■NECグリーンロケッツ 新人選手座談会

2019/06/03

今春からグリーンロケッツに加わった3人の新人たち。今季は、5月に部内マッチ、東芝ブレイブルーパス戦と、いきなり実戦経験を積む機会に恵まれた。果たして実戦デビューは会心のものだったのか、それともほろ苦かったのか――3人に思う存分語ってもらった!


 
選手名 ポジション 身長/体重 出身
金井大雪
(かないたいせつ)
SO 177cm/88kg 法政大学
當眞琢
(とうまたく)
PR 181cm/118kg 帝京大学
吉川浩貴
(よしかわこうき)
SH 168cm/72kg 帝京大学


――自己紹介を兼ねて、それぞれポジションと自分の強みを教えてください。


金井  ポジションはSOですが、今はFBもやっています。学生時代からトップリーグでプレーしたいと思っていましたし、NECは、学生時代に一度練習にきたときにすごく雰囲気が良かったので、いいチームだと思っていました。
 自分の持ち味は、パスやキックといったスキルの部分が正確にできるところでしょう。それがグリーンロケッツに誘っていただいた要因かなと思っています。今は、そうした基礎的な部分を磨いて、チームに貢献したいですね。


當眞  僕は、トップリーグで最初に声をかけてくれたチームということでNECに決めました。
 ポジションはPRです。もともとは3番(右PR)ですが、今は1番(左PR)に挑戦しているところです。セットプレーの強さが評価されたと思っていますが、まだグリーンロケッツのスクラムに慣れていないので、先輩たちとコミュニケーションをとりながら、1番でも3番と同じくらい自信を持って組めるようになりたいですね。PRは、場数を踏まないと強くならないポジションですから、ベテランの先輩たちといっしょに練習することで、多くを学べるのではないかと思っています。


吉川 僕も、トップリーグでプレーしたいという気持ちが強くありました。ですから、声をかけていただいて、すぐ決めました。ポジションはSHですが、その局面で一番いい判断を下せるような、状況判断が自分の強みだと考えています。NECでも、そうした良さを発揮したいです。
 昨季は、中嶋大希先輩が1年目からゲームに出場していましたが、そういう先輩といっしょに練習できるのは嬉しいこと。だから、僕も意識して練習に励んでいます。


――5月18日の部内マッチ、25日の東芝ブレイブルーパス戦と、2試合経験してどのような感想を持ちましたか。

吉川  NECでは、大学時代と違って自由に、型にはまらないラグビーができるので、そこが自分に合うかもしれないと思いました。決して大学が自由でなかったわけではありませんが(笑)。
 ただ、トップリーグの当たりの強さは、予想していたより少し上回っていました。その分、フィジカル面でまだ水準に追いつけていないので、フィットネスやフィジカルの強さを、これから上げていきたいと思いました。

當眞  東芝戦は、トップリーグの洗礼でした。グラウンドに入って初めて組んだスクラムを一気に押し込まれたときは、パニックになりました。全体としてふわっと組んでしまったところに押された要因があったのですが、パニックになったのは自分だけで、周りの先輩たちはどこが悪かったのか、どこを修正しなければならないのか、コミュニケーションを取り合っていました。それを見て、すごいなと思いました。
 試合中も、HOの秋山(哲平)さんには「スクラムのときにオレから離れるな」と言われましたし、LOの廣澤(拓)からも「1人でスクラムを組もうとするな」とアドバイスしてもらいました。そうやって、先輩たちとコミュニケーションを取りながら組むうちに徐々に良くなって、そこそこ組めるようになったのは、成長した部分だと思います。
 その直後に1番をやるように言われたのですが、自分としてもプレーの幅を広げることになりますし、チームにとってもそれがプラスになると思いますから、そのことをネガティブには考えていません。



金井  確かにフィジカル面では、今までと違う感触を持ちました。
 でも、それ以上に、味方に外国人選手がいることが初めての経験で、新鮮でした。大学のときは、相手チームにしかいなかったですから。
 これから僕が彼らを使うポジションになると思うのですが、頼もしいと思う反面、まだ感覚的に慣れていない部分もあるので、その辺りを慣れるようにしていきたい。特に、パスがこないと思ったところでも、オフロードでボールをつなごうとしてくれるので、そういうときのコミュニケーションや反応は、これから心がけていきたいですね。彼らは、パスをもらうときも日本の選手より自分の間合いでボールを持つことにこだわるので、その点も考えながらパスを供給できればと思います。それが、自分の引き出しを増やすことにもつながりますからね。

――その2試合で、レギュラーまでの距離は近いと思いましたか。それとも遠かった?


金井  どうですかね……思ったよりできた部分はあったので、まだまだ距離はありますが、最初に考えていたよりは、少し近いかな……。ただ、亀山(宏大)さんが出ていたときはいいテンポでプレーが続いていたのに、僕が入って流れが悪くなったような部分がありました。亀山さんは、どんな状況でも落ち着いて周りを見てプレーしていたので、そういうコントロールは学ぶことが多かったですね。プレーが上手くいかない時間帯に、僕は、自分で何とかしなきゃと思うばかりでコントロールできなかったので、よけいにそう思います。



當眞  自分が入ってのファーストスクラムがすべてでした。初めてのスクラムだからといって押されていいわけではありませんし、1つひとつのスクラムが勝負につながることを考えると、まだまだ自分のスクラムはレギュラーにふさわしくないように思いました。
 自分に自信を持てなかったところに大きな原因があったと思いますが、ただ、試合が進むうちに少しずつ修正して、そこそこスクラムが組めるようになったのは、逆に自信になりました。
 今は、経験とテクニックを増さなければならないと思っています。1番はHOにくっついて組まなければならないのですが、まだ3番をやっていたときのクセが出て、その辺りをグレッグ・フィークコーチから指摘されています。

吉川  レギュラーまでの距離が近いか遠いかまだわかりませんが、試合でも日々の練習でも、ここは大希さんが勝っている、ここは大希さんに勝てるのではないかという部分はあります。
 ただ、東芝戦に限って言えば、あの試合にマッチしていたのは大希さんでした。僕はまだ先輩たちといっしょにプレーした時間が短いですし、コミュニケーションもあまり取れなかった。これから積極的にコミュニケーションを取って、自分がプレーしやすいようにしていこうと思っています。コミュニケーションを取れば、先輩たちも僕を使いやすくなるでしょうし、同じように、僕もみなさんを自分がやりやすいように使える――そんな形になれば、もっとチームにマッチするでしょうね。



――ラグビーを離れれば、今が社会人として2か月を過ぎた辺りです。社会人生活はいかがですか。


金井  4月は、毎朝満員電車に揺られ、研修ではまったくラグビーの関係のない人たちと過ごして、帰ってから身体を動かす毎日でした。満員電車は本当に息苦しかったのですが、逆に「みんな、毎朝すごく頑張っているな」と思いました。
 今まで僕は、ラグビーやスポーツに関わる人たちとの交流しかありませんでしたが、研修で初めて研究開発系の理科系の人たちと知り合うことができました。話してみると、いろいろな考え方があって面白かった。肉体的には厳しかったのですが、そういうところが楽しかったし、新鮮でした。理系の人が、意外にブッ飛んだ考え方をするのが面白かったですね(笑)。

當眞  僕がきつかったのは満員電車だけでした。1年先輩の足立(匠)さんからは、「メッチャ汗をかくから、オレがいた窓だけ曇った」という話を聞いていて、僕も汗をかく方なので心配していたのですが(笑)、今年は4月が意外に涼しくて助かりました。



吉川  金井も言いましたが、ラグビー部以外のNECの社員と話すことができたのは、とてもいい経験になりました。これまで人生のほぼ7割以上をラグビーに関わって生きてきましたが、今回の研修で、まったくラグビーと関係のないワークをするなかで、僕自身の知識の欠如を自覚しました。助けてもらった部分が大きかったです。
 一方で、他の新入社員から見れば、僕たちも、なんというか珍しい存在で「え、ラグビー部の人?」みたいに言ってもらえたのは、とても嬉しかった。たとえば「これから帰って練習する」と言っただけで、驚いてもらえましたからね(笑)。
 初月給では、自分の部屋にベッド以外の居場所を作るためにソファを買って、あとはゴールデンウィークに帰郷したときに、両親といっしょに食事に行きました。

當眞  僕は、沖縄に帰らなかったので、まだ両親には何もしていません。ベッドを買ったくらいですね。あとは、こっちに弟が2人いるので、弟たちとご飯を食べたくらいです。8月には沖縄に帰る予定ですが、そのときは両親にハワイ旅行をプレゼントしようか考えています。

吉川  本当に?

當眞  うん。一度、ハワイに家族旅行したときに、両親がハワイを気に入ったみたいでしたから、2人で行ってもらおうと、サプライズを考えています。貯金も、もう始めていますよ。

金井  僕も、部屋で過ごす時間が長いので、しっかり睡眠をとるためにマットレスを買いました。親にはまだ何もしていませんが、今度帰るときに良いお酒でも買っていって、いっしょに呑もうと思っています。



――同期として、お互いにお互いをどう見ていますか? プライベートな部分からラグビー選手としての部分まで含めて、教えてください。


吉川  金井とは、高校のときに代表候補合宿で話したことがあってずっと知っていました。真面目ですし、頭も切れる。実際に同じチームにいる今も、その印象は変わりません。今のところは、かもしれませんが(笑)。
 プレーの面では、高校のときに少しコンビを組んだくらいでしたから、これから初めてコンビを組む感じで、感覚的にはパートナーですが、金井が僕をどんどん使えるように、そして僕も金井をどんどん使えるように、お互いにコミュニケーションを取り合って、理解を深めたい。そうすれば、もっとチームに貢献できるようになるでしょう。
 當眞とは、大学のときも仲が良かったので、そのままの印象です。いっしょにNECに行こうと話していたわけではありませんが、今は當眞と2人で同じチームに入れて良かったと思っています。性格的にはメッチャ面白いし、いい奴ですけど、何を考えているのかわからない“不思議チャン”的なところがあります(笑)。ただ、グラウンドに入ると、切り替えてラグビーに集中する。1つひとつの練習に向き合う誠実さが、プレーヤーとして素晴らしいと思います。

當眞  金井は確かに真面目な印象ですけど、意外に僕に似ているというか、バカな部分もあることが少しずつわかってきました(笑)。ラグビーのときはムチャクチャ集中するんですけど、ラグビーを離れると、少しちゃらんぽらんなところもある。でも、僕と違って、ラグビーではパニックになることがない。冷静なプレーヤーだと思っています。僕が注文を出しても素直に「わかった」と言ってくれるし、誰から見ても合わせやすいプレーヤーだと思います。
 吉川は、見ての通りで、ラグビーでもFWを上手く使ってくれるし、呑み会でも同じように僕に話をふって場を和ませたり、いいように使ってくれます(笑)。まあ、僕自身けっこうシャイなので、それでウィン―ウィンの関係になっていますが。
 ラグビーでも、僕はスペースに走り込んでボールをもらうようなプレーが好きですが、そういうプレーもアイコンタクトでできる。同じ大学でしたから当然かもしれませんが。それから、僕はまだチームのサインを覚え切れていないのですが、そういうときに、小声で大学のときのサインの名前に置き換えて伝えてくれる。おかげで助かっています(笑)。

金井  吉川も當眞も、大学は違いますが、高校時代から知っていました。吉川は真面目な印象でしたが、大学のときに呑みに行ったところでバッタリ会ったりしていたので、それだけではないかもしれないと思っていたのですが、同じチームになった今、先輩に対してもガツガツとコミュニケーションを取れるタイプなんだと、少し驚いています。誰にでもどんどん話しかけてコミュニケーションを取る部分はすごいと思うし、人間関係の距離の詰め方が上手い。僕はそこまでガツガツ行けるタイプではないので、見習いたいですね。
 當眞は、けっこうシャイな感じで物静かですが、お酒が入ると、沖縄の血が騒ぐのかすごく陽気になって、1人で動画を撮って遊んでいたり、テンションのギャップが面白い。初対面のときは緊張して縮こまっているような印象ですが、仲良くなるうちに自分を出してくれる。けっこう陽気な奴です。ラグビーでは、スクラムのことはよくわかりませんが、大学時代までフロントローはどちらかというと受け身で、自分から発信するようなところがあまり感じられませんでしたが、當眞は、必要なことはきちんと発信するのでやりやすい。吉川は、コミュニケーションの部分もそうですが、お互いに意見を交換しやすい。試合中の判断もいいですし、かなり助かっています。



――最後に、これからの抱負を聞かせてください。


吉川  3人で、揃ってトップリーグカップから試合に出られれば最高ですが、お互いにコミュニケーションを取り合ってプレーを磨いていけば、来年のトップリーグに出場することも可能だろうと思っています。そのためには、まずチームにマッチするためにも、いろいろな方とコミュニケーションをとってチームについて理解を深めたい。個人としても、僕のことをもっと理解してもらえるようにコミュニケーションに努めたいし、パスやキックといった基本スキルも、今よりレベルアップしたいですね。
 ラグビーは、テンポ良くボールが動くのが醍醐味ですが、そうしたテンポを作るのがハーフ団の仕事だと思っています。ですから、試合に出たときは、そういう部分や状況判断を見てもらいたいですね。ボールがつながってトライが生まれたときに、そのつなぎ目で仕事をしているのが自分であることをアピールしたいと思います。

當眞  僕はスクラムですね。そこを強みにすれば試合に出られると思いますし、出たときはそこに注目して欲しい。吉川や金井にいいボールを渡すのが僕の仕事だと思っています。

金井  まだチームの戦術を100%理解できているわけではないので、まず理解を深めることが大切だと思います。それから、ポジション的にもチームを引っ張るポジションなので、自分からどんどん発信して、チームをいい方向にリードできれば、それだけレギュラーに近づけるのではないかと思っています。また、それがチームへの貢献になるでしょう。そして、僕が試合に出たときには、SOはチームを前に出すのが仕事ですから、キックであったり、チームを前に出す工夫に注目していただきたいと思います。

――ありがとうございました!


(取材・文:永田洋光)  
 

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