ルーキー飯山の2トライでグリーンロケッツ、キヤノンに快勝! ホワイトカンファレンス4位を決める!
2017/12/18
NECグリーンロケッツとキヤノンイーグルス。
両チームの意地と意地が激突したゲームは、気まぐれな風にも影響されて、過剰な気持ちが若干空回り気味の展開となった。
なにせ、グリーンロケッツのNO8アダム・トムソンは昨季までキヤノンの切り込み役。キヤノンの、この日は22番をつけてベンチスタートとなった田村優は、昨季までのグリーンロケッツの司令塔だ。
しかも、同じホワイトカンファレンスに所属する今季、試合前の時点でグリーンロケッツが勝ち点21の4位。キヤノンは同19で5位。ここで勝てば1月に行なわれる順位決定戦で5位-8位決定戦に回り、敗れれば9位-12位決定戦に回る。
今季を上位8チームで終えられるか否か。
それが、この“直接対決”にかかっていた。
前半。
最初にチャンスをつかんだのは、風下からキックオフを蹴り込んだグリーンロケッツだった。
ファーストプレーでキヤノンのノックオンを誘うと、スクラムから右WTB竹中祥を入れてアタック。そこからフェイズを9つ重ねる。
さらにキヤノンのノックオンでふたたびスクラムを得て、またアタック。
それでもゴールラインには届かない。
キヤノンも、粘り強く守ってカウンターアタックに活路を見いだそうとするが、こちらも細かいミスが出て自陣を脱出できない。
グリーンロケッツは、試合開始から15分以上相手陣に居座り、ボールを圧倒的に保持してゲームを進めたが、スコアボードはゼロのままだった。
そんなモヤモヤした空気を変えたのが、LO廣澤拓の好セービングだ。
キックの蹴り合いからキヤノンWTBホセア・サウマキがカウンターアタック。そこから細かくボールをつなぐところでミスが起きた瞬間に、地面のボールに飛び込み、これを確保したのだ。
グリーンロケッツは、ここからSH役に入ったLO細田佳也が左へパスアウト。
CTBアマナキ・サヴィエティを経てボールはゲームキャプテンのFL亀井亮依に。亀井はさらに大きく左にパス。そして、トムソン→CTBマリティノ・ネマニを経て、左端のWTB飯山竜太に。この試合がトップリーグデビューとなったルーキーは一気に加速する。
タッチライン際を走って大きく前進すると、内側にサポートしたFB吉廣広征にパス。吉廣も、冷静に相手防御を引きつけて飯山にリターンパス。
飯山が、キヤノンFB上原哲をハンドオフで弾き飛ばしてインゴールに駆け込む。
前半21分。ルーキーのトライでグリーンロケッツは待望の先制点を挙げたのだ。
SO森田洋介がコンバージョンを決めて、スコアは7-0。

これで気持ちがほぐれたのか、ディフェンスでも動きが良くなった。
直後にキヤノンにカウンターアタックからSOジャン・クロード・ルースのブレイクを許し、FL杉永亮太がゴールラインに迫ったが、そこに外側からネマニが猛スピードで戻ってタックル。さらにゴール前スクラムからのキヤノンのアタックをしのぎ、ラックのこぼれ球にFL大和田立が鋭く反応してボールを奪い、ピンチを脱出した。
その後、両チーム1PGずつ加えて10-3となった前半終了間際。
アタックを仕掛けるキヤノンがラックに持ち込んだところで、PR榎真生が相手をめくりあげてターンオーバー。ボールを手にしたSH木村友憲は、ゲームを切らずにタッチライン際の飯山にロングパス。
「キヤノンの選手全員が内側を見ていたので、前が空いていた。タッチライン際を走れば、押し出されてもそこで前半が終わるわけですから、思い切って挑戦しました」(飯山)
自陣22メートルライン付近でパスを受けた飯山はそこから一気に加速。最後はルースを外側にきれいに抜き去って2つ目のトライを挙げた。
森田のコンバージョンは外れたが、グリーンロケッツは15-3と大きくリードを広げて前半を終えた。
しかし、風上に立った後半、グリーンロケッツは逆にピンチに見舞われた。
立ち上がりこそ優位にゲームを進め、8分にはスクラムから仕掛けてサヴィエティが大きくブレイクしたが、タッチに押し出されてアタックを継続できない。
17分には、キヤノン陣内でのラインアウトから仕掛けたところでミスが起こり、ターンオーバーから一気に攻め込まれてサウマキにトライを奪われた。
後半立ち上がりからピッチに入った田村がコンバージョンを決めて15-10。リードは5点に縮まった。
直後のキックオフから反撃したグリーンロケッツは、吉廣のカウンターアタックを起点にフェイズを重ね、途中出場のHO川村慎が大きく突破。できたラックから木村がゴール前に短いキックを蹴る。そのまま相手を押し出せば絶好の位置でマイボールラインアウトを得られるところだったが、追走した竹中がボールを奪おうとして手が相手の肩より上にかかり、これがハイタックルと判定されて、チャンスを逸した。
しかも、そこから地域を挽回され、23分にキヤノンCTB三友良平にPGを決められて、15-13。2点差まで追い上げられた。
ピンチはなおも続く。
25分には、キヤノンが連続攻撃から田村がグラバーキック。これにサウマキが反応。グリーンロケッツは、途中出場のSHリー・カドゥが良く戻ってセービングするが、ボールがこぼれてキヤノンCTBティム・ベネットがインゴールで押さえた。
逆転トライ……? と思われたが、判定はTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)に。
その結果、サウマキの手に当たったボールをベネットが押さえたと判定されてノックオン。グリーンロケッツは、危ういところで逆転を免れた。
森田が振り返る。
「キヤノンは、前半はこちらが予想したスペースにボールを運んでくれたのですが、後半に田村が入って空いているスペースを上手くついてきた。このTMOには本当に救われましたね」

最大のピンチの後にはチャンスがやってくる。
30分過ぎに、自陣から強引にカウンターアタックを仕掛けようとしたサウマキを森田がしつこくタックルしてターンオーバー。カドゥがサイドをつき、途中出場のLOラトゥイラレプハ→サヴィエティとつないで試合を決めるトライを挙げた(32分)。森田がコンバージョンを決めて22-13。リードがワンチャンスでは逆転できない9点差となった。
グリーンロケッツは、さらに37分にPGを追加。捨て身の反撃に出たキヤノンにトライを奪われ、最終的には25-20と5点差まで詰め寄られたが、それでも“因縁の対決”を制した。
これで勝ち点を25に伸ばし、7点差以内負けのボーナスポイントを獲得したキヤノンとのポイント差を5に広げた。最終節でグリーンロケッツが8点差以上つけられて敗れ、キヤノンが5ポイントの勝利を挙げた場合、両者は勝ち点25で並ぶことになるが、トップリーグの規約では、勝ち点同数の場合は勝ち数の多いチームが上位となる。そのため、この時点で、最終節を待たずに、グリーンロケッツの4位が確定したのだ。
ピーター・ラッセル ヘッドコーチは、ホッとした表情で試合を振り返った。
「後半、キヤノンに息を吹き返させたのは残念だが、前節(サントリーサンゴリアス戦)からの自信を積み上げて、粘り強く戦えた。飯山がチャンスを活かしたことも非常に嬉しい。ここ数試合、ルーキーたちが非常にいい働きをしている」
そして、最終節、年明けの順位決定戦を見据えてこう結んだ。
「若手が伸びている手応えがある。少しでも順位を上げるためには全員の力が必要だ。今、チームが成長している手応えを感じている」
グリーンロケッツはクリスマスイブの24日、秩父宮ラグビー場でNTTドコモレッドハリケーンズとの最終戦に臨む(11時30分キックオフ)。そこで勝利を挙げ、レギュラーシーズンを勝ち越して年明けの順位決定戦に臨めるか。
さらなる“上昇”に期待しよう!



グリーンロケッツに、また1人、頼もしいルーキーがデビューした。
キヤノンイーグルス戦で2トライを挙げ、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた飯山竜太だ。
今季は、9月23日の宗像サニックスブルース戦でも、トップリーグデビューとなったSH山田啓介がトライを奪っている。ピッチに入ったバックスのルーキーは必ずトライをとる――と信じたくなるほど、鮮烈なデビューが続いているのだ。
飯山は、帝京大学時代、なかなかレギュラー定着を果たせずにいた。
先輩が卒業してポジションが空いたかと思えば、大型ルーキーが入部してくる、といった巡り合わせもあったが、それでも前向きに自分の可能性を見つめ続けた。
飯山が言う。
「確かに悔しさはありましたが、何もしないのはシャクだったので、自分の良さがどこにあるかを考えました。そして、レギュラーにない持ち味を伸ばそうと考えたのです。それが、体の強さでした。ハンドオフもその頃覚えました。新しい可能性を自分のなかに見つけようとしたわけです」
グリーンロケッツに入ってからも、前向きさを保ち続けた。
パスやキックといった“苦手分野”克服に励みながら持ち味を磨き、ついにキヤノン戦で先発11番のファースト・ジャージに袖を通したのだ。
記念すべき初トライも、最後は強烈なハンドオフで相手をはね飛ばした“得意の形”。前半終了間際の独走トライは、「ラストプレーだから、タッチに出されても大丈夫」と状況を読んでの挑戦だった。そして試合後、「結果的に5点差でしたから、あそこで挑戦して良かった」と笑みを見せた。
「今まで、ああいう状況で走り切ってくれる選手が後藤(輝也)ぐらいしかいなかったのですごく助かりました」と言うのは、SO森田洋介だ。
その結果の、マン・オブ・ザ・マッチ受賞だった。
「受賞はすごく嬉しいです。我孫子のクラブハウスに初めて行ったとき、ずらりと並んだマン・オブ・ザ・マッチの楯を見て、こういう楯をもらえる選手はすごいな……と思っていたのですが、まさか初出場で取れるとは思っていなかった(笑)。だから、本当に嬉しい」
飯山は8日に行なわれたNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとの練習試合に出場し、そこで4トライを挙げる活躍を見せた。それが評価されての抜擢だが、本人は謙遜する。
「あのときは、周りのみなさんが相手を崩してくれたところでトライしただけでした。今日はメチャクチャ緊張して、最後に足をつってしまったぐらいです(笑)。ただ、同期の亀井(亮依)がゲームキャプテンでしたから、その点は慣れていました。前節でサントリーサンゴリアスを相手に健闘したのを外から見ていて、それも刺激になりましたね」
かくしてシーズン終盤にまた1人、新戦力が加わったわけだが、残り少なくなった分、重要さが増す今後に向けて、飯山は抱負をこう話す。
「ステップを切らずに直線的に走る自分の持ち味は、どのWTBとも違う強みだと考えています。この強みを積極的に出してチームに貢献したい。今日は結果が出て本当に良かったと思っていますが、また気持ちを入れ直して頑張ろうと思います」
両チームの意地と意地が激突したゲームは、気まぐれな風にも影響されて、過剰な気持ちが若干空回り気味の展開となった。
なにせ、グリーンロケッツのNO8アダム・トムソンは昨季までキヤノンの切り込み役。キヤノンの、この日は22番をつけてベンチスタートとなった田村優は、昨季までのグリーンロケッツの司令塔だ。
しかも、同じホワイトカンファレンスに所属する今季、試合前の時点でグリーンロケッツが勝ち点21の4位。キヤノンは同19で5位。ここで勝てば1月に行なわれる順位決定戦で5位-8位決定戦に回り、敗れれば9位-12位決定戦に回る。
今季を上位8チームで終えられるか否か。
それが、この“直接対決”にかかっていた。

前半。
最初にチャンスをつかんだのは、風下からキックオフを蹴り込んだグリーンロケッツだった。
ファーストプレーでキヤノンのノックオンを誘うと、スクラムから右WTB竹中祥を入れてアタック。そこからフェイズを9つ重ねる。
さらにキヤノンのノックオンでふたたびスクラムを得て、またアタック。
それでもゴールラインには届かない。
キヤノンも、粘り強く守ってカウンターアタックに活路を見いだそうとするが、こちらも細かいミスが出て自陣を脱出できない。
グリーンロケッツは、試合開始から15分以上相手陣に居座り、ボールを圧倒的に保持してゲームを進めたが、スコアボードはゼロのままだった。
そんなモヤモヤした空気を変えたのが、LO廣澤拓の好セービングだ。
キックの蹴り合いからキヤノンWTBホセア・サウマキがカウンターアタック。そこから細かくボールをつなぐところでミスが起きた瞬間に、地面のボールに飛び込み、これを確保したのだ。
グリーンロケッツは、ここからSH役に入ったLO細田佳也が左へパスアウト。
CTBアマナキ・サヴィエティを経てボールはゲームキャプテンのFL亀井亮依に。亀井はさらに大きく左にパス。そして、トムソン→CTBマリティノ・ネマニを経て、左端のWTB飯山竜太に。この試合がトップリーグデビューとなったルーキーは一気に加速する。
タッチライン際を走って大きく前進すると、内側にサポートしたFB吉廣広征にパス。吉廣も、冷静に相手防御を引きつけて飯山にリターンパス。
飯山が、キヤノンFB上原哲をハンドオフで弾き飛ばしてインゴールに駆け込む。
前半21分。ルーキーのトライでグリーンロケッツは待望の先制点を挙げたのだ。
SO森田洋介がコンバージョンを決めて、スコアは7-0。

これで気持ちがほぐれたのか、ディフェンスでも動きが良くなった。
直後にキヤノンにカウンターアタックからSOジャン・クロード・ルースのブレイクを許し、FL杉永亮太がゴールラインに迫ったが、そこに外側からネマニが猛スピードで戻ってタックル。さらにゴール前スクラムからのキヤノンのアタックをしのぎ、ラックのこぼれ球にFL大和田立が鋭く反応してボールを奪い、ピンチを脱出した。
その後、両チーム1PGずつ加えて10-3となった前半終了間際。
アタックを仕掛けるキヤノンがラックに持ち込んだところで、PR榎真生が相手をめくりあげてターンオーバー。ボールを手にしたSH木村友憲は、ゲームを切らずにタッチライン際の飯山にロングパス。
「キヤノンの選手全員が内側を見ていたので、前が空いていた。タッチライン際を走れば、押し出されてもそこで前半が終わるわけですから、思い切って挑戦しました」(飯山)
自陣22メートルライン付近でパスを受けた飯山はそこから一気に加速。最後はルースを外側にきれいに抜き去って2つ目のトライを挙げた。
森田のコンバージョンは外れたが、グリーンロケッツは15-3と大きくリードを広げて前半を終えた。

しかし、風上に立った後半、グリーンロケッツは逆にピンチに見舞われた。
立ち上がりこそ優位にゲームを進め、8分にはスクラムから仕掛けてサヴィエティが大きくブレイクしたが、タッチに押し出されてアタックを継続できない。
17分には、キヤノン陣内でのラインアウトから仕掛けたところでミスが起こり、ターンオーバーから一気に攻め込まれてサウマキにトライを奪われた。
後半立ち上がりからピッチに入った田村がコンバージョンを決めて15-10。リードは5点に縮まった。
直後のキックオフから反撃したグリーンロケッツは、吉廣のカウンターアタックを起点にフェイズを重ね、途中出場のHO川村慎が大きく突破。できたラックから木村がゴール前に短いキックを蹴る。そのまま相手を押し出せば絶好の位置でマイボールラインアウトを得られるところだったが、追走した竹中がボールを奪おうとして手が相手の肩より上にかかり、これがハイタックルと判定されて、チャンスを逸した。
しかも、そこから地域を挽回され、23分にキヤノンCTB三友良平にPGを決められて、15-13。2点差まで追い上げられた。
ピンチはなおも続く。
25分には、キヤノンが連続攻撃から田村がグラバーキック。これにサウマキが反応。グリーンロケッツは、途中出場のSHリー・カドゥが良く戻ってセービングするが、ボールがこぼれてキヤノンCTBティム・ベネットがインゴールで押さえた。
逆転トライ……? と思われたが、判定はTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)に。
その結果、サウマキの手に当たったボールをベネットが押さえたと判定されてノックオン。グリーンロケッツは、危ういところで逆転を免れた。
森田が振り返る。
「キヤノンは、前半はこちらが予想したスペースにボールを運んでくれたのですが、後半に田村が入って空いているスペースを上手くついてきた。このTMOには本当に救われましたね」

最大のピンチの後にはチャンスがやってくる。
30分過ぎに、自陣から強引にカウンターアタックを仕掛けようとしたサウマキを森田がしつこくタックルしてターンオーバー。カドゥがサイドをつき、途中出場のLOラトゥイラレプハ→サヴィエティとつないで試合を決めるトライを挙げた(32分)。森田がコンバージョンを決めて22-13。リードがワンチャンスでは逆転できない9点差となった。
グリーンロケッツは、さらに37分にPGを追加。捨て身の反撃に出たキヤノンにトライを奪われ、最終的には25-20と5点差まで詰め寄られたが、それでも“因縁の対決”を制した。
これで勝ち点を25に伸ばし、7点差以内負けのボーナスポイントを獲得したキヤノンとのポイント差を5に広げた。最終節でグリーンロケッツが8点差以上つけられて敗れ、キヤノンが5ポイントの勝利を挙げた場合、両者は勝ち点25で並ぶことになるが、トップリーグの規約では、勝ち点同数の場合は勝ち数の多いチームが上位となる。そのため、この時点で、最終節を待たずに、グリーンロケッツの4位が確定したのだ。
ピーター・ラッセル ヘッドコーチは、ホッとした表情で試合を振り返った。
「後半、キヤノンに息を吹き返させたのは残念だが、前節(サントリーサンゴリアス戦)からの自信を積み上げて、粘り強く戦えた。飯山がチャンスを活かしたことも非常に嬉しい。ここ数試合、ルーキーたちが非常にいい働きをしている」
そして、最終節、年明けの順位決定戦を見据えてこう結んだ。
「若手が伸びている手応えがある。少しでも順位を上げるためには全員の力が必要だ。今、チームが成長している手応えを感じている」
グリーンロケッツはクリスマスイブの24日、秩父宮ラグビー場でNTTドコモレッドハリケーンズとの最終戦に臨む(11時30分キックオフ)。そこで勝利を挙げ、レギュラーシーズンを勝ち越して年明けの順位決定戦に臨めるか。
さらなる“上昇”に期待しよう!



グリーンロケッツに、また1人、頼もしいルーキーがデビューした。
キヤノンイーグルス戦で2トライを挙げ、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた飯山竜太だ。
今季は、9月23日の宗像サニックスブルース戦でも、トップリーグデビューとなったSH山田啓介がトライを奪っている。ピッチに入ったバックスのルーキーは必ずトライをとる――と信じたくなるほど、鮮烈なデビューが続いているのだ。
飯山は、帝京大学時代、なかなかレギュラー定着を果たせずにいた。
先輩が卒業してポジションが空いたかと思えば、大型ルーキーが入部してくる、といった巡り合わせもあったが、それでも前向きに自分の可能性を見つめ続けた。
飯山が言う。
「確かに悔しさはありましたが、何もしないのはシャクだったので、自分の良さがどこにあるかを考えました。そして、レギュラーにない持ち味を伸ばそうと考えたのです。それが、体の強さでした。ハンドオフもその頃覚えました。新しい可能性を自分のなかに見つけようとしたわけです」
グリーンロケッツに入ってからも、前向きさを保ち続けた。
パスやキックといった“苦手分野”克服に励みながら持ち味を磨き、ついにキヤノン戦で先発11番のファースト・ジャージに袖を通したのだ。
記念すべき初トライも、最後は強烈なハンドオフで相手をはね飛ばした“得意の形”。前半終了間際の独走トライは、「ラストプレーだから、タッチに出されても大丈夫」と状況を読んでの挑戦だった。そして試合後、「結果的に5点差でしたから、あそこで挑戦して良かった」と笑みを見せた。
「今まで、ああいう状況で走り切ってくれる選手が後藤(輝也)ぐらいしかいなかったのですごく助かりました」と言うのは、SO森田洋介だ。
その結果の、マン・オブ・ザ・マッチ受賞だった。
「受賞はすごく嬉しいです。我孫子のクラブハウスに初めて行ったとき、ずらりと並んだマン・オブ・ザ・マッチの楯を見て、こういう楯をもらえる選手はすごいな……と思っていたのですが、まさか初出場で取れるとは思っていなかった(笑)。だから、本当に嬉しい」
飯山は8日に行なわれたNTTコミュニケーションズシャイニングアークスとの練習試合に出場し、そこで4トライを挙げる活躍を見せた。それが評価されての抜擢だが、本人は謙遜する。
「あのときは、周りのみなさんが相手を崩してくれたところでトライしただけでした。今日はメチャクチャ緊張して、最後に足をつってしまったぐらいです(笑)。ただ、同期の亀井(亮依)がゲームキャプテンでしたから、その点は慣れていました。前節でサントリーサンゴリアスを相手に健闘したのを外から見ていて、それも刺激になりましたね」
かくしてシーズン終盤にまた1人、新戦力が加わったわけだが、残り少なくなった分、重要さが増す今後に向けて、飯山は抱負をこう話す。
「ステップを切らずに直線的に走る自分の持ち味は、どのWTBとも違う強みだと考えています。この強みを積極的に出してチームに貢献したい。今日は結果が出て本当に良かったと思っていますが、また気持ちを入れ直して頑張ろうと思います」
(取材・文:永田洋光)
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