グリーンロケッツ、ボーナスポイントは逃したものの、サニックスに快勝!

info_category1.gif2017/09/25



 前半は「じれったい」ゲームだった。
 NECグリーンロケッツは、立ち上がりから攻めた。
 宗像サニックスブルースが蹴り込んだキックオフを捕ると、自陣から左へ展開。SO森田洋介からパスを受けたCTBジョーダン・ペインがいきなりラインブレイクだ。
 ハーフウェイライン付近まで走ったペインに、“相方”のCTBマリティノ・ネマニがサポート。手渡しでボールを受け取ってさらに前進。トライへの期待が高まる。
 ラックを連取したグリーンロケッツは、右へボールを折り返し、タッチライン際でWTB後藤輝也にボールを託す。が、後藤から内側にパスを返したところでノックオンが起こり、先制のノーホイッスル・トライとはならなかった。    
 6分には、左タッチライン際でボールを持ったWTB松浦康一に、サニックスNO8ジャック・ポトヒエッターがハイタックルを見舞い、ポトヒエッターがシンビンに。相手FWが1人少なくなった状況を活かそうと、グリーンロケッツは、ラインアウトからのモール勝負を挑む。
 そして、瀧澤直キャプテンがモールから突進。ゴールラインに迫るが、ここでもハンドリングエラーが出て得点を奪えない。



 11分には、自陣で相手ラインアウトをNO8アダム・トムソンが奪い、そこからボールを回してペインが地域挽回のキックを蹴ったが、これがダイレクトタッチとなってふたたび自陣22メートルライン内のラインアウトに戻される。
 圧倒的にボールを支配し、ゲームを優勢に進めながら、スコアボードの数字は依然としてゼロのまま。そんな嫌な流れを断ち切ったのが、HO臼井陽亮の独走だった。
 臼井は、ラインアウトのすっぽ抜けたボールを拾うと、そのまま直進。スピードに乗ってハーフウェイラインを突破する。サニックス陣10メートルライン付近でタックルされたが、サポートがしっかりついてラックに持ち込み、サニックスの反則を誘う。
 14分。このPGを森田が確実に決めて、3―0とようやく得点を刻んだ。



 同じホワイトカンファレンスに所属し、グリーンロケッツを倒して上位に浮上したいサニックスも、次のキックオフから反撃。能力の高いランナーにボールを持たせて、グリーンロケッツの防御を脅かす。
 ここではグリーンロケッツの防御が光った。
 18次に及んだサニックスの波状攻撃を反則せずに守り切ってターンオーバー。しかし、直後にトムソンが反撃を企て、無理な体勢からパスを通そうとしてスローフォワードをとられる。
 このスクラムは気負い込んだサニックスFWがレフェリーの合図よりも先に押し込み、アーリープッシュの反則。グリーンロケッツは、フリーキックをスクラムに選択。スクラムをぐっと強烈に押し込んだ。
 サニックスのフロントローの姿勢が高くなって後退。そこでレフェリーの笛が鳴った。
 しかし、反則をとられたのは、押し込んだグリーンロケッツだった。
 瀧澤キャプテンは、この場面を振り返ってこう話す。
「個人的な感触としてはスクラムを押し込めた手応えがありました。特に、このスクラムでの反則は、僕たちにすれば、見解の相違というところもありましたが、レフェリングに対して細かく修正しきれなかった。それが、これからの反省点です。こうした反則が、いいペースでゲームに入りながら、なかなかスコアをできない状況につながった。スクラムで手応えを感じながらも、完全に押し勝つところまでいけなかったのが原因でしょう」
 果たして、グリーンロケッツは、その直後にもスクラムで反則をとられて、サニックスにPGを決められ、3―3で試合を折り返した。  
 
 後半は、そんな「もやもや」を解消する最高の立ち上がりとなった。
 2分。FB吉廣広征のハイパントのこぼれ球をSH木村友憲が拾ってLOイ・ジンソクにパス。そこからフェイズを重ねて、8次目に、ペインと交代した釜池真道が相手防御の裏に抜け出す。ラックからパスを受けた瀧澤キャプテンが豪快に突進。ゴールライン手前で倒されたが、そのボールを拾ったFL大和田立がゴールポスト真下に飛び込んだ。
 待望のトライだ。
 森田がコンバージョンを決めて10―3。
 前半からの長い攻勢が、ようやく実を結んだのだ。



 グリーンロケッツは、続く13分にもモールを押し込み、臼井がトライを追加する。
 これは、その直前のラインアウトで、サニックスに、相手の体を持ち上げて頭から落とすスピアタックルの反則があり、そこでレッドカードが出されてFWが人数的に優位に立った状況を活かしたもの。
 さらに5分後の18分には、相手キックにカウンターアタックを仕掛け、途中出場のCTBアマナキ・サヴィエティが防御の裏に出たところで釜池にパス。釜池が大きく抜け出して、最後はサポートした吉廣がトライ。難しいコンバージョンを森田が決めて、スコアを22―3と広げた。
 トライ数で3―0と、ボーナスポイント獲得のチャンスも出たグリーンロケッツだが、27分にサニックスにトライを返されて、3トライ差を維持できるかは微妙な雲行きに。
 さらにトライを追加したいグリーンロケッツは、31分、自陣に攻め込まれたピンチに、後藤がよく戻ってボールを拾い、サポートした途中出場の山田啓介に22メートルライン付近でパス。
 トップリーグ初出場となった山田は、そこから80メートルを独走して歓喜の初トライ――に見えたが、後藤のパスがスローフォワードかどうかTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)にかけられる。そして、ビデオ映像による判定の結果、トライは認められず、プレーはグリーンロケッツ陣22メートルライン付近でのスクラムに戻された。
 瀧澤キャプテンが言う。
「トライだと思ったところでトライが認められず、少し気持ちが緩んだ部分がありました。一方、サニックスは、トライを奪われたと思ったところで、逆に攻め込んだ状況でのマイボールスクラムになった。そうした双方の気持ちの差が次のプレーに出てしまいました」
 グリーンロケッツは、このスクラムでも反則をとられ、そこからアタックを継続されてトライを奪われたのだ。
 これでスコアは22―17。残り時間は6分だ。
 それでもグリーンロケッツは動じなかった。
 次のキックオフから相手陣に攻め込み、ボールをキープしてアタックを継続する。
 フェイズを重ねること16次。
 最後は、「相手のFWがかなり疲れていたので内側のスペースを狙っていた」という後藤がラックサイドを抜け出し、最前に“幻のトライ”を記録した山田にパス。今度はきちんとパスが通って、山田がデビュー戦で嬉しいトップリーグ初トライを挙げた。



 ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)は試合をこう振り返る。
「サニックスのワイドなアタックに対して数多くタックルをしなければならず、またサニックスは残り20分を14人で戦う苦しい状況になったにもかかわらず、非常に良く戦った。コーチにとっては厳しいゲームだったが、それでも相手にプレッシャーをかけ続け、最後はボールをキープし続けてトライを奪うことができた。特にFWは、この1週間、準備してきたセットプレーで健闘したと思う」
 これでグリーンロケッツは、3勝2敗勝ち点13と“白星先行”に。しかし、前の試合でリコーブラックラムズが、コカ・コーラレッドスパークスからボーナスポイントつきの勝利を挙げたために、リコーに抜かれて順位が4位と一歩後退した。
 次節は、そのリコーとの決戦だ(29日 秩父宮ラグビー場 17時キックオフ)。  
 順位を1つでも上に上げるには絶対に負けられない試合に挑むことになる。
「リコーはサニックスとは違って、タテに強いチーム。パワフルなランナーも揃っている。そのリコーに対して適応できるように防御を構築し、自分たちの強みを活かせるように準備したい」とラッセルHCは意気込みを語る。
 今季、これまで積み重ねてきた自信を、さらに積み上げられるかどうか。
 リコー戦は、グリーンロケッツの成長ぶりが問われる試合になる。




 宗像サニックスブルース戦のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)には瀧澤直キャプテンが選ばれたが、大和田立もMOMに選ばれておかしくない活躍を見せた。
 3―3とロースコアで試合が進んだ前半はディフェンスで体を張り、ハーフタイムを経て後半に入るや、2分に先制トライを挙げて、チームの士気を高めた。瀧澤キャプテンがゴール前まで突進してできたラックから、そのままボールを奪って飛び込んだのだ。
「自分のプレーで、絶対に試合の流れを変える!」
 ハーフタイムに誓った、そんな決意のたまものだった。
 大和田は今季、昨季よりも積極的にボールを持つことを意識しているという。それが、自分の持ち味を、より活かすことにつながると考えているからだ。
「昨季はディフェンスがしっかりできないと試合に出られなかったので、ディフェンスを重点的に意識していましたが、今季は自分から積極的にボールをもらおうと意識しています。それが自分の持ち味ですし、ゲームでも、アタックは通じる手応えを感じています」
 開催まであと2年を切ったW杯日本大会も、大和田の意識を変えた要因だ。
「今25歳の僕にとって、2年後のW杯は本当に間近に迫った、という感覚です。だからこそ、どん欲に自分をレベルアップさせてアピールし、ジャパンに選ばれるようになりたい。そのためにも、ボールキャリーで外国人相手にもゲインできるところをアピールしていきたい。何か1つ飛び抜けた武器が、ジャパンに選ばれるためには必要だと思うのです」
 前半のディフェンスも、「ジャパンやサンウルブズに選ばれるためには、1回いいタックルをして満足しているようではダメ。ずっとハードワークをし続けないといけないと思っている」からこそ、集中力を途切れさせることなく体を張り続けられた。
「今日のようにディフェンスをする場面が多い試合でハードワークすることが、代表に選ばれるためには必要だと思います。外国人選手に絶対に抜かれないことも常に意識していました」
 すべては19年W杯で、ジャパンのジャージーを着るためのステップなのである。
 それだけに、今月2日に札幌で行なわれた豊田自動織機シャトルズ戦以来2度目のMOMに選ばれなかったのが、少々残念だった。
「豊田自動織機戦は、確かにトライはとりましたが、単にボールをもらっただけのトライでしたし、ディフェンスが評価されるほど良かったという感覚もありませんでした。僕が美幌出身なので、 “北海道枠”みたいな感じでしたね(笑)。もちろん、選ばれたことは本当に嬉しいのですが、今日は、豊田自動織機戦よりも攻守に手応えがありました。それだけに、今日選ばれていれば、もっとムチャクチャ嬉しかったと思います(笑)」
 チームには、同じ帝京大学の後輩で同ポジションの亀井亮依も加わり、ポジション争いは激化している。しかし、大和田は、ポジティブに自分の持ち味を出すことが、自身の成長を促し、同時にチームに貢献できる近道だと信じている。
「ラグビーは、ボールを持ってアタックするときが一番楽しい。特に、僕はそうです。だから、いつも楽しさを追い求めたい」
 今季はどこまで走り続けられるのか。
 背番号7の背中に注目だ!

(取材・文:永田洋光)

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