グリーンロケッツ、神戸製鋼に敗れレッドカンファレンス5位でレギュラーシーズンを終える!

info_category1.gif2018/10/22

 第5節、第6節と、ホームの柏の葉で連勝してレッドカンファレンス4位に浮上したNECグリーンロケッツは、4位確定を目指して神戸市のノエビアスタジアム神戸に乗り込んだ。
 自力で4位を確定させるには、神戸製鋼コベルコスティーラーズに3トライ差以上をつけて勝つ以外にない状況だ。
 一方、神戸製鋼は、これまで5勝1引き分けで無敗をキープ。首位に立つ。
 しかも、最終戦が行なわれるのは10月20日。2年前に急逝した神戸製鋼GMで元日本代表監督・平尾誠二さんの3回忌にあたる命日だ。3回忌に無敗で1位通過を、と願う神戸製鋼のサポーターがノエビアスタジアムには大勢詰めかけ、観客数は1万人を超えた。
大声援を力に変えられた柏の葉を離れたグリーンロケッツは、“アウェー感満載”のなかで首位との最終決戦に臨んだのだった。



 立ち上がり。
 トライを重ねたいグリーンロケッツは積極的に攻めた。
 キックオフの蹴り返しのボールをNO8ジョージ・リサレが確保すると、左に展開。
 タッチライン際まで大きくボールを動かして右に折り返す。
「神戸製鋼に対して、無理にボールをつなごうとしてミスを犯すようなことがないようにしたい」というのが、ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)が試合前に強調した注意点だったが、順調に運んだのは5フェイズ目まで。
 そこからさらに右に展開したところでFLスコット・ヒギンボッサムがボールを落とす。
 ミスの対価は大きかった。
 神戸製鋼は拾い上げたボールを右に展開。
 FB山中亮平が大きく抜け出して、WTBアンダーソン・フレイザーを走らせる。
 フレイザーは自分にマークが集中していると冷静に判断し、内側の山中にパスを返し、ノーホイッスルでトライを記録した。
 時間は1分13秒。
 HCの戒めを守れなかったグリーンロケッツは、手痛い先制パンチを食らったのだった。
 そんなグリーンロケッツが、反撃パンチを繰り出したのは、9分を過ぎてから。
 自陣のマイボールスクラムをグイッと押し込み、ペナルティを得ると、22メートルラインを越えてラインアウトに。そこからHO臼井陽亮の隣にブラインドサイドWTBの松浦康一を走り込ませるムーブで前に出る。
 ラックからリサレが突進してさらに前進。
 松浦がもう一度走り込んでゴールラインまであと5メートルと迫る。
 さらに右へ展開すると、左に待つ松浦がみたびボールを持つ。
 一連のアタックで神戸製鋼のオフサイドを誘い、13分にCTB森田洋介がPGを決めて、3-7と追い上げた。



 続くキックオフリターンからも、グリーンロケッツはボールをキープ。
 自陣から森田が仕掛けたところで神戸製鋼にハイタックルの反則があり、ハーフウェイラインを越えてラインアウトに持ち込む。
 しかし、このラインアウトでボールを奪われ、チャンスを活かせない。
 逆に17分にPGを決められ、18分には神戸製鋼SOダン・カーターに防御ラインを破られてトライを許し、スコアは3-17と大きく開いた。
 負けられないグリーンロケッツは、29分に、ラインアウトから仕掛け、フェイズを2つ重ねてチャンスを作る。SOスティーブン・ドナルドがボールを持ったところに、後方からFB吉廣広征がトップスピードで走り込んでパスを受け、そのまま一気にインゴールまで走り切った。
 トライ後のコンバージョンも森田が決め、10-17と7点差に迫った。
 ところが、次のキックオフリターンでノックオンを犯すと、そのまま神戸製鋼に攻め込まれ、34分にトライを追加される。さらに前半終了間際にもモールを押し込まれてトライを奪われ、10-31と引き離されて、前半が終了した。



 後半も、先にトライを奪ったのは神戸製鋼だった。
 12分。
 グリーンロケッツのゴール前でスクラムを押し込み、反則を誘う。
 次のスクラムは、FWが耐えてスクラムトライを奪われることはまぬかれたが、ボールを持ったカーターに一気に距離を詰めてタックルに行ったところでボールを放され、ノーマークのWTB山下楽平がそのままインゴールに走り込んだ。
 コンバージョンは外れたが、10-36と大差がつく。
 グリーンロケッツも、直後に意地の反撃。
 ドナルドが自陣から仕掛けて防御ラインを突破。サポートとの距離が開いて一瞬孤立しかけたが、SH中嶋大希がサポートしてアタックを継続。最後はゴール前のラックからパスを受けようとしたリサレが落球して神戸製鋼ボールのスクラムとなったが、とにかくゴール前まで攻め込んだ。
 そして、神戸製鋼のアタックを止めて中嶋がジャッカル。ノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘い、再度マイボールのスクラムにする。位置はゴールポスト正面だ。
 このスクラムから中嶋がサイドアタック。
 神戸製鋼の防御がCTBマリティノ・ネマニに集中したところを中嶋が駆け抜けてトライを追加。森田がコンバージョンを決めて、17-36と追いすがる。
 けれども次のキックオフ。
 神戸製鋼がボールを確保して一気に攻め込み、ノーホイッスルでトライを追加。
 グリーンロケッツから勝利の芽を摘み取った。
 その後、グリーンロケッツは、中嶋とネマニがトライを追加したが、最終スコアは31-48。
 トライ数も4-7と神戸製鋼に上回られてボーナスポイントを献上した。



 ゲームキャプテンを務めた森田は、4位の夢が潰えたショックを隠そうともせずにこう言った。
「前半から神戸製鋼にアタックでペースをつかまれた。後半に追い上げることはできたが、5ポイントをとられる完敗だった。この結果を真摯に受け止めて、12月の順位決定戦につなげていきたい」
 前半のアタックで足を痛めながら最後まで闘志剥き出しでプレーを続けた松浦も、「今まで格上のチームと対戦すると、最初に圧倒されてから後半に追い上げて、内容は良かったと言われますが、試合の最初から先行を許している。それがまだチームが強くなりきれていないところであり、勝てないところ。今日は、最初から格上の相手に対して、みんなが気合いを入れて勝ちに行ったのですが……」と唇を噛んだ。
 結局のところ敗因は、ラッセルHCが指示した「ミスを犯さないように」という部分を、特にアタックで守り切れないところにあった。
 森田が言う。
「神戸製鋼のプレッシャーというより、自分たちのコミュニケーションミスが原因。試合前から、(相手に真正面からコンタクトする)ダイレクトなプレーでしっかりゲインラインを越えるプランだったが、ちょっとした深さが狂ったり、そこであわててミスが発生した。相手の問題ではなく自分たちの問題でした」
 これでグリーンロケッツは、3勝4敗勝ち点14。レッドカンファレンス5位でレギュラーシーズンを終え、12月の9位-16位を決める順位決定戦に臨むことになった。
 1回戦で対戦するのは、ホワイトカンファレンス8位のコカ・コーラレッドスパークスだ(12月1日 秩父宮ラグビー場 11時30分キックオフ)。
 それまでの間、11月には新設されたトップリーグカップのグループリーグが行なわれ、グリーンロケッツは11日にパナソニックワイルドナイツと対戦する(足利市総合運動公園陸上競技場 13時キックオフ)。その後、キヤノンイーグルス(18日)、日野レッドドルフィンズ(24日)と戦い、1月にはグループリーグの順位別トーナメントが行なわれる。
 レギュラーシーズンでベスト4に入る目標は達成できなかったが、そのリベンジを果たすチャンスはまだまだ残されているのだ。
 レギュラーシーズンの課題を整理・修正して、順位決定戦やカップ戦で確かな手応えをつかめるのか。
 11月11日までグリーンロケッツは、新たな戦いへの準備に入る。






 松浦康一がピッチの上にうずくまり、試合が一時止まったのは前半11分を過ぎた辺りだった。
 位置は、神戸製鋼のゴールポストまで5メートルという絶好のアタッキングエリア。
 グリーンロケッツが、この試合で初めてつかんだ得点チャンスだった。
「第2節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦で足首をねんざしたのですが、同じところを痛めました。確かに痛かったですけど、僕が退いたらチームに穴ができる――プレーしていれば痛みも消えるだろう――そう思っていました」
 トヨタ戦で足を痛めたことは、強く松浦の記憶に残っている。
 痛みが、ではない。リザーブにFWを6名入れ、バックスの控えが2名という布陣では、交代することがチームのバランスを崩すことに気がついたからだった。
「リザーブにSHとSOしか入っていなかった意味が試合のあとでわかりました。僕がCTBもWTBもできるから、それが考慮されていた。そこに気がついたのです」
 今季、松浦は、足を痛めた直後の第3節を除いて試合に出続けている。
 WTBで先発することが多いが、FBの吉廣広征が負傷で試合に出られなければ15番を背負い、試合の途中でも状況に応じてさまざまなポジションに入る。佐賀工業高校時代にはSHとしてプレーした経験があり、バックスのポジションなら、どこでもこなせる。だからこそ、自分が負傷で退けばチームのメンバー構成がバランスを欠くと自覚したのだ。
 もう1つ、今季の松浦が心がけていることがある。
 WTBで出場したときは、ブラインドサイドから積極的にラインに参加し、ボールを持とうとしているのだ。
 松浦が言う。
「僕がCTBやWTBをやっているときに、相手のブラインドWTBがSOやSHの横に立つと、どこで入ってくるかが気になって、プレッシャーを受けることがあります。それを思い出して、ブラインドWTBが何回もボールをもらうことで、相手の防御にプレッシャーをかけられることに気がついた。僕がボールをたくさんもらえばゲインできる可能性が膨らむし、トライを奪う可能性も出てくる。だから、練習中から(スティーブン・)ドナルドや森田(洋介)さんに、“オレはここにいるから、もしサインプレーが行き詰まったらパスを放ってくれ”と、声をかけるようにしています」
 神戸製鋼戦でも、負傷する直前にラインアウトからパスを受けて突進。すぐに起き上がってボールをもらい、さらに倒れる直前にもボールを呼び込んだ。5次攻撃のなかで3回のボールキャリーに、松浦のそうした思いが凝縮されていた。
 右利きにもかかわらず、左足でのキックも、入社してからずっと練習を重ねてきた。
 後半2分には、自陣からカウンターアタックを仕掛けた際に自然に左足でボールを蹴ってチームを前に出した。「あれが後藤(輝也)さんならトライまで持って行けたかもしれませんが(笑)」と笑ったが、着実に成長の手応えを感じているのだ。
 その成長ぶりが、シーズン後半の順位決定戦やカップ戦で開花するのか。
 松浦は、こう抱負を述べる。
「1年目、2年目は、試合の準備に入るときにどう気持ちを持っていけばいいのかわからなかったのですが、今季は毎週試合に出ているので、自分自身に余裕ができました。それだけに、これからも試合に出たい。まずフィールドに立って、チームのために体を張りたい。自分のパフォーマンスより、チームが勝つことを優先したいですね」
 ヘアスタイルが“ちょんまげ”となったのも、試合に向けたプロセスに慣れた結果だった。
「実は、明治大学時代から今まで、髪の毛を切るなら学生時代からお世話になっている八幡山の床屋さんと決めているのですが、今季は行く時間を作れなくて髪の毛が伸びてしまいました(笑)」
 “ルーティン”になじんだ3年目の松浦は、後半戦もチームのために体を張る覚悟だ。

(取材・文:永田洋光)
 

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