トップリーグ09-10 ワイルドカードトーナメント セミファイナル サニックス戦 ~グリーンロケッツ、サニックスから5トライを奪って快勝!次週のクボタ戦から始まる「リベンジ・ロード」に乞うご期待
2010/01/18
苦しみ抜いた今シーズン、初めてNECグリーンロケッツが会心のゲームをやり遂げた。
日本選手権出場をかけたワイルドカード1回戦の相手は、福岡サニックスブルース。昨年12月19日に33─14と破った相手だ。同じシーズンに力に差のないチーム同士が再戦すれば、前回敗れた方は「今度は負けない」という気持ちが生じる分精神的に優位に立つ。しかし、この日のグリーンロケッツは、揺るぎない防御でサニックスが得意とするランニング・ラグビーを封印。攻めても5トライを奪って圧倒した。
試合は、風上に立ったグリーンロケッツのキックオフで始まった。
3分にはサニックスのゴール前で絶好のPGチャンスを得たが、ゲームキャプテンのNO.8ニリ・ラトゥは3点を狙わず、スクラムを選択してトライを取りに行く。が、次のプレーでハンドリング・エラーが起きてチャンスを逃す。
シーズン前半に手堅くPGを狙うことにこだわってプレーが消極的になった反省から、「迷いを捨ててアタッキング・ラグビーを貫こう」(岡村要ヘッドコーチ)という方針が示され、それに基づいての選択だった。
圧倒的なボール支配率を背景に再三敵陣深くに攻め込んだグリーンロケッツは、しかし作ったチャンスをなかなか得点に結びつけられない。
ようやく待望のトライが生まれたのは17分だった。
スクラムからニリがサイドアタックを仕掛け、それをLO安田知生がサポート。さらにFL権丈太郎がボールをつないで、WTB窪田幸一郎がインゴールに飛び込んだ(SO松尾健のゴール成功)。
31分には、ラインアウトから左に展開してFB吉廣広征が大きくゲイン。WTB瀬崎隼人が2本目のトライを奪う。松尾が、左隅の難しい位置からゴールを決めて14─0。
動き始めたスコアボードに、楽勝ムードが漂うかに見えた。
しかし、サニックスも意地の反撃を見せる。
ハイパントのキャッチからできたラックで、グリーンロケッツが左側に人数を揃えて防御網を敷いたところで右に展開。防御の薄いサイドで細かくボールをつないでトライを奪い、5点を返した。一瞬で奪ったトライは、30分間に何度もチャンスを作りながら、それを2度しか活かせなかったグリーンロケッツとは対照的だった。
ハーフタイムで首脳陣が挙げた修正点は、「相手のラグビーに付き合うな」。
サニックスのトリッキーなハンドリング・ラグビーに影響されたように、一か八かのパスを繰り返してはチャンスを活かせなかった前半の戦いぶりを踏まえた指示だ。
早速、指示が反映される。
3分。
スクラムからニリがサイドアタック。できたラックから、今度はFLセミシ・サウカワが長い足で相手のタックルをすり抜けて独走。セミシが捕まったラックから出たボールはバックスに展開されて吉廣が抜ける。残念ながらトライ寸前でタッチに押し出されたが、素晴らしいアタックだった。
続く5分。今度は連続攻撃のラックから、サニックスの防御が外側に気を取られた隙を逃さずに、松尾が内側の防御をすり抜けてトライを奪う。自らゴールを決めて21─5。
さらに15分にはラインアウト後のモールからニリが、19分にはニリからのキックパスを受けたLO浅野良太がトライを挙げて、試合の大勢を決めた。
終盤は大量リードで若干プレーが軽くなり、サニックスに怒濤のように攻め込まれたが、それでもトライを奪われそうな気配は漂わなかった。
一人がタックルを外されても次の選手が必ずスペースを埋め、相手に大きなゲインを許さない。「ストラクチャー」という言葉が示す通り、ディフェンスの構造を支えるルールがチームにはあって、全員がそれを信じてプレーする。だから、次の局面に対するリアクションで遅れないし、判断ミスから相手に大きなゲインを許すこともなくなった。それが、シーズン大詰めに入ってからの「4連勝」に結びついているのだ。
岡村ヘッドコーチが言う。
「ディフェンスは今日の試合で高く評価できるポイントです」
「若手が、苦しいシーズンを過ごして経験を積んだことが大きい」と言うのはニリだ。
「僕たちベテランは、競った試合の経験の少ない選手たちに自分たちの経験を伝え、ゲームのなかで彼らをサポートするのが役目。そうやっていっしょに試合を繰り返し、同時に厳しい練習を積んだことが、今の結果につながっていると思う」
次週23日は、いよいよ日本選手権出場をかけたクボタスピアーズ戦。難敵のサニックスを一蹴したことで、チームの雰囲気はいい。しかも、クボタを筆頭に、今後対戦する可能性のあるチームは、すべて今季敗れた相手ばかり。
冒頭の話ではないが、「借りを返す」気持ちが強まる分、グリーンロケッツはモチベーションを高く保ちやすい。つまり、「ミラクル10」への可能性がいよいよ芽生え始めてきたのだ。
昨シーズンの日本選手権では、やはりここ花園ラグビー場で宿敵・神戸製鋼を討ち果たした直後に失速。リコーブラックラムズに敗れて、茫然自失でシーズンを終えた。
今シーズンは逆に、長かった雌伏のときに溜め込んだエネルギーを吐き出して、ようやく上昇気流に乗って、終盤の一発勝負を迎える。この勢いの違いが、奇跡を信じる土壌になっている。
「僕たちは力のあるチーム。日本選手権へと勝ち進んで、そのことを証明したい」とニリが言う。
ハッピーエンドは、勝利の向こう側にしかないのだ。
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今日のNECはスロースタートだったね。 |
取材・文:永田 洋光
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