グリーンロケッツ、課題を残すもホームゲーム初戦を白星発進!

info_category1.gif2018/10/09

 今季7試合と短くなったレギュラーシーズンは、その分、毎試合の勝敗やボーナスポイントの有無が順位争いに大きな影響を与える。
 第4節を終えた段階で1勝3敗勝ち点5にとどまっていたNECグリーンロケッツにとって、休養週明けから始まる3試合は、上位進出のために絶対に落とせない必勝のゲーム。星を落とした時点で、レッドカンファレンス4位以内が絶望的になる。
 グリーンロケッツにとって救いだったのが、そのうち2試合をホームの柏の葉総合公園陸上競技場で戦えること。サポーターの声援を力に変えて“24人”でゲームを戦えるのだ。
 今節の相手はNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。
 昨季は対戦がなかったが、過去14年度、16年度とレギュラーシーズンで苦杯をなめた相手だ。しかも、今季はこれまで2勝2敗勝ち点12と、成績でもグリーンロケッツを上回る。
 今季の正念場と言えるゲームは、風下に立つグリーンロケッツのキックオフで始まった。



 最初のプレーで、グリーンロケッツは、FLスコット・ヒギンボッサムと、イエローカードの累積で第4節に出場停止処分となったCTBマリティノ・ネマニが、NTTコムのキックオフリターンをしっかり受け止めてノックオンを誘う。
 ここからグリーンロケッツの“トライショー”が始まった。
 ファースト・スクラムからのアタックでまずネマニが突進。ラックからさらにNO8ジョージ・リサレがタテに走り、ディフェンスを押し下げる。
 さらにHO臼井陽亮が前に出てフェイズを重ね、NTTコムの反則を誘う。
 立ち上がりに相手ゴール前に攻め込んでのペナルティ。通常なら3点を先制するためにPGを狙うが、ボールを持ったFL大和田立が小さく蹴って速攻を仕掛けた。
「体が自然に反応しました。勝手に動いた……というか、気がついたら走っていました」と、大和田は笑ったが、相手の虚を突いた速攻でゲインすると、PR瀧澤直が、LO細田佳也が、それぞれポイントを作って防御をひきつけて右に展開。
 SOスティーブン・ドナルドからパスを受けたリサレがトップスピードでトライラインを越えた。
 右サイドからの難しいコンバージョンを、キャプテンCTB森田洋介が決めて7-0。
 幸先良く滑り出した。
 14分には「ちょっとしたコミュニケーション・ミスと判断ミス」(森田キャプテン)から、トライを奪われたが、それでもグリーンロケッツは動じなかった。
 17分に森田のPGで10-7とふたたびリードを奪うと、22分にはスクラムから連続攻撃。
 シンプルにネマニ、リサレと強いランナーを走り込ませて前進すると、右の狭いサイドを攻めてネマニがトライを奪う。その間にSH中嶋大希が、右を見ながら内側に走り込んだ大和田にリターンパスを決めてスペースを作るなど、1人ひとりがしっかり役割を果たしてアタックのリズムを刻み続けた。



 さらに直後のキックオフからグリーンロケッツは攻めた。
 積極的なアタックを繰り出し続けた背景には、前節のサントリーサンゴリアス戦で立ち上がりに4連続トライを奪われたことへの反省があった。
 森田が言う。
「サントリー戦の最初の連続失点を絶対に繰り返さない気持ちで今日の試合に臨みました。逆に、こちらが同じように連続トライを挙げるんだ、と」
 決意はしっかり実を結んだ。
 ネマニが蹴り込まれたボールをキャッチして起点を作ると左に展開。
 FB松浦康一がゲインして22メートルラインを突破。さらに左に展開し、リサレ→ヒギンボッサム→WTB飯山竜太とつないでハーフウェイラインまで攻め上がる。
 右へ折り返したところで一度攻撃のテンポが落ちたが、そこからパスを受けたドナルドが、冷静に相手防御の裏側にキックを転がす。
 走り込んだWTB後藤輝也が「思ったよりも弾んでくれた」ボールを拾い上げるとそのまま加速。一気にゴールポスト真下まで走り切って、ノーホイッスル・トライを追加した。
 31分には、ドナルドが今度は相手のパスをインターセプト。
 サポートした瀧澤にパスをする素振りを見せて自ら抜け出す。ドナルドはゴールライン手前で倒されたが、背後からサポートしたヒギンボッサムにラストパスを通し、4トライ目をアシストした。
 森田がコンバージョンをすべて決め、スコアは31-7。
 トライ数も4-1と3トライ差をつけて、ボーナスポイントの可能性も見えた。
 ところが前半終了直前に、またもスクラムからの仕掛け一発でNTTコムにトライを奪われて、3トライ差を維持できない。
 31-14と、17点リードで前半が終了した。



 後半も、立ち上がりはグリーンロケッツのペース。
 5分には相手陣に攻め込んで反則を誘い、7分に森田がPGを狙ったが、これが外れて点差を広げられない。
 そして、続く攻防で、LOサナイラ・ワクァが、レイトタックルの反則を犯してゴール前に攻め込まれた。
 グリーンロケッツは、前半、相手にフリーキックを1つ与えただけで、大きなペナルティを犯さなかった。セットプレーもしっかり確保できていて戦い方が安定していたが、後半に入って反則やミスが目立ち始める。
 10分過ぎには、自陣のゴール前で相手ボールを奪うが、そこからの切り返しでノックオンを犯してピンチを脱出できず、そのスクラムを押し込まれてトライを許した。
 NTTコムSOガース・エイプリルのコンバージョンが外れてスコアは31-19だが、パフォーマンスが少しずつ狂い始めていた。
 17分には、相手陣からのアタックをタッチラインに押し出してマイボールのラインアウトを獲得しながらボールを確保することができず、一気にゴール前へと攻め込まれる。
 そして、20分。
 キックパスをNTTコムFLヴィリー・ブリッツが両手で内側に返してNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコにトライを許し、31-24。
 リードは、ワンチャンスで同点に追いつかれる7点にまで縮まった。
 ここまで後半無得点のグリーンロケッツは、続くキックオフから反撃。
 14フェイズを重ねてインゴールになだれ込んだが、トライは認められず、その直前のアドバンテージに戻って森田がPGを決め、34-24と点差を10点に広げた。
 ゲームはそこから、たとえ敗れても7点差以内負けのボーナスポイントを確保したいNTTコムと、リードを守って勝ち星をつかみたいグリーンロケッツの死闘となる。
 しかし、懸命の防御も及ばず、終了間際にトライを奪われ、最終スコアは34-31。
 快調に滑り出したホームゲームは、サポーターの安堵のため息で終わる展開となって、試合が終了した。



 森田が言う。
「サントリー戦では、僕たちが後半に猛反撃してボーナスポイントを獲得するところまで迫った。でも、サントリーは最後にトライを追加して、僕たちはボーナスポイントを獲得できなかった。今日は逆に、僕たちがそう戦って、NTTコムにボーナスポイントを与えないようにしなければならなかったけど、最後の最後にトライを取られて与えてしまった。そこがまだチームの甘いところかもしれません。次節からは、そうした甘さを修正して、しっかり勝ってポイントを重ねたい」
 キャプテンがボーナスポイントを気にするのは、あと2試合での1ポイントがいかに重要かを熟知しているからだ。
 今節終了時点で、グリーンロケッツは勝ち点を9に伸ばして6位に浮上したが、5位の豊田自動織機シャトルズには3ポイント、4位のNTTコムには4ポイント、後れを取っている。
 この差を逆転しない限り、チーム目標「ベスト4」への道が閉ざされてしまうのだ。
「確かにミスも出た試合だったが、休養週の間に残る3試合でやるべきことを整理して、今日は結果が出た。それを次節以降につなげていきたい」と、ピーター・ラッセル ヘッドコーチは話す。
 その次節も柏の葉でのホームゲームだ。
 そして、対戦相手はニリ・ラトゥや村田毅といった、かつての“チームメイト”が在籍する日野レッドドルフィンズ(13日 13時キックオフ)。
 残る2試合を、4強入りへのジャンピング・ボードとするために、グリーンロケッツは必勝の意気込みで臨む。






 獅子奮迅。
 そんな言葉が似合う活躍だった。
 ジョージ・リサレ。
 今季は、開幕からグリーンロケッツの背番号8を背負い、攻守の核として働き続けている。
 このNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦でも、第4節のサントリーサンゴリアス戦に続いてトライを奪っただけではなく、ピンチでは体を張り、失点を未然に防いでいる。
 もちろん、ボールを持てば、肉体の強さを活かしてタテに切れ込み、相手防御を切り裂く。
 何よりプレーの力強さが、チームを勇気づけるのだ。
 リサレが言う。
「今年は去年よりも気持ちが上がっています。春先からフィジカルを強化してきたので、毎試合フィジカルの強さを出すようにしています」
 今季試合にずっと先発出場していることも、モチベーションを高めている。
「昨季は、最初の4試合は先発でしたけど、そのあとはずっとリザーブ。プレー時間が最後の10分くらいだったので、短い時間で持ち味のフィジカルを出すのが難しかったし、結果的に何もできなかった。今季は、試合に最初から出ている分、フィジカルの強さをしっかり出せていると思います。何よりも、試合に出られることはすごく大きなプラスですからね」
 そのために、春シーズンから試合に向けての準備を心がけてきた。秋の公式戦でファースト・ジャージーに袖を通すためには、プレ・シーズン・マッチから結果を出すことが求められていたからだ。そうしたいい習慣が、今季の活躍につながっている。
 もう1つ、オーストラリア代表で8番を背負ったスコット・ヒギンボッサムの存在も大きい。
 この“レジェンド”を6番において8番を背負う以上、ヒギンボッサム以上の働きが求められることを自覚しているのだ。
「ヒギー(ヒギンボッサム)もNO8ができる選手ですが、気持ちとしては、ヒギーに負けない8番であり続けられるように、毎週心がけています。たぶん、ヒギーも、プレーの細かい部分で、もっとこうした方がいい、というようなことをいろいろ言いたいのかもしれません。でも、今はまだ言われていません。試合中に“ナイスプレー”と言われるくらいです(笑)」
 レジェンドの視線を背中に感じる分、プレーにより一層集中できるのだ。
 そんな自覚がほとばしったのが、終了直前にNTTコムWTB石井魁が抜け出した場面。今季伸び盛りの走り屋に対してリサレは懸命に駆け戻り、タックルに入ってノックオンを誘った。
「石井とは、学生時代に対戦したし、選抜チームでいっしょになったこともある。プレーを離れるとけっこう仲がいいのですが、相手にすると、足が速いしアジリティ(敏捷性)もすごい。だから、今日は彼を走らせないように、スペースをシャットダウンしようと心がけました」
 そして、次節の日野レッドドルフィンズ戦では“、先輩”ニリ・ラトゥとの対戦に心を弾ませる。
「激しい試合になりそうですが、ホームゲームだし、気持ちで負けないようにしっかり戦いたい」
 その活躍を、柏の葉もサポーターも楽しみにしている。
 
(取材・文:永田洋光)
 

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