若手が魅せた勝利への執念! グリーンロケッツ、ディフェンス力で豊田自動織機に快勝!

2019/01/15




 すでにトップリーグの順位は確定したが、13日からトップリーグカップの順位決定戦が始まった。
 11月のウィンドウマンスに行なわれたグループリーグでNECグリーンロケッツは、パナソニック ワイルドナイツ、キヤノンイーグルスに接戦を挑みながらも連敗。日野レッドドルフィンズを破って3位となり、臨むのは各グループ3位チームで行なわれる決定戦だ。
 ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)は、レギュラーシーズンを戦ったメンバーを休め、若手中心のメンバー構成で豊田自動織機シャトルズに挑んだ。
 豊田自動織機は、レギュラーシーズン開幕戦で8-9と競り負け、今季のつまずきの原因となった相手。「メンバーは若手中心ですが、リベンジを目的に準備を重ねてきました」と、亀井亮依キャプテンは、試合にかけた意気込みを明かす。
 若いメンバーが、外国人選手をメンバーに並べた豊田自動織機にどう挑むのか。
 試合は、豊田自動織機のキックオフで始まった。



 風もなく、まぶしいほどの日差しが照りつける最高のコンディションにもかかわらず、グリーンロケッツは、立ち上がりから苦しい我慢を強いられた。
 最初のプレーでハーフウェイラインを越えて攻め込んで以降、20分以上自陣から脱出できなかったのだ。
 それでも、防御の面を崩さず、組織として守り続けたことで、なんとか失点を防いでいた。
「立ち上がりから豊田自動織機のプレッシャーを受けたが、ディフェンスが素晴らしかった。その結果、相手のミスを誘発することができた。ただ、いいディフェンスでせっかくターンオーバーしたにもかかわらず、自分たちのミスからまた相手にボールを与える場面が多かった。それが我慢の時間帯が続く原因となった」
 ラッセルHCは試合後にそう振り返った。
確かに10分過ぎには、相手ボールのラインアウトにプレッシャーをかけ、LO田中章司がボールを奪ったにもかかわらず、反撃に出たところでボールを落とすなど、攻守の切り返しが上手く機能しない。いきおい、プレーする地域は自陣22メートルラインより深いところに限定された。
 この苦しい時間帯に光ったのが、田中を始め、FL松村拓海、WTB宮島裕之といった若手の鋭いタックルだった。
 特に19分には、ゴールラインに向かって抜けかけた豊田自動織機FLピーター・キムリンに、田中がタックルを外されそうになりながらも、左足を両手でつかんで倒してトライを阻止した。
 ラッセルHCが言う。
「試合が終わってから、熊谷皇紀コーチと話したが、田中はスロースタートだったにもかかわらず、相手の大きなLOを倒してビッグハートを見せてくれた。松村も80分間しっかりしたプレーを続けていた。来季が楽しみになる活躍だった」



 我慢が報われたのは26分だった。
 CTBデレク・カーペンターのキックで自陣から脱したグリーンロケッツは、相手のミスからスクラムを得ると、NO8ラトゥイラ・レプハがボールを持ちだし、SH岡新之介タフォキタウにパス。岡は、ディフェンダーに囲まれながらも力強く前進して、この試合で初めて豊田自動織機陣の22メートルラインを越える。
 岡が倒されてできたラックから、今度はLOサナイラ・ワクァがボールを持ち出し、ディフェンダーを翻弄。そのままゴールポスト真下にトライを決め、SO亀山宏大のコンバージョンで7-0と先制した。
 ハーフタイムを迎えるまでの40分間で、グリーンロケッツが22メートルラインを越えて攻め込んだのは、このトライの他には31分にラインアウトからモールを組んだときだけ。このときも、モールが崩れてボールを活かせず、すぐに相手ボールスクラムで再開となったから、実質的には2分に満たない時間しかチャンスは訪れなかった。
 それでも7-0とリードしたことで、グリーンロケッツには手応えが、豊田自動織機には、焦りが芽生えて後半に入った。



 後半も、立ち上がりからグリーンロケッツは防戦を強いられた。
 10分過ぎには、カーペンターが自陣から大きく抜け出してチャンスを作ったが、サポートが遅れてボールを継続することができず、攻め込んだところでターンオーバーされてしまう。
 ターンオーバー後のターンオーバーという混沌とした状況で、グリーンロケッツは大きなゲインを許し、12分にトライを奪われた。コンバージョンも決まってスコアは7-7の振り出しに戻る。
 若いチームが迎えた最大の正念場だった。
 しかし、ここからグリーンロケッツは攻勢に出る。
 スクラムから亀山宏がCTB亀山雄大に飛ばしパスを放ってゲインラインを突破。ここはミスが起こってトライには至らなかったが、以後の時間を豊田自動織機陣内に居座ってプレーし続けることになる。
 そして23分。
 左タッチライン際のスクラムから右に岡が持ち出したところに、宮島が走り込んでゲインすると、グリーンロケッツはそこから20フェイズを重ねて、最後は逆サイドのWTB竹中祥がトライを挙げ、12-7とふたたびリードを奪った。
 26分には、宮島が、今度はディフェンスで魅せる。
 自陣ゴール前の相手ボールラインアウト。
 グリーンロケッツはFWがモールを上手く守って豊田自動織機がバックスに展開。外側に待つSOサム・グリーンにパスを通したが、宮島が正面からガツンとタックルに入って落球を誘い、ピンチを脱する。
 これがチームを勇気づけた。
「ケガから復帰してきた宮島さんが、ボールと相手を止めるいいタックルを見せてくれました。味方がいいプレーを見せてくれると、次のプレーも良くなる。そういう相乗効果が、今日のメンバーで出たことが収穫でした」と亀井キャプテン。
 果たして30分には、その亀井キャプテンが相手のノックオンに素早く反応。ボールを奪ってチームを前に出し、ハイタックルの反則を誘う。
 12-7の5点差を8点差に広げる大事なPGを、亀山雄に替わって入ったCTB金村良祐が決めて15-7。
 さらに33分には、ラトゥイラに替わったFL大和田立が相手ノックオンを拾って大きく突破。FB高平祐輝がスペースを作って宮島を走らせる。できたラックに松村が走り込んで突破。亀山宏に替わってSOに入った横山陽介が内側をサポート。
 最後は松村からパスを受けた横山がトライに仕上げて、勝利を不動のものにした。



 終了間際に、豊田自動織機にトライを奪われて最終スコアは20―14となったが、若いチームが、今季の“因縁の相手”に快勝したのだ。
「こんな素晴らしいラグビー日和に、素晴らしい勝利を挙げた若いチームを嬉しく思う」と、ラッセルHCは、満面の笑みで勝利を振り返る。
 試合全般を振り返れば、アタックでリズムが悪く、ターンオーバーからのチャンスを活かしきれないなど課題も出たが、粘り強いディフェンスがそれらを補って勝利をもたらした。
 亀井キャプテンも、その点を収穫に挙げる。
「前半、相手のアタックに対して最初は待ちのディフェンスで臨んだのですが、試合のなかで、もっとラインスピードを上げて前に出るように修正しました。相手が仕掛けたアタックを見て自分たちで話し合い、明確にコミュニケーションをとりながら、修正を実行できたことが最大の収穫だと思います。練習のときは、みんな自分のことで頭がいっぱいになっていて、周りとの連携や横の選手とコミュニケーションが取れない場面がけっこうあったのですが、試合の緊張感の中で、上手くいかなかった連携がきちんと実行できました」
 これでグリーンロケッツは、リコーブラックラムズとのトップリーグカップ9位-10位決定戦に回ることが決まった。
 19日に14時から熊谷スポーツ文化公園ラグビー場(県営熊谷ラグビー場)で行なわれるこの試合が、今季の最後の試合。
 来季の上位進出に向けて手応えをつかむ勝利を挙げることができるか――2週続けての素晴らしいラストパフォーマンスを期待しよう!





 初めてファーストジャージーを着て試合に出たのは昨年11月。トップリーグカップのグループリーグ初戦、パナソニック ワイルドナイツ戦の後半14分からだった。
 そして、初先発に抜擢された豊田自動織機シャトルズ戦は、持ち味の鋭いタックルを随所に見せて、チームの期待に応えた。
 つかんだのは、松村拓海にとって初めてとなる、ファーストジャージーを着ての勝利だった。
「今季は、今日のメンバーでずっとプレーをしてきました。だから、いっしょに頑張ってきたみんなを信頼して、試合に臨むことができました。若いメンバーと周りから見られて、プレッシャーがかかる状況でしたが、リラックスして臨むことを心がけました。もちろん、ファーストジャージーで試合に出るので、気持ちはすごく入っていましたが」
 その結果がタックルに次ぐタックルだった。特に、自陣に長く押し込められた前半に何度もタックルを炸裂させ、前半の失点をゼロに抑えたことが初勝利につながった。
「いつでも身体を張ってタックルするのが、自分の持ち味だと思っています。今日も、チームが苦しいときこそ、自分が一番頑張らないといけないと思っていました。タックルの細かいところはまだまだの部分がありますが、大事な部分でしっかり止められたのは狙い通りでした」
 心がけたのは、気持ちが空回りして、タックルが単発にならないようにすることだった。
 松村が、こう説明する。
「周りとコミュニケーションが取れていれば、いいディフェンスができる。だから、自分だけの世界に入らないで、他の選手のタックルを助けてあげるくらいの気持ちでいました。そのためにも、コミュニケーションを心がけたのです」
 もともとルーキーイヤーの昨季からタックルには定評があったが、松村は、この試合にアタックでの活躍をひそかに期していた。来季、レギュラーに定着するための大切なステップだと考えていたからだ。だから、終了間際の後半34分に、ラックからボールを受けて抜け出し、サポートした横山陽介にラストパスを送って貴重なダメ押しトライを導いたのは、本人にとって、タックルを評価されるよりも嬉しいことだったのかもしれない。
 同じポジションで、今季からチームの共同キャプテンを務める亀井亮依は同期。しかも、U20日本代表でもチームメイトだった。けれども、2人揃って6番7番で先発したのはこの試合が初めてだ。
「同期といっしょという意味で、楽しい試合でした。亀井はすごく運動量がある選手。僕も、いつも誰よりも走ろうと心がけていますが、亀井がいた分、自分の仕事に集中できました。これからもライバルを追って、お互いに切磋琢磨する構造になればいい。そうすれば、僕も絶対に負けないという気持ちを持つことができますし、成長できますからね」
 松村が次に目指すのは肉体改造だ。
 目標は、現在94キロの体重を100キロ近くまで増量すること。
 来季レギュラーを獲得するためのキーポイントが、攻守両面で「外国人に当たり負けない身体を作ること」だと考えているからだ。
 果たして低く鋭いタックルに、当たり負けしない強烈なアタックを付け加えることができるのか。
 松村の挑戦は、まだまだ続く。

(取材・文:永田洋光)

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