岡村要ヘッドコーチに訊く~ひたむきに、ボールを前に運び続けたい~
2010/08/18

昨シーズンは屈辱のトップリーグ10位に甘んじたNECグリーンロケッツが、巻き返しを図るシーズンが始まる。今季は、元トンガ代表のキャプテン、ニリ・ラトゥがキャプテンに就任。「BIG HEART」(強い意志)をスローガンに、開幕ダッシュを期す。就任3年目の岡村要ヘッドコーチに、今季にかける意気込みを訊いた。
◆ディフェンスとコンタクトエリアにこだわる
―今季はどんなチームを目指しますか。
「日本一を狙うには、ディフェンスでトップリーグ(TL)1位のチームにしなければいけない。NECとしてこだわるものとして、第一にディフェンスをあげたいですね。三洋電機やサントリーのように、器用な選手や、スター選手が多いチームではありませんから、コンタクトエリアのガツガツとしたぶつかりあいの部分では負けられません。この2つは、勝利の鍵として春からこだわって練習しています」
―去年の春より、その練習が多いということですね。
「これは私自身の反省ですが、昨シーズンの序盤は机上の理論が先行してしまい、頭で考えることばかりを追い求め、プレーの勢いがなくなってしまった。11月のリーグ休止後は原点に立ち返ったことでチームが上向きになりました。その経験もあり、NECの伝統であるディフェンスとコンタクトエリアの強みをさらに磨きました」
―春シーズン、夏合宿を経ての手応えはどうですか。
「戦い方は去年から大きく変えていません。昨シーズンの終盤、チーム力が上向きになったのは、戦い方を選手全員が熟知したからです。今年はそこからの始まりだったので非常に順調です。あとはプレーの強度と精度をどこまで高められるか。そこがキーポイントです。いいところまで来ているのですが、夏合宿では、神戸製鋼(昨年5位)に完敗しました。まだまだ高めなくてはいけないことが多いと確認できました」
―神戸製鋼戦の反省は。
「コンタクトエリアで受けてしまいました。当たったときに少し食い込まれてしまう。上位チームは相手に当たられても下がらない。そこはまだ差があります。それから、相手に合わせてしまって、やられてからやり返すようなところがありました。先手先制を心がけ、最初から前に出る練習はさらに必要と感じました」

◆スローガン「BIG HEART」への想い
―スローガンを「BIG HEART」(強い意志)にしたのも、そういう方針があるからなのですね。
「実はキャプテンのニリ・ラトゥが、練習や試合でよく使う言葉です。今年は彼のカラーを出していきたい。口では『日本一、日本一』と言いますが、本当にそれだけのことをしているのか? やるのもやらないのも自分次第。本当に日本一を勝ち取るために強い意志を持ってやっていこうという意味も込めています」
―ニリ・ラトゥ選手をキャプテンに決めたのは岡村さんですか。
「そうです。私が目指すのは、シンプルにハートを出せるチームです。ニリのプレースタイルは見ての通り、闘争心溢れるプレーです。チーム内でのバランスの取り方も素晴らしい。いま何が足りないのか、何か崩れているのか、それらを察知する能力も高い。前任の熊谷が続投しないことを自ら決めたとき、ニリ・ラトゥしかいないと思いました」
―新戦力はどうですか。
「去年の入社ですが、オックスフォード大学に留学していた土佐誠は楽しみです。6月末に合流し、チームのストラクチャーや自分の役割を理解しているところです。まだまだ力を出し切れていませんが、闘争心とフィジカルは一番持っていると思います。これからどんどんチームに融けこんでくるでしょうから、期待しています」
―元オールブラックスのWTBアンソニー・ツイタヴァキも加入しました。
「ニュージーランドでの怪我を抱えたまま合流したのですが、ようやく持ち前のスピードが出てきて、夏合宿では素晴らしいプレーを見せてくれました。CTBで出場する可能性が高いですが、シュウペリ・ロコツイ、ブライス・ロビンスも調子がいいので、外国人選手の起用法については悩むところです。また、日本人選手も調子がよく、複数のポジションをこなせる選手が多いので、いいバランスでメンバー編成できると思います。」
◆東芝、三洋を越えなければ日本一はない
―体作りの点では気をつけているところはありますか。
「フィットネスのつけ方に気をつけています。去年は、ランニングフィットネスを養う時間が長すぎて、ゲームフィットネスに移行する期間が短くなってしまった。加えてシーズン直前にインフルエンザで練習試合ができなくなった。今年はゲームフィットネスについては、早めに仕掛けるようにしました」
―今年のトップリーグはどうなりそうですか。
「夏合宿で他チームの試合を見ましたが、東芝と三洋電機は、ひとつひとつのコンタクトの強さ、スピード、リアクションの速さを感じました。このレベルを超えないと日本一にはなれないことを、選手にいかに理解させるか。それが開幕までの課題だと思います。序盤戦に上位のチームと当たるので、戦いながらチームを作るのではなく、最初から行きたい。負傷者が少ないですし、いまのところ順調です」
―今季より、ルールの適用が少し厳しくなります。タックル後に相手選手がボールを放す余裕を与えるために、しっかり手を放すなど防御側に厳しく笛が吹かれます。このあたりの影響はありますか。
「反則を気にしすぎてコンタクトの激しさが薄れていくようであれば、おもいきってプレーし、そのプレーが反則をとられた場合はレフリーに確認するようにします。試合中にレフリーとコミュニケーションを図りながら戦う必要があります。練習試合を繰り返す中で、選手も身体で分かってきていますから大丈夫でしょう」

◆ヘッドコーチに必要なのは、決断力
―ヘッドコーチ3シーズン目ですね。ご自身の心境の変化は。
「コーチングスタッフとしてヘッドコーチを補佐していたときは判断力が必要とされ、ヘッドコーチには決断力が求められています。判断力も大切ですが、決断力の重要さを常に感じています」
―長らくチームを引っ張った箕内拓郎選手が移籍しました。何かチームに影響はありますか。
「チーム全体が箕内に頼っていたところがあったので、いまは俺たちがやらなければいけないという意識が高まっています。ポジティブな部分が大きいです」
―今季、各チームに取材していると、「攻撃的に戦う」というチームが多いですね。
「我々も、ディフェンスは重視しますが、攻撃に関しても行けるところはどんどん攻めていきます。昨シーズンの反省点で、地域ごとに戦い方を決めすぎたり、僕が指示を出しすぎたりした面がありました。コンタクトエリアで勝つには、戦うマインドを持っていないといけない。そこで逃げのキックなどを考えると、大事な部分でも逃げの姿勢になってしまう。自陣からでも攻めるときは攻める。相手の反則でペナルティーを得たときも、速攻を仕掛けるなど、チャンスがあればどんどん攻めます。今年は、ゲームリーダーの選手にゲーム運びの指示はしますが、チーム全体には戦う姿勢を持つことを求めたい」
―具体的な目標は。
「まずはトップリーグ制覇です。NECはトーナメントに強いと言われていますが、常に安定した力を発揮し、リーグ優勝を狙います」
―NECサポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
「身体を張ってタックルし、身体を張ってボールを守り、仲間のために身体を張ってボールを前に運び続ける。そういう戦い方がNECを応援していただくみなさんに感動を与えてきたと思います。今シーズンもひたむきに戦い、結果を出し、試合後、みなさんとともに喜び合いたいと思います」
取材:村上 晃一/写真:吉田圭子
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