トップリーグ09-10 第10節 三洋戦 ~敗戦のなかにも堅守復活の兆し?グリーンロケッツ、三洋電機ワイルドナイツに食い下がる~
2009/12/14

今シーズンこれまで9戦全勝と快調に首位を走る三洋電機ワイルドナイツと、なかなか勝ち星に恵まれず下位に低迷中のNECグリーンロケッツ。両者の対決は、冷たい風が吹く茨城県水戸市で行われた。
三洋の強みは、突破力を備えたランナーたちが卓越した判断力で自由自在な切り口から攻撃を仕掛けてくるところにある。SOトニー・ブラウンのキックで地域を獲得する手堅さと、隙を見つければ自陣深くからでも思いきったアタックを仕掛ける大胆さが、矛盾することなくチームに根づいているのだ。
一方のグリーンロケッツは、前節でトヨタ自動車ヴェルブリッツに3─6と敗れはしたものの、前半節の課題だったコンタクト・エリア(タックルとそれに続くボール争奪局面)での淡泊さが払拭されて、ようやく本来の泥臭いラグビーを貫く土台ができてきた。
少人数でボール争奪を目論む三洋にブレイクダウンで徹底的に圧力をかけて彼らの判断を狂わせることができれば、グリーンロケッツが狙うロー・スコアの試合に持ち込むことができる。
つまり、トライの取り合いになれば三洋のペース。トライの少ない、どちらかといえば地味なゲームになれば、グリーンロケッツのペースとなるわけだ。
前半を風下に陣取ったグリーンロケッツは、開始直後こそ相手のミスにつけ込んで攻め込んだが、すぐに逆襲されて自陣での戦いを強いられた。
3分、三洋はグリーンロケッツのラインアウトを奪うと、リズミカルな連続攻撃でゴール前に迫る。しかし、FWにゲーム・キャプテンのNO.8ニリ・ラトゥとFLセミシ・サウカワの2枚看板を据えたグリーンロケッツは、粘り強い防御で食い下がり、トライを防ぐ。
10分にもゴール前で連続攻撃にさらされ右に左にと揺さぶられたが、ラックで三洋のボールをジャッカルしてノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘う。
ニリ、セミシの両外国人だけではなく、グリーンロケッツは全員が三洋の動きを見ながら組織で守り、つけいる隙を与えなかった。
前半20分を過ぎても両チーム無得点の展開は、明らかにグリーンロケッツのペース。三洋がラインアウトでミスを連発したことも、グリーンロケッツに有利に働いた。
22分には三洋陣内に深く攻め込み、22メートルラインを越えたところでマイボールのラインアウトを得る。これまで懸命に耐えたFWが一気に爆発してトライを奪えば、試合の流れが大きく傾く場面。だが、肝心のラインアウトが確保できない。三洋にボールを奪われてチャンスは一瞬にしてついえた。
わずかなチャンスの後にきたのは、本物のピンチだった。
25分。
三洋は、中央付近のラインアウトから反撃を開始。ラックからFLキーラン・ブラックが大きく突破する。何とか倒してラックにしたところで、今度はSH高安厚史がサイドアタック。外側に備えたグリーンロケッツ防御の内側を破って、そのままインゴールに飛び込んだ。
ゴールキックは外れて0─5。
リードを広げたい三洋は、36分に堀江が強靱な足腰で防御を突破。セミシ、そしてこの試合でFBを務めたブライス・ロビンスの強烈なタックルを弾き飛ばしてトライを加えた(ゴール成功)。
続くキックオフ。
それまで集中を保っていたグリーンロケッツに綻びが生じた。
ラックの真ん中を三洋NO.8ホラニ・龍コリニアシに割られてハーフウェイ・ラインまで走られ、ブラウンのキックで一気にゴール前まで押し戻される。そして、ラインアウトからモールを押し込まれて、そのままゴールラインを越えられた。
ゴールも決まって0─19。
風下でじっと耐えていたグリーンロケッツにとって、前半終了間際のトライは何としても防がなければならない失点だった。2チャンスで逆転の可能性が残る12点差のままで前半を終えてこそ、後半風上に立つ優位性が発揮できるはず。
岡村要ヘッドコーチも、試合後にこの場面をポイントとして挙げた。
「前半最後の5分間が残念だった。あの時間帯に集中して2トライを取るところが三洋の強みであり、そこがグリーンロケッツにとってまだ足りない部分だということです」
後半。グリーンロケッツは10分過ぎにセミシの突破からチャンスをつかみ、FL権丈太郎、SO松尾健と次々に三洋の防御を破って前進。ペナルティキックを得ると、三洋ゴール前に蹴り込んでラインアウトを得た。
ラインアウトを確保したグリーンロケッツはモールを押し込んで前進。三洋の反則を誘う。
もう一度ラインアウトを選択してモールを組み、そこから今度はニリが単独でサイドアタック。力ずくで防御を跳ね飛ばして、グリーンロケッツに待望のトライをもたらした(ゴール失敗)。
残り時間は26分。14点差は決して挽回不可能な点差ではない。
息を吹き返したグリーンロケッツは、続くキックオフからも果敢に攻めて、三洋ゴール前に迫る。しかし、ラックでのノックオンをターンオーバーされ、ホラニに自陣深くから独走された。
このピンチに、セミシがものすごいスピードで戻ってピンチを防ぐ。セミシの執念は、何としてでも三洋に一泡吹かせたいグリーンロケッツの意地を象徴していた。
三洋に1PGを加えられて5─22となってからもグリーンロケッツは攻め続けた。
試合終了直前には、自陣のスクラムから途中出場の日高健が豪快に抜け出してチャンスを作る。日高はハーフウェイ・ライン付近で捕まったが、ラックでペナルティキックをもらい、三洋ゴール前のラインアウトに持ち込んだ。
ところがこのラインアウトを三洋に奪われてしまう。万事休す……と思いきや、4トライ以上のボーナスポイント獲得に執念を燃やす三洋が、なんと自陣からトライを狙ってアタック開始。
それをグリーンロケッツが“緑の壁”となって押し返し、ふたたびボールを奪う。
両チームのトライへの執念がぶつかり合って、試合終了を告げるブザーが鳴ってもボールは止まらない。そして、4度目のターンオーバーで最後の最後にグリーンロケッツがボールを確保。ゴールまでの距離約20メートルを一気に攻め込もうとしたところでパスミスからボールがこぼれ落ちて、試合が終わった。
「NECはディフェンスのプレッシャーが強くて、選手が冷静さを欠いてしまった。NECは強いな、という印象があります」と試合を振り返ったのは、三洋の飯島均ヘッドコーチ。同じく霜村誠一主将も、ハーフタイムにブラウンから「後半は今シーズンで一番厳しいゲームになる」と告げられたことを明かした。
一方のグリーンロケッツは、ゲーム・キャプテンのニリがこうゲームを振り返った。
「これまで厳しい練習を積んできた成果が出つつある。あとは個々の集中力をもっと高めて、前半最後に2トライ奪われたような場面をなくすこと。最後の攻撃でチャンスにターンオーバーされたのも、集中力の問題。ただ、若い力が伸びているのでチームに可能性を感じている」
低迷を続けてきたグリーンロケッツが、ようやく本来の姿に戻りつつあるような印象を受けた試合だったが、シーズンは大詰めまで来てしまった。
日本選手権出場を懸けたプレーオフに参加できる10位以内を目指すには、もはや残る3試合をすべて勝ち点5で勝ち抜く以外に可能性はほとんどない。
復活の兆しをしっかり結果に残すことができるのか──グリーンロケッツは、次週は19日に秩父宮ラグビー場に福岡サニックスブルースを迎え撃つ。
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今日の試合では、三洋がオープンにボールを回してもなかなかゲインできなかったでしょ。あれは、NECのゲームプランが良かったから。そして、みんながものすごいエネルギーで頑張ってくれたから。本当にみんなよく頑張ったと思います。
英語で言う「must win」のゲームがこれからシーズン最後まで続きますが、We can win、僕たちには勝つ力があります。でも、そのためには先のことを考えないで目の前の相手に集中することが、何よりも大事です。だから、まずサニックス戦に集中して勝つ。そうやって、結果を出していきたい。 どうか、みなさんも最後まで応援してください。 |
取材・文:永田 洋光
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