グリーンロケッツ、NTTドコモに逆転PGを許してレギュラーシーズンを終える!

info_category1.gif2017/12/25



 前節でキヤノンイーグルスを破ってホワイトカンファレンス4位を決めたNECグリーンロケッツにとって、レギュラーシーズン最終戦は難しい試合だった。
 対戦相手のNTTドコモレッドハリケーンズは、レッドカンファレンス7位ながら、今季5勝を挙げ、しかもこの試合に入替戦回避がかかっている。
 いわば背水の陣で必勝を期す相手から、渾身のチャレンジを受けることになったのだ。
 立ち上がりの2分には、NTTドコモSOリアン・フィルヨーンのハイパントを、この試合で先発となったSHリー・カドゥがよく戻って捕球したが、そのままタックルを浴び、その処理でハンドリングエラーが起こる。
 NTTドコモは、このスクラムから連続的に攻めた。
 グリーンロケッツも、今季これまで機能していた防御で相手を前に出さずに守っていたが、3分、ラックの後ろの防御に一瞬の隙が生じ、NTTドコモLOイオンギ穣に突破を許す。
 いきなりトライを奪われ、コンバージョンも決められて、0-7とリードを許した。
 仕切り直しのキックオフ。
 グリーンロケッツは勢いよくプレッシャーをかけ、すぐにラックでボールを奪う。が、パスを受けたLOサナイラ・ワクァがノックオン。しかも、次のスクラムを押し込まれて反則をとられて、相手陣でアタックの時間を作れない。
 13分には、SO森田洋介が素晴らしいハイパントキャッチを見せてFL大和田立につなぎ、CTBアマナキ・サヴィエティを走らせるが、ラックから左に攻めたところでまたハンドリングエラーが出て、アタックを継続できない。
 20分には、WTB飯山竜太がカウンターアタックを仕掛け、前に出てラックを作るが、そこから右に展開したところで相手の圧力を受け、インターセプトを許す。この大ピンチは全員が戻ってトライを防いだが、ラックで反則を犯し、22分にPGを追加された。
 


   試合の4分の1が経過したところでスコアは0-10。
 フラストレーションが溜まる展開が続く。
 グリーンロケッツが相手陣深く攻め込んで、マイボールのラインアウトを得たのは24分だった。
 位置は相手ゴールラインまで10メートルだ。
 そして、がっちりとモールを組んで押し込む。が、ゴールラインまでは届かず、NO8ジョージ・リサレがサイドアタック。さらに大和田、HO臼井陽亮と目の前の白線に向かって突破を試みるが、NTTドコモの壁に跳ね返される。カドゥが潜り込むようにサイドをついたところで、NTTドコモに反則があり、グリーンロケッツはふたたびペナルティのチャンスを得た。
 ここも、ラインアウトモールを上手く守られてラックからの執拗なFW攻撃に変わる。
 ラック。サイドアタック。またラック。
 攻める側も守る側も、どこまで我慢強く同じことを繰り返せるかが問われる場面だ。
 しかし、我慢しきれなかったのはグリーンロケッツだった。
 ワクァがボールを持つと、アメリカン・フットボールばりにラックの上を飛び越えて一気にトライを奪おうとしたのだ。しかし、いくら長身とはいえ、手は地面に届かずにノックオン!
 初めてつかんだチャンスはものにできないまま潰えた。
 32分には、ラインアウトから連続して大和田が抜け出し、ゴール前でマイボールのスクラムを得たが、ノックオンをターンオーバーされる。グリーンロケッツも、直後にターンオーバーから攻め、PR瀧澤直キャプテン→PR土井貴弘とつないで前進。さらにWTB後藤輝也が抜けかけたが、NTTドコモLOヴィンピー・ファンデルヴァルトにタックルされてボールを落とし、攻撃をスコアに換えることができない。
 逆に36分にはカウンターアタックを仕掛けられてあわやトライ……というピンチを招くが、ここはFB吉廣広征が体を張って止め、なんとか失点を食い止める。
 アタックで我慢できないことでリズムを失い、ミスで相手にボールを渡す悪循環に、グリーンロケッツは陥っていた。
 そして39分、ゴール前でNTTドコモの分厚い波状攻撃を受ける。
 けれども、ディフェンスではグリーンロケッツの我慢が上回った。
 18次目でLO廣澤拓が相手ボールを奪ったのだ。
 ボールを受けたCTB釜池真道が、右に待つ後藤にパス。タッチラインまで1メートルほどの狭いスペースだったが、後藤はすぐにギアをトップに入れて加速。10メートルラインを越えたところでキックを蹴り、自ら相手を倒してボールに働きかける。
 しかし、タックルしたときに倒れ込んだと判定され、反則をとられてしまう。
 そこでホーンが鳴って、前半が終了した。



 ハーフタイム。
 ロッカーで、ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)が言った。
「前半のことはすべて忘れろ」
 確かに前半だけでハンドリングエラーは10を数え、それが試合の流れを滞らせる原因となっていた。だから、明確に立てられたプランに基づいたラグビーで結果を残してきた今季の原点に立ち戻れ、というのだ。
 果たして後半は、グリーンロケッツに流れがやってきた。
 1分に、自陣22メートルラインを越えて攻め込まれたラックで、大和田が相手ボールを奪って走り出し、そこから右へ展開。最後は森田のキックで相手陣でのラインアウトに。そこからボールを動かして釜池がブレイク。さらに臼井→リサレとつないでゴールラインに迫る。ここはラックでボールを奪われたが、さらにカウンターアタックからカドゥのキックを後藤が好捕してアタックを継続する。
 6分にはラインアウトからのアタックで臼井がブレイク。さらに釜池→大和田で22メートルラインを越え、ついにゴール前でペナルティを得た。
 8分に、このPGを森田が決め、グリーンロケッツはようやくスコアボードに3点を刻む。
 14分には、NTTドコモのハイパントからこぼれたボールを森田が拾い、飯山が前に出る。さらに瀧澤キャプテンが前に出て右に展開。抜け出した後藤をサポートしたリサレがタッチライン際を走り、ゴールラインへと迫る。リサレのリターンパスは相手に入って、ゴール前でのラインアウトとなったが、チャンスはまだ続いている。
 そして17分。
 このラインアウトからモールを押し込んでリサレが待望のトライ!
 難しい角度からの森田のコンバージョンも、ゴールポストに当たって決まり、同点に追いついた。
 さらに24分にPGを追加して13-10。
 


   問題はここからだった。
 34分にPGを返されて13-13で迎えた後半39分。
 グリーンロケッツは、自陣での相手ボールラインアウトというピンチに見舞われる。ここで大和田がジャンプ一番ボールを奪い、マイボールにした。ところが、その後ボールをキープしようとしたところでモールに持ち込まれ、ダウンボールできないまま相手ボールのスクラムに。
 そして、スクラムで反則を犯してフィルヨーンに決勝PGを決められたのだ。
 ディフェンスで我慢に我慢を重ね、勝利はともかく引き分けが見えたところで詰めが甘くなっての逆転負け。
 瀧澤キャプテンは、悔しさを押し殺してこう言った。
「前半を0-10とリードされながら、後半に修正して逆転できたところは進化だと思う。ただ、そこで確実に勝ちきれなかった。どうしても勝ち点が必要なNTTドコモと、自分たちのプライドをかけて戦うグリーンロケッツという試合でしたが、僕たちのプライドを見せられなかった。僕らがチャレンジを受ける立場になることはほとんどありませんが、強いチームはこういうチャレンジを受けながら勝っている。僕らも、相手が目の色を変えて牙をむく終盤の時間帯に、逆転して勝ちきれるチームにならないといけない。それが、これから目指すべきところだと思います」
 ラッセルHCも、1月6日から始まる5位-8位決定戦に向けて、メンタル面での修正を口にする。
「今日の前半は、これまでやらなかったような無理なプレーでエラーを引き起こしていた。もっとコントロールされたラグビーをしなければならない。特に、メンタルな部分では、襟を正して強い気持ちで臨まないといけない」
 レギュラーシーズンの最終順位確定を受けて、グリーンロケッツは6日に東芝ブレイブルーパスと戦うことが決まった(秩父宮ラグビー場 14時キックオフ)。東芝は、今季の開幕戦で0-20と敗れた相手だ。それからお互いにチーム状況が変わったところでどんな戦いとなるのか。
 新しい年の、グリーンロケッツの新たな挑戦に期待しよう!






   今季が入社10年目。
 NTTドコモレッドハリケーンズ戦では、HO臼井陽亮とともに先発メンバーで最年長だ。
 それにもかかわらず、吉廣広征は背番号15を背負い、NECグリーンロケッツの最後の「砦」としてチームを支えつづけている。今季の出場はこれまで11試合。第2節、第3節は体調を崩して欠場したが、実はその休みがベテランにいい変化をもたらした。
 吉廣が言う。
「開幕戦は8月でしたから、汗でボールが滑る時期。だから、地域をとることを考えて手堅くプレーしました。その直後に体調を崩して休んだときに、若い松浦(康一)がFBに入って、積極的にカウンターアタックを仕掛けていた。それを見て、FBが勢いのあるカウンターアタックで前に出るとみんなが元気になることに気がついた。今までの自分のプレーを振り返って、安定したプレーが、どこか消極的なプレーに近づいていたのではないか、と気づかされたのです」
 だから、第4節の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦で復帰するや、そこからアタックでも積極的に前に出ることを心がけた。それがチームを勢いづけ、ホワイトカンファレンス4位という結果にも結びついたのだ。
 それだけに、1トライしか挙げられず、13-16と競り負けたNTTドコモ戦を悔やんでいる。
「今のチームには後藤(輝也)や飯山(竜太)といったいいWTBがいて、外で仕掛けてもチャンスを作れる。それなのに、外までいい状態でボールを運べなかった。今季は、チームがまだ若いというか、いいときは波に乗って思い切ったプレーも出るけど、今日のようにゲームが上手くいかないときに我慢をしたり、打開したりといったところがまだできない。それが課題だと思います」
 その分、楽しみにしているのが1月の順位決定戦だ。
 グリーンロケッツは6日に東芝と戦い、勝っても負けても翌週14日にリコーブラックラムズまたは神戸製鋼コベルコスティーラーズと戦うことが決まっている。
 どのチームも、今季黒星を喫した相手。リベンジを果たすためには、思い切ったチャレンジが求められるのだ。
「今のチームが成長するためには、強い相手にチャレンジすることが必要。それならば、みんなが思い切ってアタックを仕掛けられるし、グリーンロケッツのラグビーを楽しむことができるでしょう。そして、格上の相手にチャレンジすることで、来季につながる収穫を得られると思います」
 1月の決定戦を、今季の総決算としてだけではなく、来季に向けたジャンピング
ボードにしようと考えているのだ。そのために吉廣は、若手からアドバイスを求められれば積極的に応え、ピッチの上でと同様にチームを前に出そうとしている。
「今季は、みんなのキャラクターが出たラグビーになっている。その分、ミーティングも増えたし、やることは多いのですが、やっていて楽しいという声は昨季よりも多い。ただ、今日のような試合では、絶対的なリーダーが必要です。それが、これからの9番、10番、15番の役割になる。チームは、まだ乗っているときはいいけど、停滞した状況を打開するところまではいっていない。そこで一皮むけるためにも、1月の試合が大切なのです」
 もちろん、自分自身で心がけていることもある。
 それが「説得力のあるプレーをすること」だ。
「アドバイスをしたり、チームをリードするためには、それが欠かせません(笑)」
 順位決定戦では、背番号15がどこまでチームを前に出して、果敢なチャレンジを見せられるか――吉廣の背中に注目だ。
(取材・文:永田洋光)

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