラムでの反則が多くなってしまいました」
 逆サイドの左PR瀧澤直も、こう話す。
「絶好のチャンスにボールを出せなくて、本当にバックスに申し訳なかった。しかも、それがファースト・スクラムだったので、チームとしても痛かった。あそこを得点に結びつけられなかったのは、フロントローとしてすごく責任が重い……」



 グリーンロケッツは、そこから3トライを奪われ、スコアは7―26と開いて前半の終盤に突入する。その間、グリーンロケッツも決定的なトライチャンスを作り出したが、中嶋からベンハードへのラストパスのタイミングが合わずに、スコアを刻めない。
 それでも、37分にはネマニがヤマハから反則を誘って反撃。ラインアウトから左に展開し、ネマニ、瀧澤で2つラックを作って防御にくさびを打ち込み、グッドが吉廣に長いパスを送る。抜け出した吉廣は、左にいる宮島の位置を確認すると、一度内側に切れ込んで防御の目をすべて自分に向け、フリーになった宮島へパス。宮島が2つ目のトライを挙げて、グッドのコンバージョンで14―26と追い上げた。「宮島を上手く活かせた」場面だった。
 さらに直後のキックオフリターンから、飯山が相手の落としたボールを拾って10メートルラインまで前進。左へ大きくボールを動かして、タッチライン際でラックができる。そのとき、瀧澤がラックとタッチラインの間の狭いスペースにスッと移動した。
 ラックの最後尾でボールを出そうとしていた中嶋が、気配を感じて、瀧澤が移動したばかりの狭いサイドに走り出す。そして、防御を引きつけて瀧澤にパス。瀧澤が懸命に走ってトライに仕上げ、19―26と7点差に追い上げて前半を終えた。
「あれは、独断というか、僕の勝手な判断でした」と、明かしてくれたのは瀧澤だ。
「ラックの後ろを守るはずのヤマハの選手がラックに入ったので、そのスペースがガラ空きになった。だから狭いサイドに移動したのですが、ダイキ(中嶋)が気配を察したのか反応してくれた。でも、チームの約束事とは違っていたので、走っているときにグッディ(グッド)が『ノー! そっちに行くな、チームのルールを守れ!』と、メッチャ怒っている声が聞こえていました(笑)」
 状況が刻一刻と変わる試合のなかで、瀧澤も中嶋も、スペースを鋭敏に察知したからこそ生まれたトライだった。



 だからこそ、後半に期待が膨らんだのだが――ヤマハが蹴り込んだキックオフをキャッチしたグッドが、ボールを蹴り返そうとしたところでまたもやチャージされ、いきなりゴールラインを背負っての防御から後半が始まった。
 果たして60秒間は耐えたもののトライを奪われて、点差を広げられる。
 そこからヤマハの強いランナーに前に出られては、タックルに入ったところでボールをつながれるオフロードパスを連続的に決められて、後半の30分間で19―52まで点差を広げられた。
 それでも、ラインアウトからフェイズを重ねて宮島がハットトリックとなる3つ目のトライを決め、さらにはモールを押し込んでHO川村慎がトライを追加。最後は捨て身の反撃に出てボールを奪われてトライを許したが、31―59で試合が終了した。
 共同キャプテンの中嶋は、こう試合を総括する。
「確かに今日はパンチ・ファーストで、いい形で先制できましたが、その後、ミスからポンポンとトライを獲られて、精神的に少し落ちた部分がありました。でも、それより、準備をしてきたディフェンスができなかった。特に、相手の強い選手がコンタクトしてきたときに、オフロードでパスをさせないように倒す練習をしてきたのですが、止めきれなかった。だから、準備してきたチームディフェンスを、個人個人がしっかりやりきること――それが、これからに向けた課題になります」



 吉廣は、少し違った視点から勝利への道筋をこう話す。
「チームを立て直すときには、話がディフェンスに集中することが多いのですが、いいアタックをずっと続けていれば、一番いいディフェンスになる。相手にボールを渡さないわけですから。特に今季は、アタックで早くボールが出ると、グッディのリズムでバックスラインが動いて、相手がどこでも十分に通じている。昨季とはアタック力がまったく違います。ただ、その分、相手はボール争奪のブレイクダウンに圧力をかけてきて、リズムを狂わせられることがあります。だから、アタックでボールを持ち込んだときに、反則をしない。早くボールを出す。そして、リズムを作る。今は、そこが一番修正しやすいし、勝つために修正すべきポイントだと考えています」
 防御と攻撃。
 それぞれアプローチは違うが、相手とコンタクトする接点でいかに優位に立つかを重んじている点で、2人の意見は同じ立脚点に立っている。
 だからこそ、次節の日野レッドドルフィンズ戦に向けて、浅野良太ヘッドコーチはこう言うのだ。
「ホームでの試合となる日野戦は、NECらしさを発揮して勝つことにこだわりたい。今季は、スペースにボールを運べばトライを獲れているので、あとはそのスペースにどうボールを運ぶか。そのために、ボール争奪のブレイクダウンにこだわろうと思います」
 昨季と違う新しいスタイルを見せながら、開幕3連敗とまだ結果を出せずにいるグリーンロケッツが、柏の葉公園総合競技場でのホームゲームでついに目覚めるか。
 日野戦は、13日(土)14時キックオフだ。






 



浅野良太HC


試合の入りが良かったのは、今日の収穫の1つです。
ヤマハ発動機ジュビロに対して、どこで勝っていくかも見せられたと思います。
ただ、プレーを積み重ねてゲームを進めるなかで、非常にもったいないミスが続いた。前半の15分間でペナルティが6個ありましたし、自分たちのミスで自分たちの試合運びを崩すようなところがありました。相手に崩されたのではなく、自分たちが失点の要因を作ってしまった。これが、これから変えないといけない部分です。
アタックに関しても、地域的にもボール支配率でも十分に相手にプレッシャーを与えることができているのに、攻撃を我慢強く続けてトドメを刺すことができていません。そこも反省すべき、もったいない部分です。
その結果として、選手たちがプレーの結末に一喜一憂するところが見られますが、それは経験豊富な選手を中心に、選手たちが自ら発信して変えなければならない部分でしょう。そうすることで、ゲームのなかに精神的な波が出ることを防ぐことができる。改善すべき部分ですね。
今日は、後半開始直後にサム・ジェフリーズが負傷して田中章司が入りました。想定していた交代ではなかったのですが、それでも田中は先週に続いてラインアウトで頑張ってくれましたし、山極大貴も、グラウンドでどんどん自信をつけさせて、将来的には代表に呼ばれるような選手に育てていきたいと考えています。
宮島裕之も、ハットトリックという結果だけではなく、FBをやっていた経験を活かして、後ろからチームにいろいろな指示を飛ばしていました。それが彼のこだわりでもあるでしょうし、いい働きをしていましたね。
次節はホーム柏の葉での日野レッドドルフィンズ戦になりますが、この1週間、どこでNECらしさを出すか。そこにこだわって準備をしたい。NECらしさを発揮して勝つことにこだわりたいと考えています。
今季は、スペースにボールを運べばトライを獲れているので、あとはそのスペースにどうボールを運ぶのか。そのために、ボール争奪のブレイクダウンにもこだわろうと思います。
ぜひ、応援、よろしくお願いします!



松尾健バックスコーチ


今季は、セットプレーからのアタックが、準備した通りにできるようになっています。今日の試合でも、「パンチ・ファースト」を実行できて選手たちの気持ちが上がったと思いますし、前半2つ目のトライも、相手の特徴を分析して準備した動きから生まれています。
その点では選手たちの実行力は上がっているのですが、ただ、ボールがどちらに入るかわからないような崩れた状態から、いかに自分たちのペースに持っていって、リズムを作り出せるか。前節のNTTドコモレッドハリケーンズ戦もそうだったのですが、あと少しでトライというところであわててしまう傾向がまだあります。我々のテンポでしっかりボールをキープしてアタックを続ければ、プレッシャーがかかっているのは相手の方です。だから、あわてずに気持ちをコントロールして、いかにトライに結びつけることができるか。それが課題ですね。
選手の理解度は上がっているので、あとはいかに落ち着いて、自分たちの役割を理解した上で、準備してきたことを実行できるかどうか。
単純に言えば、今の状況でプレッシャーがかかっているのはどっちなのかを考えること。
アタックしていれば、プレッシャーがかかっているのは防御側なのだということを理解すれば、こちらが焦る必要はない。実際、前半の終盤に2トライ続けてとったところでプレッシャーを受けていたのは、ヤマハの方でしたから。
こうしたメンタルな部分は、1つ勝利を挙げれば、選手たちの気持ちも変わって、結果につながるようになると思っています。
だからこそ、次節、ホームの日野戦は、ぜひとも勝ちたいですね。

(取材・文:永田洋光)
 
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NEC
グリーンロケッツ

vs

サントリーサンゴリアス

NECグリーンロケッツ

サントリー

31 5 - 36 76
26 40
T G PG DG PT   T G PG DG PT
1 0 0 0 0 6 3 0 0 0
4 3 0 0 0 5 4 1
5 3 0 0 0 11 7 0 0 1

2021/04/24 14:30

東京・秩父宮ラグビー場

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