■トップリーグカップも9位決定戦で敗れ、グリーンロケッツ10位でシーズンを終了!

2019/01/21

 NECグリーンロケッツが、トップリーグカップ順位決定戦でも10位に終わった。
 11月のグループステージを、同じ3位で通過したリコーブラックラムズとの9位決定戦。
 前週のグリーンロケッツは、若手を大幅に起用して豊田自動織機シャトルズを20―14と破ったが、レギュラーシーズンで活躍したベテランたちを戻して臨んだこの試合に17―28と敗れ、やはり10位に終わったレギュラーシーズンの“雪辱”を果たせなかった。
 なぜ、グリーンロケッツは、今季最終戦を白星で飾ることができなかったのか。



 試合の入りは非常に良かった。
 リコーのキックをWTB宮前勇毅とNO8ジョージ・リサレが競り合ってリサレが確保。
 そこから左に展開し、CTBマリティノ・ネマニがキック。リコーが蹴り返そうとするところに、WTB釜池真道が襲いかかってキックをチャージ。いきなりゴール前でのマイボール・ラインアウトを得た。
 グリーンロケッツは、FWがボールを確保するとガッチリとモールを組み、そのまま一気に押し込んでリサレがトライ。
 わずか1分35秒で先制した。
 9分には、ネマニがタックルでリコーのノックオン・オフサイドを誘い、ふたたびゴール前でラインアウトのチャンスを得る。
 そして11分。
 今度はサインプレーを使って、リサレをラインアウトの真ん中に走り込ませ、そこからラックを作って継続。右に4フェイズ重ねて防御を引きつけ、最後はSH中嶋大希からパスを受けたFLスコット・ヒギンボッサムが、長い手を伸ばしてトライに仕上げた。
 久しぶりに背番号10を背負って80分間を戦った森田洋介キャプテンが言う。
「試合の入りは、これまでグリーンロケッツの課題とされてきましたが、この試合は非常に良かった。元気に満ちていましたし、勢いもありました。逆に、リコーはスイッチが入っていない印象で、元気がなかったように感じました」
 ただ、いずれのトライも左隅で、タッチライン際の難しい位置からコンバージョンを狙った森田のキックが2本とも外れ、スコアは10―0にとどまった。
 グリーンロケッツにとって悔やまれるのは、その後のチャンスを活かせなかったことだ。



 14分には、ネマニがラックからこぼれたボールを片手で拾い上げてターンオーバー。自ら抜け出してチャンスを作ったが、サポートを確認しないまま一か八かのオフロードパスを放ち、それがリコーの選手に入ってしまう。
 ターンオーバー後のターンオーバーで、防御陣形が崩れたグリーンロケッツは、ふたたび自陣に押し戻された。
 それでも、15分にはヒギンボッサムがラインアウトで相手ボールをスチールするなど、防御に集中していたが、19分には、リコーにモールを組まれ、FWが対応しながらも人数を集められ、バックスに展開されてCTB牧田旦にトライを許した。
 こちらはポスト正面のイージーなコンバージョンを決めて10―7。
 スコアは3点差に縮まった。
 グリーンロケッツも、気持ちを切り替えて次のキックオフに集中。
 宮前が、森田が蹴り上げたボールを走り込んで確保し、ヒギンボッサムのパスを受けたHO臼井陽亮が大きく抜け出してチャンスを作る。が、6フェイズ目に突進したFB松浦康一が孤立してノット・リリース・ザ・ボールの反則を取られた。



 しかし、23分には、松浦のキックを追走した釜池がいいプレッシャーをかけ、リコーのパスが乱れたところにFL権丈太郎が飛び込んでボールを奪取。そこからリサレ→ネマニとつないで大きくゲインし、左へ展開。最後は、ネマニ→PR瀧澤直→臼井と長いパスをつないで釜池がトライを挙げた。
 今度も難しい位置からのコンバージョンだったが、これは森田がしっかりと決めて17―7。
 さらに次のキックオフリターンからも、攻めた。
 リコーがタップしたボールを拾ったネマニからパスを受けた釜池が前進。そこからフェイズを3つ重ね、この試合が今季初出場のLO山田龍之介が大きくブレイク。ゴールラインに迫ってラックを作る。
 しかし、中嶋が走り込んだ松浦に角度を変えて無理なパスを通そうとしたところでノックオン。
 絶好のチャンスを逸した。
 結局、17―7で前半を終えたが、こうした逸機が、後半の“大暗転”への伏線となった。



 後半立ち上がりにも、実はチャンスが一度あった。
 リコーのキックを、CTBアマナキ・サヴィエティが足に引っかけ、こぼれ球を拾ったリサレが前進。できたラックから、今度はサヴィエティがボールを持ち出し、ヒギンボッサムにつなぐ。
 ゴールラインまで、もう10メートルもない。
 中嶋が、広く左に並んだラインにパスを送るが、最後は松浦が孤立。パスの受け手が見つからずにボールを奪われてしまう。
 この逸機の以後、ほとんどグリーンロケッツに攻める場面が訪れなかった。
 松尾健バックスコーチが言う。
「たとえスコアができなくても、あそこはリコー陣で長い時間ラグビーをしなければならなかった場面でした。それなのに、ちょっと不用意なパスで相手にボールを渡してしまった。そうやって流れが悪くなったときに、バックスで上手く建て直すことができなかった。その辺りがウチの未熟な部分です。そんな経験の少なさが出てしまいましたね」
 そして、流れを決定的に悪化させたのが、ネマニの退場だった。
 まず16分に、インゴールになだれ込んだリコーFWの猛攻を防いだグリーンロケッツは、なんとか5メートルスクラムに逃れる。
 リコーは、このスクラムから、途中出場のNO8コリン・ボーク→FBブライス・ヘガティと経由してWTBキム・ソングを走らせる。
このときタックルに入ったネマニの腕が、キムの首に食い込み、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)で検討した結果、一発レッドカードとなり、退場となったのだ。



「あれが勝負の分かれ目でした」と、森田キャプテンが唇を噛む。
「ペナルティの多さと、個々のミスの多さは、今季、トップリーグ初戦からチームの課題でした。試合を重ねるにつれて徐々に良くなってきたのですが、悪いところが最終戦にすべて出てしまった。悔いが残る最終戦になりました」
 記者会見で「シーズンを終えるのにふさわしいゲームではなかった」と切り出したピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)は、むしろ前半に数多くチャンスを作り出しながら、そこでスコアを大きく離せなかったところを問題にした。
「いい入りから連続トライを奪って勢いをつけることができたが、その後は、上手くフィニッシュに持って行くことができなかった。前半にもっと得点できたのに、プレーヤーの判断ミスもあって、スコアを重ねられなかった。それが、後半の流れを悪くした」
 良くも悪くも、今季のグリーンロケッツの“すべて”が出た試合が、リコー戦だったのである。
 これでグリーンロケッツは、トップリーグカップ10位に終わった。
 レギュラーシーズンの順位決定戦と同様、ノックアウトステージの最後を勝利で締めくくることができずに、シーズンを終えることになったのだ。
 若手が力をつけてチーム力が増した反面、今季は、開幕戦、順位決定戦最終戦と、「ここ」という試合で3戦全敗に終わった“勝負弱さ”の克服が、W杯終了を待って始まる来季への課題として残った。






■今シーズンを振り返って■
【ピーター・ラッセル ヘッドコーチ】



 今季は、トップ4に入ることを目標に掲げました。
 ただ、戦力的な厚みという意味で、今季はトップクラブとの差を見せつけられました。
 外国人選手の出場規定が変わり、一度に5人の海外出身の選手(日本代表になる可能性のある特別枠選手3名プラス他の国で代表経験を持つ選手2名)が出場できるようになったことも、グリーンロケッツにとっては、なかなか厳しい状況になりました。
 そうしたなかで、選手たちが、予想した以上のパフォーマンスを発揮した試合もありました。
 それを考えると、今季は、開幕前に私が考えていたチーム像の60%から70%は達成できたと思います。
 特にアタックは、昨季に比べて大幅に改善されました。昨季は1試合平均で3・2個のトライしか挙げられませんでしたが、今季は5トライ近い数字になりました。
 一方で、相手に大量得点を与えたことも事実です。
 第4節のサントリーサンゴリアス戦は、私にとって、今季もっとも強く印象に残ったゲームでしたが、最終スコアは31―47です。立ち上がりに4連続トライを奪われて0―26と大きくリードされながらも、そこから反撃し、ラスト10分まで9点差に追い上げたのですが、最後に突き放されました。最終節の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦も、31得点奪いながら、やはり48失点で敗れました。
 選手たちにも伝えたのですが、これは非常にもったいないことです。
 その点で、ディフェンスが来季の重要な改善点になるでしょう。
 レギュラーシーズンでは、34歳のスティーブン・ドナルドがゲームを上手くコントロールして、シーズン中盤から盛り返しました。
 ただ、ドナルドが不在のときに、一貫性を持って戦えるチームを作り上げられなかった。その点では10番を背負う選手の育成が急務です。リクルートも含めて来季の課題になるでしょう。

 今季は、共同キャプテン制を導入しました。
 亀井亮依も、森田洋介も、非常に良くチームをまとめてくれました。
 特に亀井は、これからトップリーグチームのキャプテンとして大きく伸びていくでしょうし、そうした経験を経て、もう1つ上のステージに上がれる可能性があると思います。
 ただ、キャプテンは今、単にチームをまとめるだけではなく、試合中にレフェリーとコミュニケーションを取って、細かいゲームマネジメントが要求されます。その点で、今季は反則をなかなか減らすことができなかった。これは、今後レフェリーとのコミュニケーションにもっと習熟すれば、改善できる部分かもしれませんね。
 森田は、リコーブラックラムズ戦で、反則が多かったことと、フィフティ/フィフティのプレーがミスを誘発したことを反省点として上げていました。
 これは、チーム全員が、この地域ではどんなプレーをするべきなのかをしっかりと理解していなかったことに大きな原因があります。自陣でパスをミスして相手ボールのスクラムになったり、ダイレクトタッチで相手にいい位置でのラインアウトを与えてしまうのは、本来のゲームプランにないこと。つまり、グリーンロケッツのラグビーではありません。
 けれども、まだゲームの理解が浅く、そうしたミスを犯してしまったのです。
 もう一度、ラグビーというゲームについての理解を深める必要があるでしょう。

 この3年間で、選手たちの試合に向けた心構えと準備は、大きく改善されました。
 選手たちの意識がプロフェッショナルになり、チーム内の規律も保たれています。勝利への意欲も強くなり、責任感も持てるようになりました。
 ただ、どんな組織にも言えることですが、これで満足できるわけでは決してありません。
 今季の結果を糧に、さらに来季に向けて厳しくラグビーに向き合うことが必要でしょう。

(取材・文:永田洋光)

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