02年度の「ミラクル・セブン」の再現で起死回生の日本一を目指します! ~グリーンロケッツ、岡村ヘッドコーチ&熊谷キャプテン、後半戦への決意を語る~

info_category3.gif2009/11/24

NECグリーンロケッツの前半戦7試合は、1勝6敗勝ち点9の12位というショッキングな結果に終わった。特に10月に行われた3試合は、いずれも終盤までリードしながら最後に逆転されるゲーム展開。「なぜだ!」と叫びたくなるような衝撃が残った。
現在グリーンロケッツは、11月の日本代表活動にともなう休止期間を利用して、後半戦に向けた立て直しに懸命に取り組んでいる。29日(日)にホームの柏の葉にサントリーサンゴリアスを迎え撃つ後半戦の開幕を前に、捲土重来(けんどちょうらい)を期す岡村要ヘッドコーチ(HC)と熊谷皇紀キャプテンに、巻き返しにかける決意を聞いた。

■前半戦を振り返って

岡村 本当に悔しい試合が多かったです。ラグビーでは、攻撃と防御を合わせて約140回ぐらい相手とコンタクト(接触)をするのですが、そのコンタクトが生じるコンタクト・エリアで劣勢になっていた。それが大きな要因だったと思います。コンタクト・エリアで劣勢になれば、どんなに優れたゲーム・プランを持っていても有効に機能しません。だから、この1ヶ月はその点にフォーカスして、集中的に練習しました。コンタクト・エリアで勝つ方法を身につけて、修正するだけではなく、そこを我々の強みに変えられるようにしています。

熊谷 前半戦の最後の方は本当に負け方が良くなかったです。いつも、あと1トライ取れば相手が戦意を喪失するという場面でトライが取れなかった。とどめを刺さなければいけないのに刺せませんでした。だから、終盤になって点差が縮まると相手は「いけるぞ」と思うし、NECは「ひょっとしたら……」と不安になってしまう。これが大きな要因でした。
 こういう詰めの甘さを克服するには、とにかくスコアの上で相手に差をつけて、その前に勝負をつけること。後半戦は、そこを大切にしたいです。ただ、3連敗はしましたが、10月の3試合では選手にも積極的に攻めようという気持ちが出ており、近鉄ライナーズ戦では4トライをあげることができた。トライを取れる匂いがするチームになったことは、明るい材料です。
 それから、私は自信を取り戻すことが一番大切だと考えています。「また逆転されるんじゃないか」と考えるのではなく、「オレたちは勝てる」と考えられるようにすること。今の厳しい練習を通じてそうした自信を取り戻せば、後半戦への大きなプラスになると信じています。


岡村 ヘッドコーチとして個人的に反省しているのは、春や夏の試合数を少なくしたことです。
 私は現役時代にSOをやっていましたが、試合では、プランよりもとにかく後ろから勢いよく走り込んでくる選手にボールを渡すことを優先していました。相手の弱い部分に、勢いのあるランナーをぶつけ、そこにできたスペースを攻めることにこだわっていたのです。でも、そういう駆け引きや判断は、試合でしか身につきません。それなのに、コーチとしてゲームにおいての選手の成長を軽く見積もりすぎてました。
 そのため、チームに若いエネルギーを注入したいという思いもあり、前半戦4試合を終えた時点から若手を積極的に起用しました。ここで若手が試合を経験して伸びてくれたのは収穫です。その結果がクボタスピアーズとのサテライト・ゲーム(11月6日)での勝利に結びつきましたし、後半戦に向けての大きな財産になっています。今は29日のサントリー戦がすごく楽しみで、自信を持って迎えられます。実際、この1ヶ月の若手の成長には驚かされました。
 若手の課題は経験不足ですが、そこはベテランがカバーします。今、練習を通じてベテランが自分たちの経験を若手に伝えていますので、後半戦は若手とベテランが上手く融合できると思いますよ。


■後半戦のキー・プレーヤー

 岡村 もちろん全員がキー・プレーヤーですが、敢えて名前をあげれば権丈太郎ですね。
 権丈は前半戦の最後の方から試合に出て、何かをつかんだかとと思います。チームを鼓舞し、他の選手にはないものを持っているのですが、この1ヶ月でウィーク・ポイントを克服し、彼なりの手応えをつかんだ様に見受けられます。後半戦の活躍が楽しみです。
 ルーキーの釜池真道も、キー・プレーヤーです。前半戦でも試合に出て活躍してくれました。ただ、これは本人にも言ったのですが、トップリーグで試合を重ねるうちに「怖さ」を知り始めた。トップリーグは、自分がボールを持ったときに行き過ぎてしまい相手にボールを奪われると、そこから一気にトライまで持って行かれるため、少しのミスも許してもらえない。怖さを感じて当然なのですが、そこでプレーが小さくなって欲しくないと思い、「おまえに全部は求めていない。何も考えるな、思いきり楽しめ。悩むことが一番の悪なんだ」とアドバイスしています。
 ベテランでは何と言ってもキャプテンが大きなキーです。個人としての熊谷の存在が大きいのと同様に、チームとしてもキャプテンという存在が重要です。後半戦もすべてが接戦になると思いますが、そこで勝負の綾をつかんだりチームの方向性を決めたりと、キャプテンのリーダーシップが求められます。キャプテン以下、リーダーやベテランが一つの方向性にまとまってチームを引っ張れば、結果は必ずついてきます。

熊谷 浅野良太がニュージーランド(NZ)から戻ってきましたが、選手としての存在感がありますし、部員たちも心強く思っているので大きなプラス材料です。NZでどんなプレーを身につけてきたか、僕自身楽しみにしていますし、本人もチームの巻き返しに一役買おうと燃えているでしょう。

岡村 前半戦の全てのゲームを振り返っても、勝負を分けたのは少しの綾なんです。そこで勝たせることができなかったのは私自身の力のなさで反省していますが、逆に言えば、「少し」のプラス材料で結果が大きく変わる可能性もあります。誰かがNZで経験を積んで帰ってくるだけでもプラスですが、過去にキャプテンも務めたチームの大黒柱がNZから帰ってきたわけですから、これは大きなプラス材料になります。


■後半戦に向けて

 岡村 前半戦の最大の課題はラスト15分の戦い方でした。そのため、リードしている状況での最後の15分間の戦い方、逆にリードされた状況での戦い方と、細かくシミュレーションして対策を練っています。
 それから、NECはディフェンスが強いというDNAを持っているチームですが、前半戦ではシステムが若干崩れていたところがありました。ラスト15分という体力的にも精神的にも厳しい状況で相手に追い上げられて判断が狂い、1対1のタックルを外され、我慢が足りなくて前に飛び出してディフェンスに穴を開けるような場面が多々ありました。
 ディフェンスは、攻撃とは逆に個人の判断や閃きよりも全員がチームのシステムに忠実に従わないと成り立たないものです。だから今、チーム全員を信頼し、システムを崩さないディフェンスを、もう一度確認しています。信頼とコミュニケーションという大原則が徹底されれば、ディフェンスのNECは復活します。今はそのためのプロセスを丹念に検証しているところです。

熊谷 そうした過程を経て結果が出れば、何よりも大きな自信がつく。その意味でもサントリー戦が重要です。


 ■ミラクルVを目指して

 岡村 前半戦の反省は反省として、技術的に振り返ると、本当にどのチームと比べても少しの差しかないというのが実感です。これまでお話ししたような課題を一つひとつ修正して積み上げ、まずは1試合ごとにしっかりとポイントを重ねて、日本選手権を目指します。そして、試合毎に生じた課題を着実に克服しながら成長して勝ち上がる─それが、これからの目標になります。
熊谷 とにかく一つでも順位を上げて、日本選手権でNECの存在感をお見せします。もちろん優勝が目標ですが、「オレたちはこれだけできるんだ」と証明したいです。
 初めて日本選手権に優勝したときも(2002年度)、東日本社会人リーグは7位で「ミラクル・セブン」だったわけですけど、あのシーズンも原動力は「リーグ戦では結果を残せなかったけど、オレたちの力はこんなもんじゃない」という気持ちでした。だから、あのシーズンの再現ではないですが、とにかくリーグ戦の順位を一つでも確実に上げられるように頑張ります。

取材:永田 洋光