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2020/02/03

試合レポート

■「小さな差」が積もり積もってグリーンロケッツ、サントリーに敗れる!

 浅野良太ヘッドコーチ(HC)が、「試合の肝」に挙げたのは、後半に、サントリーサンゴリアスに許した2つのトライだった。
 1つは44分に、サントリーWTBテビタ・リーに攻め込んだところでのパスミスを拾われて独走を許したトライ。もう1つは、NO8サム・ヘンウッドのトライ(後述)とSOスティーブン・ドナルドのコンバージョンで7対19と追い上げた直後の60分に、サントリーFB松島幸太朗に奪われたトライだ。
 浅野HCが問題にするのは、トライを奪われたことよりも、奪われた状況だ。
 44分のトライは、風下の前半を14点差でしのぎ、風上に回った後半に勝負をかけようと意気込んだところで、攻め込みながらのミスから失った。
 60分に失ったトライも、ドナルドのハイパントが飛び過ぎて松島にカウンターアタックを仕掛けられ、そこから奪われたものだった。
 浅野HCが言う。
「この2つが、ゲームの流れを持ってこられなかった原因でした。チームは今、アタックにしてもディフェンスにしても向上しつつある。ただ、向上しつつあることを、求めている結末まで持っていく回数を大切に増やしていきたい。1つ1つのプレーを正確にやりきること。そして勝つことが、選手たちの確信につながるし、自信になる。そういう意味で、ここで下を向かずに、第5節以降に積み上げていきたい」



 確かに、サントリー戦は、勝つチャンスがなかった試合ではなかった。
 サントリーは、SHにキャプテンの流大ではなく、新戦力のリチャード・ジャッドを起用。ジャッドは、これが初めてのトップリーグ出場ということもあって、アタックのテンポを上手く組み立てられず、風上に陣取った前半の優位性をあまり発揮できなかった。
 対照的にグリーンロケッツは、立ち上がりの5分に連続攻撃で崩されてWTBテビタ・リーにトライを奪われたが、それ以降は辛抱強く守り続け、ピンチを迎えてもなんとか失点を防いでいた。
 数はさほど多くなかったが、チャンスもしっかり作り出した。
 13分には、ハーフウェイライン付近のラインアウトからフェイズを重ね、右にドナルド→LOサナイラ・ワクァ→CTBティム・オマリーとつないで右にWTB高平祐輝が余った状況を作り出した。しかし、高平につなごうとしたオマリーが「ボールが指に引っかかった……」と痛恨のパスミス。チャンスを活かせなかった。
 前半2つめの失点も、起点はグリーンロケッツのチャンスだった。
 自陣でドナルドが、サントリーがラインアウトから仕掛けたパスをインターセプト。そのまま抜け出し、走りきれないとみて前方にキックを転がした。再獲得すれば絶好のトライチャンスだ。



 しかし、このボールを再獲得することができず、逆にカウンターアタックを仕掛けられる。そして、サントリーにアタックを継続されて、FLツイ・ヘンドリックにトライを奪われた。
 それでも34分には、ドロップアウトのキックを、ドナルドが小さく蹴って自ら拾って走り出し、サポートしたワクァからFBロラギ・ビシニアへとつないで大きくゲイン。ラックでサントリーのオフサイドを誘って、この試合で初めて相手陣の22メートルラインを越えて、マイボールラインアウトのチャンスを得た。
 グリーンロケッツは、モールからのアタックを試みたが、これは前進を阻まれる。が、PR瀧澤直、ドナルド、ビシニアと、次々にタテに走り込むダイレクトプレーで継続。サントリー防御との我慢比べに入った。しかし、ここでドナルドからのパスをワクァが落としてチャンスが潰えた。
 この辺りの攻防を瀧澤はこう振り返った。
「前半はスコアできていなかったので、あそこでPGを狙う選択もあったかもしれません。ただ、一度モールでチャレンジしておく必要もあったので、選択は間違いではなかったのですが、そのアタックを得点に結びつけられなかった。それでも、風下の前半を14点差で終えて、相手の足が止まった後半に僕らが細かく点数を重ねて、15対14でもいいから勝つ――というシナリオが現実的に感じられる展開でした」



 果たして後半は、相手のキックオフをCTB松浦康一が捕って前進。サントリー陣に攻め込んでペナルティを誘い、反撃の態勢を整えた。惜しむらくは、アタックの過程でNO8サム・ヘンウッドが右のスペースに放ったパスが転々とするところを、サントリーWTBリーに拾われ、そのまますれ違われてトライを奪われたこと。
 得点を得るチャンスが失点に結びついたところが、まさに「試合の肝」だったのだ。
 しかも、47分には、ラインアウトからのプレーでサントリーNO8ショーン・マクマーンにタックルに入った亀井亮依キャプテンが、逆ヘッドのような形になって負傷。そのままカイ・ストロームと交代となるアクシデントまで起きた。

「亀井が身体を張っていたのは全員がわかっていたし、今年から単独でキャプテンになった亀井と、今年からHCになった良太さんに、早く初勝利を届けたかった」と、キャプテン代行として記者会見に出た瀧澤は振り返ったが、そんな気持ちが反撃に結びつき、グリーンロケッツがトライを返したのは58分のことだった。
 起点は、自陣での長い防御のなかでNO8サム・ヘンウッドが相手ボールを奪ったこと。
 ヘンウッドは、自らキックを蹴り込み、途中出場のSH山田啓介が追走。サントリーから反則を誘ってラインアウトに持ち込むと、ワクァが前に走り込むサインプレーでゴールラインに迫り、そこから左へFWが密集サイドを執拗にアタックした。



 フェイズを重ねること8つ。最後はヘンウッドが、自ら潜り込むようにトライに仕上げたのだ。
 場内アナウンスも公式記録も、トライはLOサム・ジェフリーズとなっているが、ジェフリーズ本人に確かめたところ「最初のトライは僕じゃない。ヘンウッドだよ」と、明言した。
 そして、66分には、そのジェフリーズが、トライを挙げる。
 これはラインアウトから、ドナルド、ヘンウッド、ジェフリーズと、シンプルに強いランナーにボールを集めて突破したトライだが、その前に途中出場でWTBに入った亀山雄大が、粘り強い走りでタッチライン際を走ったプレーが起点になっている。
 試合の細かい局面を取り上げれば、こうしたいいプレーも飛び出したグリーンロケッツだったが、それが散発で終わっているところに勝ちきれない原因がある。
 松尾健バックスコーチが言う。
「12点差まで追い上げたところで、ではそこから5点差にするにはどうすればいいかと考えなければならないのですが、実際にアタックをすると、我慢ができていない。ウォーターボーイをやった釜池真道の話では、12点差に迫った場面では、選手たちから『ここから逆転するぞ!』という声が出ていて雰囲気は良かったそうですが、そこで細かいオプションの選択ミスが出た。



 今のチームには、熱くなるとチームのストラクチャーを忘れてしまう傾向があって、ディフェンスでも、ストラクチャーを無視して1人で飛び出してしまう場面もある。だから、いかに冷静さを保って、我々のラグビーを貫けるか。それが初勝利のための課題となります」
 そのために必要なのは、小さな自信の積み重ねではないか、と言うのは瀧澤だ。
「開幕から3試合で結果が出なかったことが積み重なって、今日の試合の差になったように思います。実際には相手と大きな差があるわけではなく、本当に小さな差なのですが、そこで自信を持てなくなっている傾向がある。だから、試合の細かい局面で、いいプレーをした実績、抜けた実績、トライを取れた実績、タックルで倒した実績……と、1つ1つ積み重ねていけば、それがチーム全員の自信につながってくるでしょう。そういうところで勝つ実績ができれば、これからの結果も変わってくると思います」
 4連敗という苦しいスタートを切ったグリーンロケッツだが、来週はバイウィーク(休養週)。つまり、一息ついて課題を見つめ直す時間が与えられた。
 そして、バイウィーク明けに待っているのが、ともに未勝利の三菱重工相模原ダイナボアーズとの、初勝利をかけた“決戦”だ(16日 ギオンスタジアム 13時キックオフ)。
 ここで勝利を挙げることが、再上昇に転じるためには絶対に不可欠。
 1つ1つのいいプレーを得点に結びつけ、得点を重ねることで勝利という結末をつかみ取ることができるかどうか――グリーンロケッツの底力が、問われている。




 第2節の日野レッドドルフィンズ戦でトップリーグデビューを果たしたとき、ティム・オマリーは背番号10を背負ってSOで先発した。
 続く第3節のキヤノンイーグルス戦では、同様にSOで先発しながら、途中で金井大雪が入るとSOのポジションを譲り、インサイドCTBに移ってプレーを続けた。
 そして、このサントリーサンゴリアス戦では、12番をつけてCTBで先発と、ポジションを替えながらも試合に出続けている。それだけ、今季のバックスの核として期待されているのだ。
 同時に、サントリー戦は、オマリー自身にとってもワクワクするような試合だった。
 なにしろ、母国ニュージーランドで代表23キャップを持ち、11年W杯決勝戦で、途中出場ながらフランスと8対7という死闘を繰り広げた際に、決勝PGを決めたスティーブン・ドナルドが10番に入って、いっしょにバックスラインを構成したからだ。
「今日は、ドナルドと初めていっしょにプレーできて、とても嬉しかった。ニュージーランド出身の僕にとって、彼は目標となるプレーヤーだからね。しかも、ドナルドといっしょにプレーすることは、さまざまなことを学ぶ良い機会だと考えていたんだ。だから、本当に楽しみだった」
 もちろん、チームが3連敗と苦境にいることもしっかりと頭に刻み込んでいた。
「チームメイトのみんなもそうだったけれども、僕自身もすごく気持ちが入った状態でキックオフを迎えたんだ」
 けれども、結果は14対40という敗戦に終わった。
 しかも、前半13分には、右にWTB高平祐輝を余らせた絶好のチャンスで、上手くパスを通せなかった。スタンドから見ると、チャンスに力んだように見えたのだが、その点を確かめるとこんな答えが返ってきた。
「いや、別に力んだわけではない。指にボールが引っかかってしまったんだ。ああいうミスをすると自分に対して腹が立つけれども、大切なのはそういう気持ちを引きずらずに、次のチャンスにいいプレーをすること。いつもそういう気持ちでプレーしているよ」
 けれども、気持ちを切替えても、チームの劣勢は覆せなかった。
 その点については、こう話す。
「今のチームは、前に出る勢いがあるときはとてもいい。実際に今日もそれでトライをとれている。ただ、エリアマネジメントをしっかりする必要があると思う。相手陣内に入って、チームの勢いを引き出すようにしないと、チームが持っている力を上手く引き出せないんだ。
 ディフェンスでは、やはりミスタックルが多い。これは僕自身も含めて、チームで改善しなければならない課題だと思う。今日の試合でも、僕自身にいくつかタックルミスがあって、自分に腹が立ったけれども、そういう部分で一貫性を持ってしっかりタックルしたい。これからチームが勝っていくために、堅いディフェンスで貢献したいんだ」
 オマリーは、パスにキックにと、アタックの要というイメージが強いが、本人は、自らを偏りのない「オールラウンダー」タイプだと言う。
「僕は、パスも、キックも、タックルも、ランもできる。オールラウンドなプレーができるところが、強みだと思っているんだ。これは日本の選手もそうだと思うけれども、僕は、ラグビーに関わるすべてのプレーが好きだ。だから、ポジションがSOであろうとCTBであろうと戸惑うことはない。もちろん、12番はコンタクトが多くディフェンスで身体を張ることが求められるし、10番ならば、周りを上手く使ってゲームをコントロールすることが求められる。そういう役割の違いは確かにあるけれども、それは僕にとって、それほど大きな違いではない。それよりも、オールラウンドにプレーできる部分で強みを発揮して、チームの勝利に貢献したいんだ」
 だからこそ、トライを導くようなプレーだけではなく、ディフェンスでの貢献を常に心がけているのだ。
 そんなオマリーの貢献が、第5節は勝利に結びつくのか。
 グリーンロケッツに今季から加わった新戦力は、今、チームの初勝利への過程で働き続けることを心に決めている。
 

(取材・文:永田洋光)

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リコーブラックラムズ

NECグリーンロケッツ

リコー

12 0 - 12 26
12 14
T G PG DG   T G PG DG
0 0 0 0 2 1 0 0
2 1 0 0 2 2 0 0
2 1 0 0 4 3 0 0

2020/02/22 11:30

東京・秩父宮ラグビー場

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