NEC Green Rockets

NEC orchestrating a brighter world

NEC SPORTS.NET

 
 

NEWSNECグリーンロケッツ ニュース

カテゴリー一覧

月別アーカイブ

2020/01/28

試合レポート

■キャプテンが「悔しい」と涙した敗戦を、グリーンロケッツは次節につなげるか?

 開幕から3連敗という非常事態に、亀井亮依キャプテンは目を潤ませて記者会見場に現われた。
 そして、その理由を訊ねられると、「正直、悔しい……」と言葉を詰まらせた。
「準備段階からハードワークしてきたのですが、試合全般を振り返って、自分たちが準備してきたことが20%くらいしかできていない。それが現実。開幕から3試合、そういう状態が続いている。……それが悔しい。ラグビーはチームスポーツですから、僕自身の力ですべてできるわけではないのですが、だからこそ、僕自身も、何に取り組まなければならないかをもっとクリアにしていかなければならない。そう思います」
 こぼれ落ちそうになる悔し涙をこらえながら話した、キャプテンの“涙のワケ”だ。
 確かに前半40分を終えて4トライを奪われ、しかもすべてキヤノンイーグルスSO田村優にコンバージョンを決められてスコアは0-28。立ち上がりの10分間を除けば、ほとんどアタックらしいアタックができず、自陣での苦しい防御を強いられて、それが失点につながっている。
 そうなった原因について、亀井キャプテンも浅野良太ヘッドコーチ(HC)も「ディシプリン」を挙げた。
 前半の反則数は、グリーンロケッツが10(内1つはフリーキック)。対するキヤノンは、わずかに2つ。これではボールを獲得できず、「準備してきたことが出せない試合」になる。
 どこからグリーンロケッツのディシプリンは乱れたのか――。



 浅野HCは「最初の10分の入りは良かった」と言う。
 確かに、4分過ぎにはキヤノンのモールを上手く守ってボールを出させ、3フェイズ目でCTBアマナキ・サヴィエティが相手からボールをもぎ取ってカウンターアタックに出る。
 前に出たサヴィエティからパスを受けたWTB高平祐輝も、相手防御の間をスラロームのように駆け抜けて前進。さらに大きく右のスペースへボールを動かす。が、この日がトップリーグ初先発のSH吉川浩貴とCTB松浦康一の呼吸が合わずにパスが通らなかった。
 7分にも、相手が落としたボールを拾った高平が大きくキックを蹴り込み、相手が蹴り返したボールをFB宮島裕之が前方に蹴る。宮島は、そのままボールを追走。バウンドしたボールが一瞬手に入りかけたが、相手と交錯してこぼれ落ち、ノックオン……。
 試合が暗転したのは、このスクラムで反則を取られたところからだった。
 キヤノンはボールをタッチに蹴り出してラインアウトに。そこから8フェイズを重ねてグリーンロケッツの防御を揺さぶり、背後にスペースが空いたところでキヤノンFBエスピー・マレーがキック。それをWTBマイケル・ボンドが捕って、そのままトライに仕留めた。
 これが12分のことだ。
 続くリスタートからの攻防でもグリーンロケッツはラックで反則を犯し、またもや自陣での相手ボールラインアウトのピンチに追い込まれる。
 ここでキヤノンは、ボールを大きく動かすことを予測したグリーンロケッツ防御の裏をかくように、一度左でラックを作ってからすぐに右の狭いサイドを攻め、NO8コーバス・ファンダイクを走らせる。そして、できたラックからPR岡部崇人が真ん中を割ってそのまま抜け出し、トライを追加した(16分)。



 反則と細かいハンドリングエラーでマイボールのセットプレーを得られなかったグリーンロケッツは、22分に初めて自陣でマイボールのラインアウトを得る。そこでキヤノンの反則を誘うと、地域を前に出してふたたびラインアウトから攻めた。フェイズを3つ重ねたところで松浦が相手の背後にボールを蹴って、ようやくキヤノン陣内22メートルライン付近まで攻め込んだ。
 しかし、このラインアウトでキヤノンがモールを組んだ際にオフサイドを犯して地域を中央に戻され、さらにそこでも反則を繰り返して、自陣に攻め込まれた。
 反則が多発した要因を亀井キャプテンはこう説明する。
「前半は、ラインアウトモールのところでレフェリーとのコミュニケーションが上手く取れなかった。1人1人は姿勢も良くファイトしていたのですが、孤立していたために、横から入ったと判定されて反則を取られました」
 28分には、トライ寸前に迫ったキヤノンWTB山田聖也を、ディフェンスに戻ったFLサナイラ・ワクァが倒してノックオンを誘うが、このタックルがノーバインドの危険なタックルと判定されて、せっかくトライを防いだのにキヤノンにペナルティが与えられる。
 キヤノンは、ここからラインアウトにしてモールを押し込んでトライを追加する(29分)。
 なかなか攻め込めないグリーンロケッツは、34分に、SOティム・オマリーのハイパントで相手陣に入り、ボールを再獲得。しかし、オマリーが自ら勝負に出たところでタックルを受けて落球。おまけに、続く一連のプレーで、ボールを蹴ったマレーにワクァがレイトタックルを見舞ってシンビンとなり、FWが1人減った人数的な不利をつかれて37分にモールからトライを奪われた。
 グリーンロケッツが今季初めて関東地方で行なう試合。会場には1万人を超える観客が集まったが、その前で0-28というスコアでハーフタイムを迎えることになった。



 後半の立ち上がりも、この試合で初めて大きな突破を見せたサヴィエティが、キヤノンの2人がかりのタックルでボールを奪われ、そのまますれ違いでトライを奪われる嫌な失点で始まった。
 しかし、50分、流れを変えるプレーが出る。
 キヤノンボールのラインアウトからのパスを、HO川村慎が「パスが遅いから狙ってました」とインターセプト。ようやくキヤノン陣内に攻め込んだ。
 そして、一度はゴール前のラインアウトでボールをスチールされたが、キヤノンのノータッチキックをWTBロラギ・ビシニアがカウンターアタック。そこからふたたびアタックを継続して、左にワクァ→高平→松浦とつないでサヴィエティがようやくトライを返した。
 オマリーがコンバージョンを決めて7-35。
 20分にはキヤノンにPGを決められて7-38と差を広げられたが、そのリスタートのキックオフをビシニアがタップして再獲得。そこからフェイズを重ね、途中出場でWTBに入った亀山雄大がゴールラインに迫る。さらに亀山が倒されたラックから右に大きく展開し、NO8サム・ヘンウッドが力強く前進。最後はこちらも途中出場のLO廣澤拓がインゴールに飛び込んで、ノーホイッスルトライに仕上げた。
 オマリーのコンバージョンは外れたが、12-38と差を詰めた。



 サヴィエティのトライの直後に、グリーンロケッツは負傷明けのサヴィエティを下げて金井大雪を投入。金井がSOの位置に入り、オマリーがインサイドCTBの位置に移動したが、この布陣がリズムを生み出して、廣澤のトライにつながったのだ。
 ルーキーのハーフ団が途中からゲームを活性化させたことについて、浅野HCは、「金井は準備が上手くできれば、すごくいいパフォーマンスを発揮できる。今日は、いい準備がいいパフォーマンスにつながっていた。吉川も、開幕節で10分間プレーして、非常にいいものが見えたので、今日は先発で使った。今後、新人の9番10番という可能性は大いにあると思います」と、高く評価した。
 しかし、一方で、「後半は相手陣に入ることができるようになって、スコアできた。そこが唯一の収穫」(亀井キャプテン)というのも事実だ。
 何よりも、規律を守ることを掲げて春から強化してきたにもかかわらず、そして、春のトップリーグカップでは改善の兆しが見えたにもかかわらず、シーズン本番で規律が乱れた点は、これからの大きな修正課題だ。
 次節は、2月1日(土)のサントリーサンゴリアス戦だ(大阪・万博記念競技場 13時キックオフ)。反則を犯せば、サントリーの攻撃を自陣で受け続けることになりかねない。
 それでも浅野HCは「次節はいいチャレンジの舞台」と前を向く。
「サントリーに、プレシーズンマッチで0-62と敗れたチームが、1か月でその差を覆すことができるかを試す非常にいいチャンス。そういう力を示すことが我々の存在価値であるし、日本一のディフェンスを、言葉だけではなく体現できるか。トップ4の攻撃型のチームとの対戦で証明したい。挑み甲斐のある相手だからこそ、モチベーションも高まると思います」
 3節を終えてまだ未勝利でいる“崖っぷち”から、どうカムバックするか。
 次節で問われるのは、グリーンロケッツのプライドと反発力だ。






 2人のルーキーにとって、待ちに待ったトップリーグデビューだった。
 今季のルーキー3人のうち、すでに金井大雪は10番を背負って春のトップリーグカップからファースト・ジャージーに袖を通していた。
 けれども、同期の當眞琢は第4節の豊田自動織機シャトルズ戦、第5節神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦で途中出場したが、先発はなし。吉川はトップリーグカップでの出場機会がなく、初めてのファースト・ジャージーは開幕節の宗像サニックスブルース戦だった。しかし、途中出場で背番号も21。
 そんな2人が、キヤノンイーグルス戦は、それぞれ3番と9番を背負ってキックオフからピッチに立った。
 待ちに待った初の先発出場だった。
 當眞が言う。
「今季の開幕戦(サニックス戦)のメンバー23人に、同期のなかで自分だけが入っていなかったので、それがけっこう悔しかったですね。だから、今回はいっしょに出られて嬉しかったのですが……でも結果がついてこなかった。それが残念です」
 吉川は、先発9番で起用されたことについて、浅野良太ヘッドコーチ(HC)の指示を守ることを心に決めていた。
「HCには、テンポを出して流れを活かすようにと言われたので、そこを一番に意識して試合に入りました。ただ、自分がいいテンポでボールをさばくには、ボールキャリアがしっかりいいゲインをしてボールを見せてくれることが必要。それは僕1人ではできないので、周りの選手たちにしっかりやってもらうことが大事になりますが……。今日はペナルティで相手にボールを渡して、ディフェンスする時間がすごく長かった。それを自分たちの時間にできなかったところがこういう試合になった原因だと思います。僕も、周りの選手たちに、しっかりアプローチしきれなかったと反省しています」
 當眞にとっても、公式戦での初めてのスクラムは反則を取られる結果となった。前半9分のことだ。そのとき、場内の画面に、一瞬ムッとしたような當眞の表情が映し出された。
「僕がスクラムでアグレッシブに仕掛けるべきところで、相手に先に仕掛けられて反則を取られたので、そういう悔しさがすごくありました。でも、すぐにタッキー(瀧澤直)さんが『次、次』と声をかけてくれました。頭を切替えろ、ということです。そういう周りの先輩たちの支えがあったので、今日はなんとか前向きにプレーできたと思います」
 當眞が、トイメンに仕掛けられて歯ぎしりしたのとは対照的に、吉川は「トイメンは全然意識せず、自分のプレーに集中しようと思っていました。あまり意識してしまうと、逆に良くない影響が出ると思ったので……」と話す。なにしろトイメンは、日本代表キャップ75の田中史朗だ。昨年のW杯で大活躍して、この試合の集客の“原動力”ともなった大物なのである。
 そして、言葉通り、動じることなく、物怖じせずにプレーを続け、後半は途中から入った金井とハーフ団を組んで、テンポの良いアタックをセットアップ。62分には、廣澤拓のノーホイッスルトライに結びつけた。
 浅野HCが、「今後、新人の9番10番という可能性は大いにある」と話す所以だ。
 さて、金井も含めた今季のルーキーたちは、これからのリーグ戦でも出場機会をどん欲に求めている。
 吉川が言う。
「今日はだいぶ自信になりました。同期といっしょに出てすごく楽しかったのですが、アタックで準備していたことがたくさんあったのに、それがほとんどできなかった。次に出る機会があれば、自分たちがしっかりボールをキープして、アタックする時間を増やせるようにプレーしたいですね」
 當眞の目標はもっと具体的だ。
「もし、サントリーサンゴリアスとの試合に出場する機会があれば、トイメンが帝京大学の先輩の森川由起乙さんになる可能性がある。そうしたいろいろな相手と組んで、もっと経験値を上げたいですね。ゲームのなかで成長できれば、と思っています」
 浅野HCも、當眞を含めて、フロントローの若手には「1週間、1か月単位ではなく、もっと長いスパンで成長を見守りたい」と話すが、もちろん、結果が求められるのは言わずもがな。
 果たしてルーキーたちが、3連敗と窮地に立たされたグリーンロケッツを、再上昇させる起爆剤となれるのか。
 これが、グリーンロケッツの今季の新しい見所になる。
 
(取材・文:永田洋光)
 

NEWS一覧

RESULT

最新の試合結果

トップリーグ 

NEC
グリーンロケッツ

vs

リコーブラックラムズ

NECグリーンロケッツ

リコー

12 0 - 12 26
12 14
T G PG DG   T G PG DG
0 0 0 0 2 1 0 0
2 1 0 0 2 2 0 0
2 1 0 0 4 3 0 0

2020/02/22 11:30

東京・秩父宮ラグビー場

試合詳細