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2020/01/28

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「タッキー・イン・USA」瀧澤直のメジャーリーグラグビー挑戦記



 入社10シーズン目の今季、瀧澤直の「挑戦」が続いている。
 チーム事情もあって、18日の日野レッドドルフィンズ戦では3番の右PRで先発出場。瀧澤がトップリーグで3番に入るのは、デビュー戦の10年12月4日の豊田自動織機シャトルズ戦で、後半22分に土井貴弘と交代して以来。本人は、「1番から3番に代わるのはそれほど難しくない。苦しくて重たいのを我慢すればいいだけですから」と話すが、フォア・ザ・チームで果敢にチャレンジしている。
 もう1つ、昨年5月にもアメリカで18年に誕生したばかりの「メジャーリーグラグビー(以下MLR)」にも、日本人選手として初めて挑戦。オースティン・エリート(現オースティン・ハード)で3試合に出場した。
 太平洋の向こう側で生まれたMLRとは、どのような可能性を秘めたリーグなのか。
 そして、アメリカで行なわれているラグビーは、どのようなレベルなのか。
 日本人として初めてのMLR挑戦について、語ってもらった。
 

――MLRでプレーするようになった経緯を教えてください。


 NECに入って10年になりますが、その間、さまざまな経験を積んできました。そのなかで、30歳を超えて、どこか海外で新しい人生経験を得られれば、という思いが出てきました。それも、“お客さん”として扱われるような環境ではなく、チームにしっかりコミットできるような形でプレーする経験を積めればいいな、と。それが一番最初に考えたことでした。
 時期的にも、昨年はW杯でトップリーグの開幕が遅くなることがわかっていたので、海外でプレーできる時間があった。それが、きっかけです。アメリカでラグビーをやることは、最初から決めていたわけではなく、正直に言えばどこに行っても良かったのですが、いくつかの選択肢のなかで自分にとって魅力的で、かつ可能性があったのがMLRだった。可能性を模索しているなかで縁があったのが、僕が所属したオースティンでした。
 当初は10試合くらいに出場する予定でしたが、ビザの取得に時間がかかって、結局アメリカに行けたのは最後の3週間くらい。それがちょっと悔しかったですね。
 NECでもプレーしたアダム・トムソンも、MLRのチームと契約したというニュースが流れましたが、彼も結局ビザが取得できず、チームに合流しなかったという話です。


 

――ドナルド・トランプ大統領になってビザ取得が厳しくなったと聞きましたが、その影響もあるのですか。


 そう聞いています。
 

――合流したとき、オースティンは黒星続きでしたね。


 MLRは全部で16試合あるのですが、チームは、僕が行ったときに13連敗中でした。僕も連敗中に試合に出ることになったので、何か変化を与えて勝つことができればいいな、と強く思いました。でも、結局連敗を止められなかった。
 ただ、勝てなかったという意味では悔しかったのですが、そういうなかに身をおけたことも貴重な経験でした。最初の試合は、ニューヨークのチームに7-27で負けましたが、立ち上がりにポンポンとトライを奪われて、前半で試合が決まった。シアトル戦も、やはり最初にとられて試合が決まってから反撃したような感じでした(26-38)。シアトルは優勝チームでしたし、オースティンも16連敗するようなチームではないのですが、まだ接戦を勝ちきれるような文化が根づいていないように思いました。でも、その分、将来性はあると思います。
 

――オースティンというのは、どういう街ですか。


 テキサス州の街で、メキシコ国境に近いところにありました。
 僕が行ったのはMLRが発足して2シーズン目です。正直なところ、行く前はアメリカの一般の人たちがラグビーをそれほど知らないのではないか、という思いがありました。プレーヤーにしても、昨日までアメリカン・フットボールをやっていたような選手ばかりではないか、と。
 でも、実際に行ってみるとそんなことは全然なくて、小さい頃からラグビーをやって来た選手が多かった。スキルレベルで見ると、それほど高くないと感じることもありましたが、とにかくほとんどの選手が、15人制のラグビー・ユニオンをずっとやってきた選手です。
 ラグビーは、アメリカ国内でメジャースポーツというわけではありませんが、ただ誰も知らないスポーツでは全然なかった。多くの人がラグビーの経験を持っていますし、一般の人も、ラグビーという単語を出しても、どういう競技か理解していました。


 

――さすが、スポーツ大国ですね。


 アメリカという国は、とにかくスポーツが大好きなんだ、と改めて実感しましたね。
 なんとなくそうだろうなとは思っていたのですが、現実はそれ以上にスポーツが好きでした。ケーブルテレビにはスポーツ専門のチャンネルが多くあって、なかには1日中NBA(バスケット)やNFL(アメリカン・フットボール)、NHL(アイスホッケー)、MLB(野球)の話題をワイドショーのように延々と語っている局がいくつもあった。
 街でも、僕らがご飯を食べているときに、近くに座った普通のオバチャンが「どんなスポーツをやっているの?」と話しかけてくる。「ラグビーだ」と答えると、「そう。いつ試合があるの?」という感じで、日本以上にスポーツが好きな国なんだな、と思いました。
 

――クラブの経営形態はどういう感じでしたか。


 3週間ではそういう話を詳しく聞く時間がなかったのですが、スポーツが好きでラグビーが好きで……というオーナーがいて、お金を出している。経済的に余裕がある人がチームを持って、そこにスポンサーをつけてチケット収入を得ようとしているイメージでした。
 規模は別にして、チームが1つのプロスポーツのクラブとして成り立っていて、ニュージーランドのクラブのあり方とも違う。MLRには、複数の共同出資者でチームを持つケースもありますが、オーナーが1つのビジネスとしてチームを運営している感じです。
 4大スポーツの成功例に反することなく、同じような運営形態をとろうという意識があるのでしょうね。もちろん、ラグビーは金額的な規模でも人気の面でもまだ差がありますが、モデルとしては同じ考え方でした。
 特に今は、サッカーが、メジャーリーグサッカー(MLS=96年開幕)として成功したので、その影響もあると思います。MLSも、観客数が2千人、3千人という規模からスタートしたのですが、今は何万人も入るようになっています。だから、考え方としては同じようなものでしょうね。
 

――地域密着度はどうでしたか。


 オースティンという街の名前を冠しているだけあって、街の人々のためにという話も出ますし、この街で育った選手を将来的にチームに入れたいという話も聞きました。地元にもラグビースクールはあって、僕がいたときは訪問する機会がなかったですが、オフシーズンには、そういうスクールに教えに行ったりするみたいです。


 

――試合のレベルはいかがでしたか。


 全体的なレベルで言えば、日本の方がまだまだ高いと思いましたが、そんなに簡単に比べられるものでもない。コンタクトの面では、アメリカの方がもしかすると上かもしれません。身体が大きな選手がいるのはもちろんですが、プレーヤーが世界各国からきている。
 南アフリカやニュージーランドといった伝統国だけではなく、フィジーやトンガといったアイランダー系の選手たちもいますし、カナダや南米の国からきた選手もいる。元フランス代表のマチュー・バスタローや、元ニュージーランド代表のマア・ノヌーもMLRでプレーしています。そういうワールドクラスのプレーヤーもいれば、子どもの頃から地元でラグビーをやってきた選手もいる。さまざまなレベルの選手が混在している感じですね。
 スキル面では、個々には高いスキルを持った選手もいますが、チームとして見ると、まだ全体的な部分では少し見劣りがする。もちろん、「レベルがムチャクチャ低い」という段階ではありませんが、日本の方がスキルは若干上のように思います。試合をすれば、点差をつけて勝てるとは思いますが、実際は、それほど差がないでしょうね。
 むしろ、これからのチーム、これからのリーグ、これからの国というイメージです。
 今、NECでプレーしているティム・オマリーもプレーしていましたし、僕がマナワツにラグビー留学していたときにいっしょにプレーした選手もいた。だから、レベルもそこそこ高いと考えた方がいいでしょうね。
 

――実際に、スクラムを組んだ印象はどうでしたか。


 アメリカでは1番をやりましたが、僕は、身体は小さいけれどもテクニックがあるのでなんとかなると思っていました。でも、改めてスクラムは個人ではなく8人で組むものだと思い知らされましたね。トイメンに勝てそうだという感触を持って組んでも、思った通りにはいかなかったし、本当に8人が1つになって組むものだと改めて実感しました。
 

――日々の生活はどういう感じなのですか。


 僕も一応プロフェッショナル扱いでチームに参加していたので(笑)、朝に練習やウェイトをして、昼食を挟んだあとにグラウンドで練習をする。それで14時、15時に終了してあとはフリーという流れでした。週中に休みの日があったり、試合前日が移動だけだったりということもありましたね。なにしろ、国内の移動といっても大きな国ですから、飛行機で4時間ということもありました。僕が出た試合は3試合ともアウェーでしたから、試合当日に移動してストレッチしただけで試合に臨む、みたいなこともありました。
 オースティンはすごく治安がいいみたいで、街に出たときも不安を感じることはなかったですし、危険を感じたこともありませんでした。けっこう夜中に一人で歩いたりしたんですけどね。でも、街が大きくてみんな車を使うので歩いているのは僕1人みたいなことが多かった(笑)。
 チームメイトとは、滞在が3週間だったので、最初の1週間は名前を知ってもらうための1週間。次は、遊びに行くための1週間で、最後の週はもう出発の準備でした。試合が終わったあとでみんなとビールを呑んだことはありましたし、みんなお金がないので、練習に行くのに仲間が持っている中古車に何人も乗り込んで……みたいな感じでした。食材を持ち寄って、バーベキューしたこともありましたね。
 言葉は……まあまあ、何とかなるもんですね。助けてもらいながら。何しろ、日本語を話す人が周りに一人もいない環境でしたから、話す以外にどうしようもなかった(笑)。


――NECになにかフィードバックできることは?


 日本では、いい部分も含めて、ラグビーは企業スポーツです。だから、選手も企業も、お互いに相手におんぶしている部分はある。環境が良いので、選手がさらに良い環境を求めるあまり、逆にプレーヤーとしてもっと大切にしなければならない部分を忘れているのかもしれない。もちろん、それは選手として当然の要求ですが、環境が良かろうが悪かろうが、そのなかでもできることはある。そんなことを考えました。
 それから、僕らは企業に雇われているので、ファンに対してよりも企業に対して目を向けている部分が、なきにしもあらずでしょう。でも、自分自身がプロフェッショナルであれば、たとえ実力がなくても、人気があればチームはその選手を簡単には解雇できないわけですから、そういう点では、日本の選手も、もっとファンを大切にすべきだなと思いました。逆に、企業には魅力あるチームであるために、どうしていくのが良いかを考えてもらいたい。
 アメリカで感じたのは、変化しないことは後退しているのと同じことではないか、ということ。
 そういう意味で、これからは日本でも、選手も会社も変わって行かなければならないのだろうな、と思いました。それが、アメリカで一番強く感じた部分です。
 

――早稲田大学ラグビー部で1年先輩の畠山健介選手が、サントリーサンゴリアスを退団して、MLRに新しくできたニューイングランド・フリージャックスに移籍しました。瀧澤さんも、チャンスがあれば、もう一度MLRにチャレンジしてみたいですか。


 チームには怒られるかもしれませんが(笑)、今はメチャクチャ行きたいです。
 今回は3週間の滞在でしたが、いろいろな驚きも含めて、それだけの刺激がありました。
 リーグができてまだ2年目で、レベルもどうなるかもわかりませんが、将来性をすごく感じましたね。特に、リーグが立ち上がる時期に立ち会えたのが嬉しい経験でした。
 だから、健介さんみたいに、新しいチームに行く人がうらやましい。
 僕がいたオースティンはできてから2年目のチームだったので、前の年からプレーしている選手もいたし、チームの人間関係もそこそこあった。でも、健介さんは、まったくのゼロから立ち上げるときに入るわけですから、それは貴重な経験になるでしょうね。
 チームに歴史がないのはもちろんマイナスになりますが、同時に大きなプラスでもある。今後、日本にもこういうチームが生まれるかもしれないという意味では、どういうふうにチームができるか体験できるのは貴重でしょう。そういう意味も含めて、アメリカはすごく魅力的でした。
 オースティンにしても、今はお金がないみたいですが(笑)、でも、将来性はある。最終戦を前にしたミーティングで、オーナーのリチャード・オズボーンが「今はギャランティに不満があるだろうが、5年後にはキミたちがミリオネア(億万長者)になる可能性だってあるんだ」と話したことは、強く覚えています。本当に、そういうアメリカンドリームにかけている。
 もちろん、これからのMLRは、お金のあるチームや大都市にあるチームが強くなっていくと思いますが、そんな夢を見られるところが、アメリカのプロフェッショナルスポーツなのだと改めて感心しました。だから、よけいに彼らがこれからどうなっていくのかに興味がある。その渦中にいられたら面白いだろうとも思う。そのくらい、たくさんの刺激を受けましたね。
 

――ありがとうございました!





 
(取材・文:永田洋光)
 

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リコー

12 0 - 12 26
12 14
T G PG DG   T G PG DG
0 0 0 0 2 1 0 0
2 1 0 0 2 2 0 0
2 1 0 0 4 3 0 0

2020/02/22 11:30

東京・秩父宮ラグビー場

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