2021/01/29
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開幕戦へ!グリーンロケッツ戦士の決意表明 第1回 WTB後藤輝也 「今季はチャンスメーカーとしてもフィニッシャーとしても活躍したい!」
-昨年からの新型コロナウィルス感染拡大の影響で、前代未聞のプレシーズンを過ごしてきたグリーンロケッツ戦士たちが、いよいよ2月20日から始まるトップリーグ最後のシーズンに挑む。
コロナ禍のなかで選手たちはピッチに立つ日を夢見ながら、何を思い、どう過ごしてきたのか。
決意表明の第1回は後藤輝也選手。
男子7人制日本代表を離れてグリーンロケッツに戻ってきた“走り屋”が、今の思いを語ります!-
※本取材は感染症対策に配慮し、リモート取材を行っています
新型コロナウィルスに感染しないために、昨年4月に最初の緊急事態宣言が出てからは、外食を極力しないように気をつけて、自宅でずっと食事をしています。チームから免疫力を高めるためのゼリーが配られたので、それもきちんと摂っています。
コロナ禍になる前は、試合前には好きなものを食べたいので、よくみんなと焼き肉を食べに行っていました。今も自宅で好きな献立を食べることはできるのですが、お店で美味しい食事を摂れなくなったのが、ちょっと悲しいですね。僕にとっての、気分転換でもありましたから。
早くコロナ禍が収束して、自由に食べに行けるようになればいいのですが。
※リモート取材中の後藤選手
※画像をクリックしてプロフィールをご覧頂けます
昨年4月に最初の緊急事態宣言が出た当時は、東京オリンピックの7人制ラグビー(セブンズ)男子日本代表スコッド(代表候補)に入っていました。
活動を自粛している間は、コーチから個人で取り組むメニューを与えられて、外に出ないで、家で取り組んでいました。基本的には器具を使わずに、自分の体重を使って行なうようなトレーニングです。そのとき心がけていたのは、何もしない1日を作らない、ということでした。自粛期間でも、家のなかでできるトレーニングはしっかりやる――それを一番心がけました。
ただ、東京オリンピックが延期となったときは、ちょっとモチベーションを失って、何もしない期間ができてしまいました。
今はスピードコーチについて、指摘されたことや与えられた課題を意識してトレーニングに励んでいます。
※自宅でできるトレーニングについて、スクワットで注意する点をアドバイス


15人制は80分間で試合が完結しますが、セブンズは、1試合の時間は短くても(7分ハーフ)、次々と組まれている試合で良いパフォーマンスを出し続けなければなりません。しかも、(順位がかかる)大会最後の方の試合にもっとも良いパフォーマンスを出さなければならないので、身体はどんどんキツくなっていく。
そこが15人制との一番大きな違いです。
初めてセブンズがオリンピックの正式種目に採用された2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、初戦で金メダル候補だったニュージーランドと対戦して勝ちました。あのときはあまりにも嬉しくて、疲れをほとんど感じませんでした(笑)。
その後もチームが上手く勝ち進んだので、最後の準決勝(対フィジー)、3位決定戦(対南アフリカ)は肉体的にキツかったのですが、序盤の3試合はあまり疲労を感じることもなく、ノリノリでプレーできました。現地では、テニスの錦織圭選手が見てくれていて、「頑張ってくれ」というメッセージも伝わりました。それも力になりましたね。
リオでは3位決定戦に敗れて、メダルにギリギリのところで手が届かなかったので、東京オリンピックは、これが(メダルを獲る)最後のチャンスだと思っていました。オリンピックという舞台にもう一度立ちたい思いもありました。でも、新型コロナウィルス感染拡大の影響で延期になり、トレーニングが中断した。
セブンズは、15人制とは全然違うフィットネスが要求されるので、「さあ、やろう」と思ってすぐにできるものではありません。セブンズに慣れながら、しっかり身体を作っていかないといけない。特に、オリンピックやワールドシリーズのようなトップレベルの大会では、1試合でのスタミナの消耗が激しいので、本当の実力をつけるには、トップレベルの大会に参加し続けることが大切です。でも、コロナ禍でセブンズワールドシリーズが中止となり、練習もできなければ試合もできなくなった。
僕自身も、オリンピックの延期が決まる前から、セブンズの動きに上手く身体が追いつかない――セブンズをプレーすることが以前よりもキツくなっている――と感じていました。原因が年齢のせいかどうかはわかりませんが、以前はセブンズをプレーしていれば体力的にもけっこうフィットしてきたのに、少しずつフィットするまでに時間がかかるようになってきた。
そこにオリンピックの延期で活動しない期間が挟まって、いいパフォーマンスを出せるのか不安になりました。セブンズをやることが難しくなっていると感じたのです。それならば、早い段階で15人制に戻ろう――そう決心して、グリーンロケッツに戻ってきました。
今回、トップリーグ開幕が延期になったことはショックでした。
ただ、今季は、コロナ禍の影響でプレシーズンの試合数が少なかった。開幕に臨むまでの準備期間も、僕が入社してから一番短かったので、この延期された期間に練習試合などが行なわれれば、そういう機会を通じてレベルを上げられるのでは、と前向きにとらえています。
僕自身、15人制はほぼ2シーズンにわたってプレーしていなかったので、今は感覚を取り戻しているところです。これは、チーム全体についても、同じことが言えると思います。今はチームとして新しいことに取り組んでいるので、もっと試合をこなして開幕に臨みたいというのが正直な気持ちです。
昨季、チームが負け続けていたときは、僕はセブンズの代表スコッドにいたのですが、すごく気になりました。チームの練習にずっと参加していなかったので、どういう状態なのかもわからなかった。「なんで?」というのが素直な気持ちでした。セブンズの合宿が明けて我孫子に帰ってきたときは、みんなと食事をしながら「どうしたの?」と聞いているような状態でした。
今季は、僕1人が加わったからといってチームがいきなり強くなるわけではありませんが、チーム全体をいい方向に持って行けるように、試合だけではなく練習でも意見を出し合うような雰囲気を作れればいい――そう考えています。
今季新しく加わった、元イングランド代表のアレックス・グッド選手は、いっしょに練習していて素直に上手いと思います。彼がチームを動かしているのですが、試合を重ねてさらにチームにフィットすれば結果が出るのではないか、と期待しています。本当にいい選手なんですよ。
だから今季は、FWが粘って粘ってボールを継続し、最後はバックスでフィニッシュするようなラグビーができるでしょう。相手より人数が余った状態で、バックスにいいボールが回ってくるようなシチュエーションが多くなると思います。
だからこそ、僕としては、そこでトライをしっかり獲りきるようにしたい。今季は、チャンスメーカーとしても、トライを獲るフィニッシャーとしても、どちらでも活躍したいと考えています。
※グリーンロケッツのトップリーグ2021試合日程(ファーストステージのみ)
今季はトップリーグ最後のシーズンになります。来年からは新しいリーグが始まる。
僕には、その新リーグで、トップのディビジョン1(12チーム)に入りたい、という強い思いがあります。これまでずっとトップリーグでプレーしてきたのに、新しいリーグでディビジョン1に入れなかった、というのでは本当に悔しいですからね。
そのためにも今季は、本当に頑張りどころです。
だからこそ、チーム目標であるトップ4に向けて頑張りたい。なんとしても、しっかり結果を残したい――それが、今の僕のモチベーションになっています。
■こぼれ話■足が速くなるためのアドバイス
どうすれば足が速くなるのか――あまり明確なことはわかりませんが、まずはちゃんとした走りをすることだと思います。これは専門家が近くにいないと難しいし、僕自身、走り方がすごく良いわけでもないのでアドバイスしづらいのですが、足の速い人や陸上競技の選手の走り方を意識してマネするのが良いと思います。
といっても、それほど簡単なことではなくて、3年間トレーニングを重ねてようやく少しだけ速くなるという話を聞いたことがあります。僕自身、セブンズ日本代表の外国人スピードコーチに「すぐに足が速くなる方法を教えてください」と、子どもみたいな質問をしたことがあるのですが、「そんな簡単なわけがないだろ!」と、ムチャクチャ怒られました(笑)。
つまり、長い期間トレーニングを続けなければいけないということですね。
※『足が速くなりたい未来のトップリーガーへアドバイス』として、質問したら面白い答えが返ってきた。
本人は謙遜しているが、重心のブレていない綺麗なフォームで走っていることが分かる。

(取材・文:永田洋光)
コロナ禍のなかで選手たちはピッチに立つ日を夢見ながら、何を思い、どう過ごしてきたのか。
決意表明の第1回は後藤輝也選手。
男子7人制日本代表を離れてグリーンロケッツに戻ってきた“走り屋”が、今の思いを語ります!-
※本取材は感染症対策に配慮し、リモート取材を行っています
■プレーヤーとして、コロナ禍にどう向き合ってきたか。
(後藤選手:以下同)新型コロナウィルスに感染しないために、昨年4月に最初の緊急事態宣言が出てからは、外食を極力しないように気をつけて、自宅でずっと食事をしています。チームから免疫力を高めるためのゼリーが配られたので、それもきちんと摂っています。
コロナ禍になる前は、試合前には好きなものを食べたいので、よくみんなと焼き肉を食べに行っていました。今も自宅で好きな献立を食べることはできるのですが、お店で美味しい食事を摂れなくなったのが、ちょっと悲しいですね。僕にとっての、気分転換でもありましたから。
早くコロナ禍が収束して、自由に食べに行けるようになればいいのですが。
※リモート取材中の後藤選手
※画像をクリックしてプロフィールをご覧頂けます
■自粛期間中のトレーニング
昨年4月に最初の緊急事態宣言が出た当時は、東京オリンピックの7人制ラグビー(セブンズ)男子日本代表スコッド(代表候補)に入っていました。活動を自粛している間は、コーチから個人で取り組むメニューを与えられて、外に出ないで、家で取り組んでいました。基本的には器具を使わずに、自分の体重を使って行なうようなトレーニングです。そのとき心がけていたのは、何もしない1日を作らない、ということでした。自粛期間でも、家のなかでできるトレーニングはしっかりやる――それを一番心がけました。
ただ、東京オリンピックが延期となったときは、ちょっとモチベーションを失って、何もしない期間ができてしまいました。
今はスピードコーチについて、指摘されたことや与えられた課題を意識してトレーニングに励んでいます。
※自宅でできるトレーニングについて、スクワットで注意する点をアドバイス




■セブンズとリオデジャネイロ・オリンピックでの活躍
セブンズは15人制とは違って、1つの大会に参加すれば2日間に5試合から6試合をこなすことになります。15人制は80分間で試合が完結しますが、セブンズは、1試合の時間は短くても(7分ハーフ)、次々と組まれている試合で良いパフォーマンスを出し続けなければなりません。しかも、(順位がかかる)大会最後の方の試合にもっとも良いパフォーマンスを出さなければならないので、身体はどんどんキツくなっていく。
そこが15人制との一番大きな違いです。
初めてセブンズがオリンピックの正式種目に採用された2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、初戦で金メダル候補だったニュージーランドと対戦して勝ちました。あのときはあまりにも嬉しくて、疲れをほとんど感じませんでした(笑)。
その後もチームが上手く勝ち進んだので、最後の準決勝(対フィジー)、3位決定戦(対南アフリカ)は肉体的にキツかったのですが、序盤の3試合はあまり疲労を感じることもなく、ノリノリでプレーできました。現地では、テニスの錦織圭選手が見てくれていて、「頑張ってくれ」というメッセージも伝わりました。それも力になりましたね。
■15人制への復帰
リオでは3位決定戦に敗れて、メダルにギリギリのところで手が届かなかったので、東京オリンピックは、これが(メダルを獲る)最後のチャンスだと思っていました。オリンピックという舞台にもう一度立ちたい思いもありました。でも、新型コロナウィルス感染拡大の影響で延期になり、トレーニングが中断した。セブンズは、15人制とは全然違うフィットネスが要求されるので、「さあ、やろう」と思ってすぐにできるものではありません。セブンズに慣れながら、しっかり身体を作っていかないといけない。特に、オリンピックやワールドシリーズのようなトップレベルの大会では、1試合でのスタミナの消耗が激しいので、本当の実力をつけるには、トップレベルの大会に参加し続けることが大切です。でも、コロナ禍でセブンズワールドシリーズが中止となり、練習もできなければ試合もできなくなった。
僕自身も、オリンピックの延期が決まる前から、セブンズの動きに上手く身体が追いつかない――セブンズをプレーすることが以前よりもキツくなっている――と感じていました。原因が年齢のせいかどうかはわかりませんが、以前はセブンズをプレーしていれば体力的にもけっこうフィットしてきたのに、少しずつフィットするまでに時間がかかるようになってきた。
そこにオリンピックの延期で活動しない期間が挟まって、いいパフォーマンスを出せるのか不安になりました。セブンズをやることが難しくなっていると感じたのです。それならば、早い段階で15人制に戻ろう――そう決心して、グリーンロケッツに戻ってきました。

■トップリーグの開幕延期について
今回、トップリーグ開幕が延期になったことはショックでした。ただ、今季は、コロナ禍の影響でプレシーズンの試合数が少なかった。開幕に臨むまでの準備期間も、僕が入社してから一番短かったので、この延期された期間に練習試合などが行なわれれば、そういう機会を通じてレベルを上げられるのでは、と前向きにとらえています。
僕自身、15人制はほぼ2シーズンにわたってプレーしていなかったので、今は感覚を取り戻しているところです。これは、チーム全体についても、同じことが言えると思います。今はチームとして新しいことに取り組んでいるので、もっと試合をこなして開幕に臨みたいというのが正直な気持ちです。
昨季、チームが負け続けていたときは、僕はセブンズの代表スコッドにいたのですが、すごく気になりました。チームの練習にずっと参加していなかったので、どういう状態なのかもわからなかった。「なんで?」というのが素直な気持ちでした。セブンズの合宿が明けて我孫子に帰ってきたときは、みんなと食事をしながら「どうしたの?」と聞いているような状態でした。
今季は、僕1人が加わったからといってチームがいきなり強くなるわけではありませんが、チーム全体をいい方向に持って行けるように、試合だけではなく練習でも意見を出し合うような雰囲気を作れればいい――そう考えています。
今季新しく加わった、元イングランド代表のアレックス・グッド選手は、いっしょに練習していて素直に上手いと思います。彼がチームを動かしているのですが、試合を重ねてさらにチームにフィットすれば結果が出るのではないか、と期待しています。本当にいい選手なんですよ。
だから今季は、FWが粘って粘ってボールを継続し、最後はバックスでフィニッシュするようなラグビーができるでしょう。相手より人数が余った状態で、バックスにいいボールが回ってくるようなシチュエーションが多くなると思います。
だからこそ、僕としては、そこでトライをしっかり獲りきるようにしたい。今季は、チャンスメーカーとしても、トライを獲るフィニッシャーとしても、どちらでも活躍したいと考えています。
※グリーンロケッツのトップリーグ2021試合日程(ファーストステージのみ)
■2月20日の開幕戦へ向けて
今季はトップリーグ最後のシーズンになります。来年からは新しいリーグが始まる。僕には、その新リーグで、トップのディビジョン1(12チーム)に入りたい、という強い思いがあります。これまでずっとトップリーグでプレーしてきたのに、新しいリーグでディビジョン1に入れなかった、というのでは本当に悔しいですからね。
そのためにも今季は、本当に頑張りどころです。
だからこそ、チーム目標であるトップ4に向けて頑張りたい。なんとしても、しっかり結果を残したい――それが、今の僕のモチベーションになっています。
どうすれば足が速くなるのか――あまり明確なことはわかりませんが、まずはちゃんとした走りをすることだと思います。これは専門家が近くにいないと難しいし、僕自身、走り方がすごく良いわけでもないのでアドバイスしづらいのですが、足の速い人や陸上競技の選手の走り方を意識してマネするのが良いと思います。
といっても、それほど簡単なことではなくて、3年間トレーニングを重ねてようやく少しだけ速くなるという話を聞いたことがあります。僕自身、セブンズ日本代表の外国人スピードコーチに「すぐに足が速くなる方法を教えてください」と、子どもみたいな質問をしたことがあるのですが、「そんな簡単なわけがないだろ!」と、ムチャクチャ怒られました(笑)。
つまり、長い期間トレーニングを続けなければいけないということですね。
※『足が速くなりたい未来のトップリーガーへアドバイス』として、質問したら面白い答えが返ってきた。
本人は謙遜しているが、重心のブレていない綺麗なフォームで走っていることが分かる。

(取材・文:永田洋光)