トップリーグ09-10 第11節 サニックス戦~グリーンロケッツ、サニックスに5トライで快勝!待望の勝ち点5を挙げて希望をつなぐ~
2009/12/21
久しぶりの、本当に久しぶりの快勝だった。
NECグリーンロケッツの今季の白星は、それまで9月27日に九州電力キューデンヴォルテクスに13-7と辛勝したものだけ。4トライ以上奪った場合に与えられるボーナスポイントをゲットして1試合で勝ち点5を稼いだのは、この福岡サニックスブルース戦が今季初めてだった。
サニックスは、今季この試合まで4勝6敗勝ち点21でガッチリ10位以内をキープ。得意のランニング・ラグビーにも磨きをかけて、「面白いラグビーをするチーム」とラグビー関係者からの評判が高い。しかも、前節では、現在6位のヤマハ発動機ジュビロを29-22と破っていた。
「この試合からは負ければ終わりのトーナメント」
日本選手権出場決定戦への参加資格10位以内に入るために、サニックス戦を含めて残り3試合すべてを4トライ以上奪って勝つことが求められるグリーンロケッツは、この難敵に、そう決意して試合に臨んだ。
前半。
グリーンロケッツは、立ち上がりからサニックスに襲いかかった。
1分には、ブライス・ロビンスのカウンター・アタックからラックに持ち込み、SO松尾健がサニックスの背後へキック。相手のノックオンを誘ってチャンスを得る。次の攻撃でグリーンロケッツもボールを落としてサニックスのスクラムとなるが、グリーンロケッツはサニックスNO.8西端要のサイドアタックを止めて逆襲。しかし、ブライスからWTB窪田幸一郎へのパスが通らずチャンスを活かせない。
ゲームが動いたのは9分。
ゲーム・キャプテンのNO.8ニリ・ラトゥが、サニックスSO田代宙士のキックに猛然と襲いかかってボールをチャージ。こぼれ球を拾ったSH西田創が、後方からトップスピードで走り込んできたブライスに短いパスを渡す。ブライスは大きく前進してゴールライン寸前まで迫るが、サニックスの懸命のタックルに阻まれる。すかさずグリーンロケッツは連続攻撃に持ち込んだ。
一連の攻防でサニックスがオフサイドをとられると、グリーンロケッツはスクラムを選択して攻撃を続行。西田のサイド攻撃からモールを作り、LO安田知生が先制トライを挙げる。松尾のゴールも決まって7-0。幸先のいいスタートを切った。
グリーンロケッツは14分にもカウンター・アタックからブライスが抜け出してチャンスを作るが、右タッチライン際でLO浅野良太→窪田のラストパスがわずかにズレてノックオン。追加点のチャンスを逃す。
20分。それまで一方的に攻められていたサニックスが反撃に転じる。
ゴール前まで攻め込んだペナルティキックのチャンスにCTB小野晃征がタップキックからトリッキーなパスでFL菅藤友を走らせる。あわやトライか……というピンチを、グリーンロケッツは体を張って止め、5メートル・スクラムに逃れる。
そのスクラムからの連続攻撃で、今度はグリーンロケッツがオフサイド。サニックスは、ふたたび小野が攻撃を仕掛けて6次にわたって攻め立てる。
これに対してグリーンロケッツは、15人がしっかりと連携し合って組織防御で対抗。あわてることなく冷静に波状攻撃を守り抜く。
そして24分、攻めていたサニックスのオトリ役の選手が防御側の選手と交錯してオブストラクションの反則をとられ、5分近くに及んだ攻防は、グリーンロケッツに軍配が上がった。
安定したスクラム。15人が“緑の壁”となって組織的に動く防御。前半半ば過ぎからサニックスがボール獲得でグリーンロケッツを圧倒し始めたが、大きく崩れるような気配はなかった。
ただ、今シーズンのどの試合でも見られた傾向──耐えて耐えてチャンスをつかみながらトライになかなか結びつけられない──は相変わらず顔を覗かせる。安定した試合運びで主導権を握っているにもかかわらず、スコアはまだ7-0のままなのだ。
危惧が現実となったのは35分だ。
この日のグリーンロケッツで唯一不安定だったのが、キックのあとの防御。
蹴り込んだボールを追う選手は本来なら横一列に並んで相手にプレッシャーをかけなければならないが、真ん中に位置する選手が出遅れていた。そのギャップをCTBタファイ・イオアサに突き破られる。
横への展開には動じなかった緑の壁にポッカリと開いた穴。そこから崩れ始めた防御は、懸命のバックアップにもかかわらず攻撃を食い止められず、ついに菅藤にトライを許す。ゴールも決められて7-7の同点に。
引き分けで前半を終えたくないグリーンロケッツは、直後のキックオフから相手陣に攻め込み、PKのチャンスを得るとFL権丈太郎が判断良く速攻を仕掛けた。
すかさず浅野が反応し、窪田に丁寧なラストパスを送る。
トライ!……と誰もが腰を浮かせたとき、谷口かずひとレフェリーが短く笛を吹いてプレーを戻す。権丈のパスがスローフォワードと判定されたのだ。
思わず天を仰ぐグリーンロケッツの首脳陣。かくして同点のまま前半が終了した。

後半。
10分間のハーフタイムでゲームの潮目が変わったのか、グリーンロケッツにいきなりビッグチャンスが転がり込む。
前半途中出場のFB吉廣広征のカウンター・アタックでチャンスをつかむと、西田が前方に小さくキック。それをサニックスが後逸したところをCTB櫻谷勉が拾い上げ、西田がインゴールまで駆け抜けた。開始からわずか39秒のノーホイッスル・トライだった(ゴール成功)。
6分には、サニックスをゴール前に釘付けにしてのFW戦で、FLセミシ・サウカワが長い手を極限まで伸ばし、密集を飛び越えるようにしてボールをインゴールにつけて3つ目のトライを奪う。これも松尾がゴールを決めて21-7。
しかし、それからの20分間がもどかしかった。
勢いに乗ったグリーンロケッツは再三ゴール前へと攻め込みながら、あと数メートルという地点でことごとく反則をとられてチャンスを逃すのだ。12分、16分とモールを押し込む際のオブストラクション。18分には攻め込んでのノット・リリース・ザ・ボール……。
おまけに22分には自陣深くで相手ボールを奪いながら無理な攻撃を仕掛けて、ふたたびボールを奪われて、あわや……のピンチに見舞われた。
それでも試合の流れを保てたのは、安定した組織防御のおかげだった。
26分、グリーンロケッツは、「3度目の正直」とばかりにモール勝負に出て、今度はニリがサイド攻撃。内側にサポートした権丈がトライを奪って、苦しかった20分間に終止符を打つと同時に4トライ以上奪った場合に与えられるボーナスポイントも獲得した(ゴール失敗)。
さらに30分には途中出場のNO.8日高健が、スクラムのサイド攻撃から一気に20メートルを走りきって5トライ目を追加。ゴールも決まって33─7として勝利を不動の物とした。
岡村要ヘッドコーチがホッとした表情で話す。
「結果は出ませんでしたが、サントリー戦、トヨタ戦、三洋戦とチームとしては徐々にディフェンスでいい経過が見られましたた。11月に厳しい練習を積み重ねた成果です」
「今日のディフェンスは、強いときのNECのディフェンスそのものでした。すごく安心感がありました」と試合を振り返ったのは、今シーズン地道なプレーで体を張ってきたWTB窪田。そして、最後にこう付け加えた。
「来週、ホンダに勝って最終節に繋げます」
そう。次週第12節は13位のホンダヒートが相手。グリーンロケッツに敗れれば降格が決まるホンダは必死でチャレンジしてくるはずだ。そして、グリーンロケッツも、敗れれば10位というハードルが限りなく高くなる。
26日、名古屋・瑞穂ラグビー場。
ホンダ戦は、今季のグリーンロケッツの総決算となる大一番だ。
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今日はみんながヒーロー。全員がよく頑張りました。特に、再三素晴らしいライン・ブレイクをしたブライス・ロビンスと、冷静にゲームをコントロールした松尾健が良かった。松尾が、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのも当然でしょう。
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取材・文:永田 洋光
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