グリーンロケッツ、サントリーを追い詰めながらとどめを刺せずに敗れる!

info_category1.gif2017/12/11



 今季初めて、ブルーのセカンド・ジャージーでの登場となったNECグリーンロケッツ。
 前節のパナソニックワイルドナイツ戦で瀧澤直キャプテンが足首を痛めたため、ゲームキャプテンにはルーキーのFL亀井亮依が抜擢された。LOには身長202センチのサナイラ・ワクァが、瀧澤キャプテンのポジション左PRには榎真生が、それぞれ入り、ジャージーの印象とともに新鮮味を感じさせるメンバーでサントリーサンゴリアスに挑んだ。
 パナソニック戦ではボールをキープしてアタックの時間を作ることができず、前半のほとんどをディフェンスに割かざるを得なかったため、一方的な展開となったが、サントリー戦はその反省が活かされた。
 キックオフ直後の最初のアタックでは、FB吉廣広征がカウンターアタックから防御を突破。攻撃の拠点を前に出してさらに継続。そして、サントリーのノーバインドのタックルを誘発し、3分にはPGチャンスを得て、SO森田洋介が先制点を狙った。
 しかし、ボールはゴールポストをそれてドロップアウトに。
 そして、ここからサントリーがアタックに転じた。
 グリーンロケッツも、6分過ぎにはゴール前で相手ボールを奪うなど耐えたが、9分にはモールを押し込まれてゴールラインに迫られた。このピンチも何とか踏みとどまったが、そこから大きくボールを回されると防御の人数が完全に足りなくなり、吉廣が前に飛び出してインターセプトを狙う。が、ボールが手に収まらずにノックオン。これが故意のノックオンと判定され、しかも、この反則がなければトライになったと判断されて、サントリーにペナルティートライが与えられた。
 ペナルティートライは、認定された瞬間に7点となるため、これでスコアは0-7。しかも、吉廣を10分間、シンビンで欠くことになった。
 それでもグリーンロケッツは踏みとどまった。
 13分にはゲームキャプテンの亀井が、17分にはNO8アダム・トムソンが、それぞれブレイクダウンでサントリーのボールを奪い、サントリーのアタックをリズムに乗らせない。
 この試合では、亀井とトムソンに加えてFL大和田立、LOワクァと廣澤拓がディフェンスで健闘。FWの献身的な防御にバックスも反応して、ゲームの緊張感を保つ。
 20分には森田がPGを決めて3-7と4点差に迫った。
 ただ、惜しまれるのは、不要な反則が目立ったこと。
 ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)も、「前半に規律を守れず、サントリーに得点を与えてしまった」と、この点を課題に挙げた。
 特に3-10で迎えた29分には、自陣でワクァがパスした後の選手にタックルに入って反則をとられ、3-13に。グリーンロケッツのディフェンスラインが整っていた状況だったから、完全に“いらない反則”だった。
 36分にサントリーに2つ目のトライを奪われた原因も、タックルが高くなってとられた反則が起点。サントリーにモールを押し込まれ、それを何とか押し戻そうとしたところでガラ空きのサイドにボールを運ばれて、スコアは3-20となった。



 後半。
 グリーンロケッツは、立ち上がりのサントリーのアタックを反則せずに守ってノックオンを誘い、そこから反撃に出た。
 6分には、スクラムからトムソンが右へサイドアタック。ラックを作ると左へ折り返し、PR土井貴弘からパスを受けた森田がサントリー防御のギャップを突破。そのまま大きくゲインして内側にサポートしたSH木村友憲にパス。木村は、さらにサントリーの防御を引きつけ、タックルされる直前にCTBマリティノ・ネマニにパスを通し、ネマニがポスト真下にトライを決めた。
 森田のコンバージョンが決まって10-20。
 前半はディフェンスでの活躍が目立ったネマニは、このトライで勢いづき、12分には個人技を発揮して抜け出し、タックルされても一度ボールを放してからふたたび走り出す強さも見せて、サントリーのオフサイドを誘い出した。
 54分に、このPGを森田が決めて13-20。
 後半開始時点の17点差は、ついにワンチャンスで追いつく7点差へと縮まったのだ。
 さらにグリーンロケッツはボールをキープして攻め続けたが、その勢いをそいだのは、やはりペナルティーだった。
 56分、トムソンがサントリーの防御に捕まり、押し戻されながらもなんとかボールをキープしてラックに持ち込んだところで、サポートの選手が勢い余って倒れ込む。
 後半に入って最初に犯した反則で、それまで防戦一方だったサントリーは落ち着きを取り戻し、攻守がまた入れ替わった。
 それでもグリーンロケッツは、ディフェンスの集中力を切らすことなく守り、サントリーのミスにも助けられて、7点差でゲームが続く。
 しかし、我慢してボールを取り戻したところで細かいミスが続いてチャンスに結びつけられず、相手陣へと大きく攻め込めない。逆に28分にPGを決められ、30分にはキックパスで防御を破られてトライを奪われ、スコアは13-28とふたたび大きく開いた。
 残り10分を切ってからは、あと1トライを加えてボーナスポイントを獲得したいサントリーと、もう一矢を報いたいグリーンロケッツが激しい攻防を繰り広げる。
 38分には、インゴールにグラバーキックを蹴り込まれ、あわやトライのピンチを迎えたが、途中出場のCTBジョーダン・ペインが戻り、競り合いのなかでサントリーのノックオンを誘って自陣ゴール前ながらマイボールのスクラムを得た。



 そして、グリーンロケッツは、ここから攻めた。
 まず小刻みにラックを連取してボールをキープ。
 サントリーの防御を動かしながらチャンスをうかがい、森田のパスを受けた吉廣が抜け出して、ハーフウェイライン付近まで一気に走る。さらに右へ展開し、タッチライン際を途中出場のNO8ジョージ・リサレが前進。内側にサポートした大和田にリターンパスを放る。少し軌道が乱れたパスを、大和田が何とか捕球してアタックは継続。一気にサントリー陣の22メートルラインを越えて、ゴール前に迫った。
 試合終了を告げるホーンが鳴り響くなか、ラックでペナルティーキックを得たグリーンロケッツは、ボールをタッチに蹴り出してラインアウトからトライを狙う。
 が、ここで相手にスチールされて万事休す。
 ラストチャンスをものにできずに、試合が終了した。
 ラッセルHCが言う。
「後半は信じる気持ちで自分たちのアタックを繰り出し、力を出すことができた。今日は、亀井、大和田の2人がしっかり仕事をしてくれた。ただ、相手陣に入ったところでトライチャンスを作りながら、それをミスで活かせなかった。サントリーのようなチームを相手に、これでは勝てないし、アタックの精度が次節への課題となる」
 ゲームキャプテンとして会見に臨んだ亀井は、「コミュニケーションの質」を課題に挙げた。
「試合のなかの肝となる時間帯に、正確なコミュニケーションを取れなかった。サントリーは、選手同士で多くのコミュニケーションをとっていましたが、グリーンロケッツは、その点が不足していました。その違いが、重要な場面での判断に現われたように感じました」
 亀井の言う「コミュニケーション」は、1つひとつのプレーについて、具体的に課題を挙げ、次の局面にどう活かすかという、きめ細かい戦術的なやりとりのこと。そこが80分間を通して劣っていたというのだ。
 レッドカンファレンスの首位を独走するサントリーを相手に終始健闘しながら、細かいミスやペナルティーで点差を広げられたこの試合は、パナソニック戦のショックを払拭し、次節のキヤノンイーグルス戦に向けてモチベーションを上げるいいきっかけにはなった。しかし、亀井が言うように、もっと緊密に細かくコミュニケーションが取れていれば、この難敵を慌てさせ、パニックに陥らせて、大接戦へと持ち込めたのではないか――という悔いも残った。
 今季もあと残る試合は2試合だ。
 この悔しい気持ちをぶつけるのに、キヤノンは格好の相手だ。
 16日13時、横浜はニッパツ三ツ沢球技場で、グリーンロケッツはホワイトカンファレンス4位をかけた、決戦に挑む!





 
 不思議な因縁だった。
 帝京大学4年生でキャプテンとして臨んだ最後の試合が、この秩父宮ラグビー場でのサントリーサンゴリアスとの日本選手権準決勝だった(1月21日)。
 このときは前半を21―21で折り返しながら、後半に力尽きて29―54と敗れた。
 そして9日、同じ秩父宮でサントリーを相手に、亀井亮依は、今度はNECグリーンロケッツのルーキーとして、ふたたびゲームキャプテンの任を託されて対戦した。
 亀井をキャプテンに抜擢した理由を、ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)はこう明かす。
「まず、初めてキャプテンを務めたことを祝福したい。亀井は、大学でキャプテンを務めた経験があり、チームのリーダーグループのなかでも大きな役割を果たしている。今日は周りに経験豊富なメンバーがいることもあって、キャプテンに抜擢した。大和田立とのコンビも非常に良く、2人の戦士が勇敢に仕事をしてくれた」
 大和田とは、同じ帝京大の先輩後輩の関係。
 だから、サントリー戦に向けて、2人で何をすべきか話し合ったと言う。
「サントリーが早いテンポのラグビーを仕掛けてくるのはわかっていましたから、大和田さんと“僕らの仕事はそのテンポを遅くするところにある”と話していました」
 それが、ラッセルHCが言う「戦士」級の活躍につながったのだ。
 しかし、今季、この試合まで途中出場はあったものの、出場機会になかなか恵まれず、目立った活躍も残せなかった。9月には「ディフェンスは十分に手応えがあるのですが、まだまだアタックが物足りない」と自分のプレーを評して、課題修正に取り組んでいた。
 サントリー戦の後も、「アタックはずっと課題のままです(笑)」と振り返ったが、リーダーとしてのふるまいや、チームの先頭を切ってタックルに入る働きは特筆ものだった。
 スタンドから見た印象では、グリーンロケッツのFWが亀井に引っ張られるように「速くなった」と感じられ、それが防御では圧力となって、サントリーにミスを多く生じさせたのだ。
「ディフェンスについては、8日にノンメンバーがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと練習試合をしたのですが、そこで気持ちが入ったディフェンスを見せてくれました。その刺激を受けて、今日はみんながモチベーション高く、気持ちを込めてディフェンスできたと思います。先週のパナソニック戦を外から見ていて、“受けているな”という印象を持ったので、ロッカールームでは“失敗を気にしないで、まず体を当てて行きましょう”と声をかけました」
 とてもルーキーとは思えないほど、落ち着いてゲームに臨んだのだ。
 だからこそ、今季の残り試合で、さらなる活躍を誓う。
「実際、アタックは僕の課題でしたし、実力が足りなかったのが現実でした。だから、そのことをしっかり受け止めて練習をしてきました。これからは、チームとしてディフェンスからチャンスを作り、それを得点に結びつけられるように精度を高めて行きたい。もちろん、僕1人でどうにかなるものではありませんが、その部分は、チームとして練習のときから意識を高めたい。ポジションとしても、FWをしっかりコントロールするのが役目なので、その点では、先輩であっても言うべきことは言おうと思っています」
 そう話したあとで、亀井は一言、笑顔で付け加えた。
「でも、その前に、ずっと試合に出られるように頑張ります」
 激戦区のFW第3列で亀井がポジションを獲得して、グリーンロケッツのニューリーダーに名乗りを上げられるか。
 シーズン終盤の大詰めにきて、さらなる上昇に向けた新しいピースが加わった。
(取材・文:永田洋光)

 

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