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2020/01/14

試合レポート

■テンポの悪さがミスを生む悪循環で、グリーンロケッツ、開幕戦を落とす!

「正直なところ、今日の試合を落としたことは非常に悔しい」
 亀井亮依キャプテンが記者会見で絞り出した一言が、NECグリーンロケッツの開幕戦を象徴していた。
 直近の2シーズン負けていない宗像サニックスブルースを相手に、18-24の敗戦。
 トライ数はともに3つずつ。コンバージョンの差が勝敗を分けたが、キャプテンが悔しがったのはキックが入らなかったからではない。アタックのリズムが悪く、自分たちのテンポに持ち込めないまま、敗れたからだった。
 手も足も出ない敗戦ではまったくなかった。
 ボール保持率(ポゼッション)でもグリーンロケッツが上回った。
 けれども、長くボールを持ってはいても、サニックスを圧倒することができなかった。
 亀井キャプテンが言う。
「相手に脅威となるアタックができていない。チャンスメイクするためにはアタックのテンポが必要ですが、そのテンポを作り切れなかった。アタックを仕掛けても、自分たちのポジションを意識するのに精一杯という状態でした。その発端は、やはりブレイクダウンでテンポを崩されているというか、いいボールを出せなかったことにあると思います」
 浅野良太ヘッドコーチ(HC)も、こう言った。
「特に前半は、ゴール前までは行ったものの、そこで取り切れなかった。取り切るという部分が前半にできていれば、こういう形にはならなかった。崩しかけてはいるけれども、フィニッシュまでは行けなかった……」
 グリーンロケッツは、80分間一度もリードすることなく、常に後手を踏んで敗れたのだった。



 開幕戦を気持ち良くスタートできなかった具体的な要因は、前半10分にSO亀山宏大のPGで3-3と追いついてから9分近くの時間帯と、後半23分にサニックスLO福坪龍一郎がシンビンとなってからの10分間に得点できなかったところにある。
 現象的には、16分に16フェイズを重ねてサニックスを攻め立てながら、サニックスFB屋宜ベンジャミンレイにパスをインターセプトされ、独走トライを奪われたことが響いたが、それがすべてではなかった。
 直前の13分には、サニックス陣22メートルラインのラインアウトからモールを組み、オフサイドを誘ってゴール前10メートルでのモール勝負を再度挑んだ。過去の対戦でもトライに結びついた有効なオプションだ。
 そして、モールを押し込んだ。
 けれども、ゴールラインまであと3メートルほどのところまで進んだものの押し切れず、FWで持ち出してラックサイドを攻める。しかし、2つめのラックでジャッカルされてチャンスを活かせなかった。
 15分には、サニックスのキックを捕ったWTB飯山竜太がカウンターアタックで前に出て、ふたたびペナルティを得てラインアウトに持ち込む。
 インターセプトでトライを奪われたのは、ここからのアタックのさなかだった。
 後半の逸機も、似たような形だった。
 シンビンで1人少ないサニックスに対してモールで攻め立てるが、押し切るところまで行けず、FWで小刻みにサイドアタックに移っても、サニックス防御を崩せず、最後はラックに持ち込んだところでダウンボールできずに相手ボールのスクラムとなってしまう。



 テンポの悪さはチーム全体に影響を及ぼして、ハンドリングエラーも多発。そうこうしている間に10分間が過ぎ去り、サニックスが15人に戻る。
 攻めているグリーンロケッツよりも、守っているサニックスに元気が出るような展開だった。
 そして、直後の34分、相手キックをキャッチしたFB宮島裕之にサニックスの選手が殺到。グリーンロケッツは戻りが遅れてラックで宮島をサポートできずにボールを奪われる。サニックスがもっとも得意とする、陣形の崩れたアンストラクチャーな状況が生じてしまったのだ。
 サニックスは、そこからタックラーを引きつけてから放つオフロードパスを多用し、最後はNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがトライを奪って(コンバージョン成功)、13-17まで追い上げたスコアを、13-24と一気に引き離した。



「脅威となっていたサニックスがボールをつなぐ部分」(浅野HC)で、勝負を決められたのだ。
 浅野HCは、多発したターンオーバーの原因をこう振り返った。
「前半は、アシストタックラー(2人がかりのタックルに入った選手)がボールにコンテストしてくるのを排除し切れなかったところが目についた。それによって、スローボールになったり、ターンオーバーが起こった。そこはハーフタイムに修正するよう指示しました。後半は、その部分では勢いが出始めたのですが、要所で相手が人数をかけてきたときに、ボールを確保しているのに、そのあとで乗り越えられて奪われる場面が2回あった。そこは次に向けて修正しなければならない大きなところだと思います」
 亀井キャプテンも、こう付け加える。
「ルーズボールへの反応もそうですが、ブレイクダウンでも、前半から相手の2人目が早くきていると感じていました。後半は、最初にいいボールを確保できたところもありましたが、やっぱり最終的にサニックスの方がブレイクダウンのしつこさで上でした」
 つまり、反応の早さでも、サポートも早さでも厚さでもグリーンロケッツは後れを取った。それが、サニックスの激しいカウンターラックに、グリーンロケッツFWがめくられてボールを奪われる場面となって現れた。一度ならず二度も。



 開幕戦での手痛い敗北のなかで、次節以降につながるプラスの材料を訊ねられた浅野HCは、「収穫はたくさんありますが、1つ挙げればスコアできているところ」と答えた。
 確かにこれだけテンポが悪かったにもかかわらず、3トライを奪い、7点差以内の負けに持ち込んでボーナスポイントを1つ獲得できたことは収穫と言える。
 グリーンロケッツの最初のトライは、3-10とリードされたあとの32分に生まれた。
 10メートルライン付近のラインアウトから左に展開。亀山宏が相手に接近したところで、走り込んだCTB松浦康一に短いパスを放って松浦が突破。できたラックから今度は右に展開し、LO細田佳之がNO8サム・ヘンウッドにパス。ヘンウッドが力強いランニングでサニックス防御を蹴散らして右中間に飛び込んだ。
 2つめのトライは後半開始直後の4分だ。
 SH山田啓介のパスがサニックスの選手に当たってオフサイドのアドバンテージが出たところで、ボールを拾った途中出場のLOハパクキ・リアヴァアが前進。ヘンウッドにつなぎ、ヘンウッドはタックルを受けて倒れながら、左にサポートした宮島にオフロードを通して、宮島が左隅に飛び込んだ。
 リアヴァアが入ったことによって前に出る推進力が強まり、それが功を奏したのだ。
 最後のトライも、途中出場のSH吉川浩貴がテンポ良くボールをさばいてリズムを出し、サニックスの反則を誘ったところですかさず速攻。そのままボールを継続して、最後は右の大外で待っていたFLサナイラ・ワクァがトライに仕留めた。



 いずれも、味方が前に出たチャンスに、早くボールを動かすリズムが生んだトライだ。それだけに、試合の大半をスローテンポで戦う状況に追い込まれたことが悔やまれる。
 開幕戦を「もやもやしたまま終わった感じ」と振り返った亀井キャプテンは、次節以降に向けて、こう奮起を促す。
「自分たちがやろうとしているラグビーに対して、全員がもっと意識を高める必要がある」
 浅野HCがシーズン前に打ち出した2つの柱、「ゲインラインバトルと日本一のディフェンス」をチームにしっかり根づかせるために何が必要なのか――リーダーに頼らず、1人ひとりがもう一度確かめて試合に臨むことが、黒星を白星への起爆剤とする決め手なのである。
 次節は18日、大阪・花園ラグビー場での日野レッドドルフィンズ戦だ(11時45分キックオフ)。
 もう一度シーズン当初の原点に立ち返って、グリーンロケッツがリスタートを飾れるか。
 中5日の短い準備期間のなかで、開幕戦の課題をどこまで消化できるかに勝利はかかっている。





 思わず天高く拳を突き上げていた。
 なかなかいい形でアタックを仕掛けられず、もやもやとフラストレーションが溜まりかけていた宗像サニックスブルース戦の後半4分。16年10月1日のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦以来の先発出場となったFB宮島裕之が、NO8サム・ヘンウッドからオフロードパスを受けて左隅に飛び込み、トライを奪ったのだ。
 チームにとって2つめのトライは、宮島にとっても嬉しいトップリーグでの通算2トライ目だった。
「嬉しさがこみ上げて、思わずガッツポーズが出てしまいました(笑)。つないでくれたボールをトライできたので、嬉しかった」
 それは、初のトップリーグ先発出場で膝の前十字靱帯断裂という重傷を負って以来、復帰へもがき続けた1097日間の苦闘に、楕円球の神様が贈ってくれたささやかな“ご褒美”だった。

 16年のトヨタ戦でWTBとして先発した宮島は、素晴らしい活躍を見せた。前半12分に、チーム最初のトライを挙げ、22-17という勝利に貢献した。
 しかし、後半に靱帯を傷めて退くと、そこから復帰を目指す長い戦いが始まった。途中、一度復帰したこともあったが、練習試合でまた同じ箇所を負傷。この間、宮島にとってのラグビーとは、ケガを治し、リハビリに打ち込むことと、ほとんど同義だった。
「確かにこの3年間は、ずっとケガに怯えていたというか、ケガを背負ってやってきた部分があリました。思うようなプレーができないとか、身体が動かないという葛藤も、すごくあった。でも、負傷したときに、飯田高校時代の恩師・湯澤一道先生に『困難は乗り越えられる人にしか訪れない』と言われたことが、大きな支えになりました。負傷したことも、僕に乗り越える力があるから降りかかってきたのだと思うようにして、常に前へ前へと物事を考えるようにしました。ケガしたことは仕方がないので、次のことを考えよう、と。その間、チームメイトに支えてもらったことも大きかったですし、妻の支えもすごく大きかった。
 だから、今日は、この舞台、このレベルに戻ってこられて嬉しい気持ちでいっぱいでした。
 もちろん、緊張もありましたが、公式戦で観客がいっぱいいて チームとして勝ち負けにこだわる試合に出られたことが良かったし、そのなかで80分間なんとかやりきれた。それが、僕のなかでは大きな収穫でした。かなり自信になりましたね」
 プレーの上でも、宮島は、得意の左足からのキックを織り交ぜ、パスにカウンターアタックにと働いた。トライを取れた喜びはもちろんだが、無事に80分間をピッチの上で過ごせたことが、なによりも嬉しかったのだ。
「もちろん、カウンターアタックできれいなラインブレイクをしたい気持ちはかなりありましたが、緊張もあって、まずはしっかりボールを確保することに優先順位を置きました。その上で、周りの声を聞いてパスをする。そこにフォーカスしていました。開幕戦で硬くなっている部分は確かにあって、もう少し余裕を持ってプレーできれば……とも思いましたが、そのためには試合の経験を積まなければならない。今日は、試合の経験値が少ないことを実感しました。だから、80分間出られた経験を次の試合に活かしたい。経験を積み上げて、1試合ごとにどんどん良くなって行きたい。今は、そこにフォーカスしています」
 この試合では、これまでグリーンロケッツの15番を背負って長くFBに君臨していた吉廣広征が14番のWTBに入る布陣だった。久しぶりの公式戦で緊張の真っ只中にいた宮島にとって、同じポジションの大先輩が近くにいたことは、なによりも心強いことだった。
「吉廣さんは、僕にない経験を豊富に持っていますから、試合中も、たとえばこの場面はどうすればいいのか、というようなことをずっと話していました。もちろん、僕からいろいろ聞きましたが、吉廣さんの方から話しかけてくれることも多かったですね。すごく頼りがいがあって、開幕戦という場に吉廣さんがWTBでいたことが大きかった」
 今は、公式戦で80分間出場することにこだわり、求められるオールラウンドな能力を発揮することが宮島にとっての目標だが、そこにはこんな思いもある。宮島が出場する試合を「見るのが怖い」と言って、この日もテレビ観戦した梨紗夫人をスタンドに呼んで、その前で80分間プレーをして「試合を楽しんでもらいたい」のだ。
「そのためにも、先のことは考えず、今、この一瞬一瞬を大事にして、試合が終われば、また次の試合に向けて頑張る――今は、それが目標です」
 4月で入社6年目となる宮島は、遅咲きの“ファースト・シーズン”にこれから挑む。
 
(取材・文:永田洋光)

 

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リコーブラックラムズ

NECグリーンロケッツ

リコー

12 0 - 12 26
12 14
T G PG DG   T G PG DG
0 0 0 0 2 1 0 0
2 1 0 0 2 2 0 0
2 1 0 0 4 3 0 0

2020/02/22 11:30

東京・秩父宮ラグビー場

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