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■NECグリーンロケッツ・トップ対談■ ピーター・ラッセル ヘッドコーチ×応援団長・松木俊哉専務 「就任3年目の今、グリーンロケッツはピーターさんが求める水準に到達しているのか?」

info_category3.gif2018/08/27

9月1日の開幕戦(対豊田自動織機シャトルズ 秩父宮ラグビー場 16時30分キックオフ)を前に、グリーンロケッツ応援団長にしてラグビー通の松木俊哉専務が、ピーター・ラッセルHCを我孫子グラウンドに訪ねて、日頃から抱いていた疑問を直球勝負でぶつけた!
ラッセルHCは、応援団長の鋭い突っ込みにどう答えたのか――たっぷりご覧ください。

 

■2年目に大きな進歩を遂げたグリーンロケッツ


松木俊哉専務(以下、松木) ピーターさんは今季、就任して3シーズン目になりますが、グリーンロケッツを初めて見たときは、どんなチームだと思いましたか。



ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(以下、ピーター) 強いチームだと思いました。何人か、素晴らしい選手もいる。でも、リーダーシップに問題があるように思いました。キャプテンのリーダーシップがどうこうではなく、チームとしてのリーダーシップ、つまり方向性が定まっていないように思えたのです。
 だから、チームとして対処すべき事柄を細かく分けて、この部分はもっとハードワークしよう、これは今まで通りでOKというように、1つひとつに方向性を示しました。
 チームに溶け込むのは難しいことではありませんでした。
 まずベテランたち――入社13年目、14年目といった選手もいましたが――と面談して、それぞれがグリーンロケッツについてどう考えているのか尋ねました。
 次に、大学を卒業したばかりの若手選手たちにも同じことを聞き取りました。
 外国人選手たちにも、なぜグリーンロケッツにいるのか。グリーンロケッツにどういうことを期待しているのか尋ねました。
 そして、リーダーシップ・グループを設けて、チームの存在価値はどこにあるのか考えてもらいました。そのなかから、「リスペクト」や「ラグビーを楽しむこと」、「常にポジティブであること」、「チームとしてハードワークすること」などのキーワードが出てきました。それらをさらに追求したのが、チームスローガンの「UNITY」(団結)です。

松木 最初に、ここを改善しなければ、と思ったところはどこでしたか。

ピーター フィットネスです。
 それから、ラグビーというゲームを理解すること。
 まず手を着けたのがフィットネスを改善することで、これは、フィットネス・コーチのグラント・ディアーンズが指導しました。
 ゲーム理解という点について言えば、現代のラグビーはどこからでも素早くボールを動かしますが、当時のグリーンロケッツは、そうしたラグビーの変化に対応できていませんでした。
 私が望むラグビーをするためには、グリーンロケッツはどこからでも素早くボールを動かせるようにならなければいけないし、考え方を変える必要がありました。
 1年目に従来の考え方を変えたのですが、選手たちはその変化がどういうものだったのかをシーズン終了後に実感しました。森田洋介、大和田立、細田佳也、瀧澤直といった選手たちは、「これはすごい! こういうラグビーをやりたかったんだ!」と、口々に言っていました。
 2年目の昨季は、新卒で素晴らしい選手たちが入ってきました。ボールスキルに優れ、タックルでもブレイクダウンでも働ける選手たちで、チームに素晴らしい刺激を与えてくれました。


松木 つまり、昨季は就任したシーズンから見れば大進歩を遂げたわけですね。

ピーター 大きな進歩です。
 若い選手たちが試合をワクワクしながら楽しみにしていましたし、実際、若い選手をトップリーグの公式戦にも抜擢しました。
 

■招待した在日オーストラリア大使をうならせたワラターズ戦勝利!


松木 今季が、就任してから3シーズン目になりますが、選手たちのレベルは、ピーターさんが求めるレベルまで上がってきましたか。

ピーター かなり近づいています。
 21日にサントリーサンゴリアスと練習試合をして7-49と敗れましたが、サントリーがトップメンバーだったのに対し、グリーンロケッツは、何名か選手を試しました。それでも彼らは非常にいいプレーをした。私はとても嬉しく思っています。

松木 その他にもトヨタ自動車ヴェルブリッツやHonda HEATと試合をしましたね。これまでの仕上がり具合はどうですか。

ピーター 今、チームは、全員が試合に出る23名の枠に入るべく、激しい競争を繰り広げています。シーズンに向けて、そのなかからベストの選手を23名選び出していくつもりです。

松木 6月には、スーパーラグビーの名門チーム、オーストラリアのワラターズと「秩父宮みなとラグビーまつり」で対戦しました。
 私は、リチャード・コート在日本オーストラリア大使をお招きして一緒に観戦したのですが、大使は「グリーンロケッツにとってムチャクチャタフなゲームになると思っていたら、幸運にも勝った。とても感動的だったし、勇気づけられた」と話していました(笑)。
 私にとっても非常に印象的で素晴らしいゲームでしたが、スーパーラグビーのチームに勝ったことは、グリーンロケッツにとっても大きな自信になったのではないですか。

ピーター もちろん、そうです。
 今年3月12日に集合した際に、リーダーたちと話し合って、6月のワラターズ戦をプレシーズンのメインターゲットにしました。それに向かって、選手たちはトレーニングに励んだのです。
 もう1つ、この試合は、選手たちのマインドセットを変えるいい機会になりました。
 これまでは、サントリーやパナソニックワイルドナイツといった強豪チームに対して、選手たちは「ああ、サントリーか……」「パナソニックか……」といった気持ちを持つ傾向がありましたが、今は今季のレギュラーシーズン7試合を全勝するつもりでいます。
 すべてのゲームを、1戦1戦勝つことを目標にして100%の力を集中する。そうしなければ、勝つことはできません。

松木 今季の最初の目標はレッドカンファレンスでトップ4に勝ち残ることですか。

ピーター もちろん。それは達成できる目標です。

松木 自信はありますか。

ピーター 大いにあります。
 チームの外国人選手も、日本人選手も、みな自信を持っていますよ。
 特に、今季のキャプテン、亀井亮依と森田は非常に自信を持っていますね。

松木 シーズンのなかでどのチームをメインターゲットにしていますか。

ピーター まず開幕戦の相手、豊田自動織機シャトルズです。

松木 9月1日の試合ですね?

ピーター そうです。
 今、選手たちは、モチベーションが上がって、肉体的な強さもフィットネスも高い水準にあります。それが豊田自動織機に対して大きな武器になるでしょう。

松木 今季の新人たちはどうですか。

ピーター みんな素晴らしい。
 特に、バックスの横山洋介、亀山雄大のパフォーマンスにはとても興奮しています。
 SHの中嶋大希も、18日のHonda戦でいいプレーを見せていました。
 FWは、今季は足立匠が入っただけですが、非常にいいリクルートだったと思っています。というのも、彼は首のケガがあって3か月間リハビリ・プログラムに取り組んできたのですが、その過程で筋肉がついて体が大きくなりました。今の体重は125キロです(笑)。でも、彼は、アスリートとしての可能性を秘めていて、将来を楽しみにしています。
 こうした選手たちを育て、若くて素晴らしいチームができる可能性を大いに感じています。

松木 今季、目標を達成するために、核となる選手は誰になりますか。

ピーター キャプテンの亀井でしょうね。今、どんどん良くなっています。
 2年目の田中章司も、LOとして成長してきました。
 彼らのように、若くてスピードがある生え抜きの選手たちが、瀧澤のような100%トップリーグにフィットしたベテランに引っ張られて、サントリーのトップメンバーと戦っても引けを取らないようなパフォーマンスができるようになってきた。それが、今のグリーンロケッツなのです。


 

■グリーンロケッツから「ワールドカップ日本代表」が生まれる可能性は?


松木 来年は、日本でラグビー・ワールドカップが開催される非常に重要な年になります。
 そして、チームのメンバーだけではなく、NECで働く全社員が、グリーンロケッツからワールドカップ日本代表に選ばれる選手が出ることを待ち望んでいます。
 そういう選手が出る可能性はありますか。

ピーター 難しいかもしれません。
 ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、現在選んでいる日本人のトッププレーヤーと、外国人選手の組み合わせが上手くいっているので、大きな変化を望まないでしょう。
 来年のスケジュールが、スーパーラグビーのサンウルブズの試合と強化合宿で多忙なことを考えると、グリーンロケッツからワールドカップ代表を生み出すためには、1つの可能性しかありません。
 チームとしてトップリーグのなかで成長し続けて、強い印象を残すこと。
 後藤輝也もワールドカップ代表に選ばれたいと思っているし、その気持ちをトップリーグでのパフォーマンスに結びつける。それが、ワールドカップでの代表に通じる道なのです。もちろん、彼は20年東京オリンピックでの7人制日本代表も狙っていますが。

松木 大石力也選手が、今、7人制日本代表に選ばれて、アジア大会に出かけていますね。

ピーター 彼にとっては良い経験ですが、トップリーグでは第2節まで試合には出られないでしょう(苦笑)。
 彼らのような若い選手たちが、代表レベルに達するためには、トップリーグの試合に出るだけではなく、その前からの準備が大切になります。
 この2シーズン、ルーキーたちには、入社が決まってから1度か2度我孫子のグラウンドにきてもらい、プロフェッショナルな育成プログラムがどういうものかを説明してきました。
 そこで彼らは初めて、「こういうことをやらなければならないのか」と気がつき、育成プログラムを通じて、必要なスキルを学び、チームから何を求められているのかを理解するのです。
 今季入った、中嶋、横山、亀山(雄)はそうしたプログラムに沿って鍛えてきた選手たちです。
 今も、今季からコーチング・スタッフに加わった松尾健が彼らのメンター(導師)となって、将来のグリーンロケッツを背負っていけるよう、彼らが育成プログラムに沿って自ら鍛えているかどうかを、2週間に1度チェックしています。
 ここで大切なのは、こうした行動計画を実行するのが本人だということ。
 コーチのためでも、わたしのためでもなく、自ら成長するために、自発的に計画を立てて取り組むことが求められる。そして、自らやり続けた者だけが、いい選手になれるのです。

松木 今季から、新しいFWコーチが加わりましたね。

ピーター グレッグ・フィークですね。
 彼は、素晴らしい経歴を持つコーチですが、さまざまな新しいアイディアを練習に持ち込むと同時に、昔のような、泥臭く厳しい練習メニューも持ち込んでいます。おそらく、私が就任する前のグリーンロケッツに欠けていた部分でしょう。それが実を結んで、サントリーのFWとも互角に戦えるようになりました。本当に、素晴らしかった。フィークの哲学はシンプルで、「FWは体を張ってバックスのためにボールを獲得する」。それだけです(笑)。

松木 ピーターさんやコーチング・スタッフと、選手たちの間に、言葉の壁のようなものはありますか。

ピーター その点は心配ないでしょう。
 選手とは頻繁にミーティングを行なっていますし、スタッフ同士も、いつも話し合ってコミュニケーションを取っています。メディカル・グループはグラントといつもいっしょですし、グレッグと熊谷皇紀も上手くいっています。私は松尾と同じオフィスでいつも顔を合わせて、お互いに疑問をぶつけ合い、それぞれの意見を主張し合っています。

松木 最後に、グリーンロケッツのサポーター、そしてNECの全社員に向けてメッセージをお願いします。

ピーター まず、みんながグリーンロケッツをサポートしてくれるようになるためには、たとえそれが困難な状況でも試合に勝たなければならない――そうチームには伝えています。
 そして、毎年サポーターが増えていることも感じています。
 特に、家族連れのファンがたくさん試合を見にきてくれます。
 プレシーズンゲームでは、我孫子のグラウンドにたくさんの家族が訪れて、みんながみんなを歓迎するような素晴らしい雰囲気が生まれているし、そうした家族連れが、試合のあとでバーベキューを楽しんでいるのも、とても良い光景だと思います。
 秩父宮ラグビー場での試合に駆けつけてくれるサポーターは本当に素晴らしく、私は「シティ・サポーター」と名づけて感謝しています(笑)。
 福岡で試合をするときにも、応援に駆けつけてくれるサポーターがいて、サポーターの多い少ないではなく、常に感謝の気持ちを持ち続けています。
 そして、今季は、ホームの柏の葉で2試合が行なわれます。
 昨季は、クボタスピアーズを相手に、途中までサポーターがベソをかくような展開でしたが(笑)、なんとか接戦をモノにしました(28-27)。今季も厳しい戦いになるかもしれませんが、ファンとの距離が近いホームゲームは選手の励みになります。また、選手たちも、ホームゲームの大切さは十分にわかっています。
 ですから、今季もみなさんのご期待に添えるよう、頑張ります。
 最後に、一言付け加えれば、そうしたサポートもあってプレシーズンにはワラターズに勝つという結果も出ましたが、忘れてならないのは、まだ誰も試合用のジャージーを手にしていないということです。23名のメンバーに入るための競争は、今も激しく続いているのです。

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