トップリーグ09-10 第8節 サントリー戦 ~グリーンロケッツ、ホームで打倒サントリーならず~

info_category1.gif2009/11/30

 トップリーグ前半節を1勝6敗勝ち点9の12位という不本意な成績に終わったNECグリーンロケッツが、巻き返しを誓ってホームの柏の葉に姿を現した。
 対戦相手は、ここ3シーズン続けて苦杯をなめたサントリーサンゴリアス。苦しむグリーンロケッツとは対照的に前半節を7勝1分けの2位で折り返している。
 残り6試合で上位に浮上し、日本選手権の出場を決めて「日本一」へのチャレンジを続けたいグリーンロケッツにすれば、11月の日本代表活動による休止期間(ウィンドマンス)での猛練習の成果をぶつけるには格好の相手だ。



 そんな意気込みは、立ち上がりの粘り強いディフェンスとなって現れた。
 風下に立ったサントリーは、積極的にアタックを仕掛けて攻撃を継続。風を利して陣地を取りたいグリーンロケッツを自陣に釘付けにして攻め立てるが、開始早々の1分にPGを狙ったものの失敗。以後は得点チャンスを得られず、一進一退の攻防が続く。
 グリーンロケッツでひときわ目立ったのが、バイス・キャプテンのFLニリ・ラトゥ。サントリーが持ち込んだボールに果敢に挑んでターンオーバーを狙い、攻めてはまっすぐ走って相手防御にチャレンジ。チームに前に出る勢いを与えようとした。
 16分。
 そんなニリがラインアウトから突進。チャンスが生まれた。
 ラックから出たボールをSOヤコ・ファンデルヴェストハイゼン→CTBブライス・ロビンスとつないでブライスが突破。NO.8の日高健が続いてサントリーのゴールに迫る。
 ラックから出たボールをWTB窪田幸一郎が上手く相手を引きつけて、LO浅野良太にパス。ニュージーランドでプレーを磨いて帰国した浅野がボールを持った瞬間、サントリーのSH、オーストラリア代表として139キャップを持つジョージ・グレーガンが渾身のタックルに入る。
 見応え十分の攻防は、サントリーのラインオフサイドで中断されたが、そのPGをFB松尾健が冷静に決めて3─0。開始17分でようやくスコアが動いた。



 続くキックオフ。
 サントリーは、グリーンロケッツの陣形を見て人数の少ないサイドに上手くボールを蹴り込んでボールを確保。一気にグリーンロケッツをゴール前へと押し戻す。
 ゴール前のラインアウトからモールでトライを狙うサントリーに対し、グリーンロケッツはコラプシングの反則を取られ、再度モール勝負を挑まれる。そして20分、FL元申騎にトライを奪われて(ゴール成功)逆転を許した。
 この場面を、浅野はこう振り返った。
「得点した後のキックオフで敵陣に入れない。だから、得点してもすぐに相手にトライを返される。こういう悪循環を断ち切らないといけないでしょうね」
 苦労して得たPGの3点が、続くキックオフからの攻撃で自陣に釘付けにされてトライを奪われ、逆に4点のビハインドとなる……確かに前半節からそういう場面は目についた。
 そして、それがこの試合でも流れを変えたのだ。
 ゴール前まで迫ったチャンスにトライを奪えなかったグリーンロケッツと、ワンチャンスを確実に物にしたサントリー。そんなコントラストは後半の終盤まで続く。
 サントリーは28分にもモールを押し込んでグリーンロケッツのFWを一カ所に集中させ、そこから生じた防御の綻びをSO野村直矢がついてトライを追加(ゴール成功)。さらに1PGも加えて前半を終えた。



 後半に入るとサントリーは着々とトライを量産。スコアを大きく開く。
 30分に、セットスクラムからFBの小野澤宏時にするすると走りきられて(ゴール成功)3─41とされると、さしものグリーンロケッツのサポーターたちも帰り支度を始めた。
 が、直後の32分に窪田がサントリーの不用意なパスをインターセプト。そのまま45メートルを走りきってトライを奪うと、流れは一気にグリーンロケッツに。腰を浮かした観客はまた腰を下ろし、膝掛けをバッグにしまった女性サポーターは、もう一度膝掛けを引っ張り出した。
 そして38分には連続攻撃から相手ゴール前に迫り、PR久富雄一がモールから二つ目のトライを奪う。途中出場のSO安藤栄次がゴールを決めてスコアは15─41。さらにもうワントライと意気込んだところで、試合が終了した。

 試合後、岡村要ヘッドコーチは言った。
「こういうワンサイドになるようなゲーム展開ではなかった。11月に強化を重ねたコンタクト・エリア(タックルから密集戦に至る相手と接触する局面)で、選手は必死に戦ってくれた。今日は、ラインアウトからモールという相手の得意パターンに持ち込まれた点と、警戒していた小野澤選手を止められなかった点の2つが敗因です。ただ、今、チームでフォーカスしているコンタクト・エリアの強化が表れていることも確かであり、継続して強化をすることで勝利につなげたいと思います。」
 確かにこの試合では、ボールの争奪戦でグリーンロケッツが体を張り、サントリーと渡り合う場面がしばしば見られた。前半の立ち上がりに顕著だったように、少しずつ粘り強いディフェンスも戻ってきた。
 ただ、相手からボールを奪って得たチャンスを効果的に得点に結びつけられない課題は、依然として残ったままだ。
 攻撃の起点が、ニリ、ヤコ、ブライスといった外国人選手に限定されている点も、少々気にかかる。チームの強みを最大限に相手にぶつけるのは当然の戦術で、決して悪いことではないのだが、それはまた、グリーンロケッツがどこから攻撃を仕掛けるかが相手に一目瞭然であることを意味している。



 グリーンロケッツは前半は手堅く地域を獲ってくる。
 グリーンロケッツはここを抑えれば大丈夫。
 ……そんな相手チームのミーティング風景が浮かぶようでは、巻き返しは難しい。
「どうして最後の10分間のような攻撃を最初からしないんだろう?」
 それが、柏の葉に詰めかけたサポーターの素朴な疑問かもしれない。
 次週はトヨタ自動車ヴェルブリッツと戦うグリーンロケッツだが、強力FWを擁する両チームの対戦は、激しい密集戦が予想されている。
 でも、そんな予想を覆すようなラグビーをグリーンロケッツが仕掛けたらどうなるか?
 戦術的にそれが正しいわけではないが、そんな試合も見てみたい。
 

     
     


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 今日の試合はチームとしては悪くありませんでした。
 ただ、個々にエラーをしてしまったり、1対1でタックルをミスしていた。それが、これだけ点差をつけられた原因でしょう。そういう単純なミスがなければゲームはもっと競っていたはず。個人個人で今日のミスを洗い出し、改善していく必要があると思います。
 大切なのは、今日負けた原因を反省して次の試合に活かし、そうやって少しずつチームの強化を前進させること。そういう継続性がなければチームは強くなりません。
 だから、来週のトヨタは強敵ですが、僕はポジティブに考えています。

 

         ▲ 土井 貴弘


 選手では、サントリーの強力なスクラム対策として起用された土井貴弘が良かったですね。期待されたスクラムで健闘したのはもちろん、フィールド・プレーでも良く動いていました。それからHOの臼井陽亮やFL権丈太郎といった若手も頑張っていました。
 11月の練習で若い選手が伸びてきたのは間違いのないこと。これからの試合では、彼らの活躍に期待しています。

取材・文:永田 洋光