悪夢のような15分間に3トライを奪われ、グリーンロケッツ、神戸製鋼に敗れる!

info_category1.gif2017/09/11

 

NECグリーンロケッツにとっては悪夢のような15分間だった。
 神戸製鋼コベルコスティーラーズのキックオフで始まった試合。LO廣澤拓がボールを確保したものの、直後のモールで神戸製鋼の厳しいプレッシャーにさらされる。
 中心にいたのが、身長208センチのLOアンドリース・ベッカーだ。
 モールの真ん中から伸びたベッカーの長い手が、グリーンロケッツがキープするボールにからみつき、ボールを出すことができないまま、モールのパイルアップで神戸製鋼ボールのスクラムとなった。
 神戸製鋼はこのスクラムからアタックを仕掛ける。
 グリーンロケッツも、全員がよく前に出て守ったが、フェイズを10個重ねたところでトライを奪われた。この間3分22秒。グリーンロケッツは、廣澤がボールをキャッチした以外、まったくボールに触れなかった。
 これが悪夢の第1章。
 10分過ぎには自陣深くの相手ボールラインアウトをターンオーバーして、グリーンロケッツが積極的にアタックを仕掛ける。
「神戸製鋼はバックスリー(両WTBとFB)のキック処理が上手い。その反面、キックに備えて下がることが多く、両端にスペースができると分析していたので、ターンオーバーからは積極的に外にボールを動かそうと、チームで意図を共有していた」
 そう振り返ったのはSO森田洋介。
 NO8ジョージ・リサレが力強く前に出てくさびを打ち込み、ボールは左オープンに。森田からCTBマリティノ・ネマニ→FB吉廣広征とつながって吉廣が大きく前進。さらに森田のキックで相手を後退させ、蹴り返しのボールをふたたびカウンターアタック。いいテンポで続いた攻撃は、左サイドにオーバーラップを作りだした。
 ラックから出たボールを持ったSH木村友憲は、隣のWTB松浦康一を飛ばして、さらに外側へと長いパスを放る。
 しかし、そこに神戸製鋼CTB山中亮平が走り込み、ボールをお手玉しながらもインターセプト。そのままゴールポスト真下まで駆け抜けた。
 11分12秒のことだ。
「あのトライが勝負の綾になったのは事実です」と、瀧澤直キャプテン。
「でも、パスを放った木村の責任かというと、そうではない。インターセプトをした山中にしても、一か八かで飛び出したプレーでしょう。“たられば”になりますけど、もしパスが通っていたらトライチャンスになっていたかもしれない。確かに勝負にとっては大きな場面でしたが、それよりも、トライをとられて0―14になった時点で、さらに失点して0―21にならない方法を考えるのがリーダー陣の責任。その点で、僕を含めてリーダー陣が反省すべきです」
 悪夢はこの第2章で終わりにはならなかったのだ。
 続くキックオフ。
 グリーンロケッツは、WTB後藤輝也が快足を飛ばして神戸製鋼に圧力をかけ、SHアンドリュー・エリスのキックをチャージ。神戸製鋼はタッチに逃れる。
 しかし、このラインアウトで球出しが乱れてボールを奪われ、そこから連続攻撃にさらされて3トライ目を奪われた。
 この時点で時計はまだ15分。スコアは0―21だ。



 このまま一方的な展開になるかと思われたが、グリーンロケッツは踏みとどまった。
 支えたのは、「僕たちは、こんな点差をつけられるようなチームではない」(瀧澤キャプテン)という意地だった。
 前半終了間際には、神戸製鋼に攻め込まれて自陣ゴール前で厳しい防御を強いられたが、39分には、フリーキックを自ら仕掛けてトライを狙ったエリスを、廣澤とFL細田佳也が左右からタックルして止め、なおもボールを地面に置こうともがくエリスの正面に後藤が頭から突っ込んでトライを防ぐ。続くスクラムからの攻撃も、懸命にタックルし続けてノックオンを誘い、そこからグリーンロケッツの反撃が始まった。
 相手のノックオンを拾った廣澤が前に出て、途中出場のCTB釜池真道が続く。さらに左へ展開。森田→FL大和田立→CTBアマナキ・サヴィエティ→吉廣とつないで大きくゲイン。ラックから右に釜池がもう一度前進してラック。そして、右に待つ森田がボールを持ったとき、「放れ!」と声が響いた。
 吉廣が森田の左側にいいスピードで走り込んできたのだ。
 森田がとっさにパスを左に放ると、そのまま吉廣が突破。しかし、その周りには戻りの防御が5人いて、グリーンロケッツのサポートは、大外にいる後藤が反応しただけだった。
 吉廣は、とっさに後藤を走らせるべくキックを蹴り、後藤がいいスピードで追いかけたが、ゴールライン方向に転がれば、明らかにスピードで上回る後藤の手に収まるように見えたボールは、無情にも右タッチライン方向に切れて、そこで前半が終了した。
 これでようやく攻撃のリズムを取り戻したグリーンロケッツは、後半立ち上がり早々、吉廣のカウンターアタックを起点に、細田が後藤にいいパスを通してエースを走らせる。しかし、ここは神戸製鋼FBコディ・レイが戻って後藤を倒し、トライを阻む。
 グリーンロケッツが、ようやく一矢を報いたのは12分のことだった。
 後藤がハイパントを見事に捕球したところからアタックに転じ、ラックの脇にいいスピードで走り込んだ細田が大きく突破。サポートした吉廣にラストパスを通して、待望のトライを挙げた。



 その後は、あと1トライを加えて3トライ差をつけ、ボーナスポイントを獲得したい神戸製鋼の怒濤の攻撃を浴びたが、グリーンロケッツも必死に守る。ゴールラインを背負った攻防が延々と続いたが、ついに31分、グリーンロケッツはトライを許した。
 しかし、ここで集中力を切らさないのが、今季のグリーンロケッツだ。
 36分には神戸製鋼ゴール前まで攻め込み、ラインアウトからモールを作る。
 途中出場のNO8アダム・トムソンを起点にできたモールに、吉廣や釜池といったバックスの選手が参加して押し込み、みんなの力に押し出されたように途中出場のPR榎真生がスポンと抜け出してトライを追加。
 トライ数を2―4として、神戸製鋼のボーナスポイントを阻んだ。



 後半の猛攻を耐えたディフェンスについて、ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)は、「いい形でディフェンスをできた」と評価。しかし、「長時間、ディフェンスを強いられたのは反省点でもある」と指摘し、「ハーフタイムに冷静さを取り戻して、自分たちのシステムは全うできたが、神戸製鋼にセットプレーで乱されて、ボールキープの部分ができなかった」と、アタックが散発に終わった部分を課題に挙げた。
 瀧澤キャプテンも、「後半のディフェンスに『まだまだできる』という僕たちの可能性を示すことができた。でも、前半で21点差をどう詰めるかという状況にしてしまったのが一番の反省点です。後手後手になったが故にミスが多く出た。スコアを追う立場になったこと。ミスが多く出たことが敗因です」と、振り返った。
 これでグリーンロケッツは2勝2敗。しかし、得失点差でリコーブラックラムズを上回り、依然としてホワイトカンファレンス3位をキープする。
 これから1週間の休養週(バイウィーク)を挟んで、23日には福岡で宗像サニックスブルースと対戦するが(レベルファイブスタジアム 19時キックオフ)、ラッセルHCは、「バイウィークで開幕戦からの4試合を振り返り、次のサニックス戦に、しっかりと準備して臨みたい」と、照準を合わせる。
「サニックスには昨季負けたので、その借りを返したい」と言うのは森田だ。
 そう。
 昨季シーズン最終戦で24―26と苦杯を喫したサニックスに雪辱を果たせるか。
 グリーンロケッツの挑戦は、つかの間の休養を挟んで、まだまだ続く。




 
 つかんだチャンスは絶対に離さない。
 今季の松浦康一のプレーからは、そんな気迫が伝わってくる。
 開幕節の東芝ブレイブルーパス戦ではメンバー外だったが、吉廣広征が体調を崩した第2節のコカ・コーラレッドスパークス戦では先発FBとしてフル出場。第3節の豊田自動織機シャトルズ戦でも15番を背負い、この試合では前半31分に今季初トライも挙げた。
 そして、吉廣が復帰した今節の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦は11番の左WTBとしてやはりフル出場。トライを挙げる場面こそなかったが、攻守に80分間体を張り続けた。
 ルーキーイヤーだった昨季も、先発で8試合、リザーブで3試合に出場し、4トライを挙げたが、今季のプレーぶりは昨季よりも自信に満ちているように見える。
「去年、11試合に出たことが、今季につながっています。昨季は、何もわからないなかで無我夢中でプレーしていましたが、今季は少し余裕ができた分、外側のプレーヤーからFWに言葉をかけるとか、そういうことの大切さがわかるようになりました。今は、そういうことも意識しています。ただ、外から見ると余裕ができたように見えるかもしれませんが、僕自身はまだ、いっぱいいっぱいの状態でプレーしています(笑)」
 本来のポジションはCTBだが、WTBもFBもこなせるところも松浦の強み。そして、今季は、さまざまなポジションをこなした経験がプレーに生きている。
「FBをやったりCTBをやったりWTBをやったり……というなかで、それぞれのポジションの考え方が少しずつわかるようになりました。今日はWTBでしたから、『たぶん、こうしたらFBがやりやすいのでは』と考えながらプレーしました。自分がFBをやったときに『WTBがこうしてくれたら守りやすい』という思いがあったので、その経験が生きましたね。普段の練習のときから、吉廣さんともコミュニケーションをとるようにしているので、どのポジションをやっても、どうすれば相手を助けられるか少しずつわかってきました」
 結果、プレーから迷いがなくなりつつある。
 たとえ走るコースや判断を間違えたとしても、「大切なのはボールを次につなげることであって、たとえゲインできなくても、ボールを次につなげられれば、それで正解」だと考えられるようになってきたのだ。
 その上で「とにかく試合に出たい」という強い気持ちが、松浦を支えている。
「そのためには、まずディフェンス。自分がタックルしないときにどう動くかもディフェンスだと思うので、そういうところを極めたい。そして、試合に出続けるために自分の良さをどう出すか。いろいろなポジションができることもその1つでしょうし、上手いとか下手に関係なく思い切りプレーする部分もその1つでしょう。今は、そうやって試合に出続けて、とにかく1つでも多く勝ちたい。そう考えています」
 ファンへの一言も、強気のメッセージだ。
「ボールを持ったときは常に『なにかやってやろう!』と思っています。だから、僕がボールを持ったら、そこを見て欲しい」
 その意気や良し。
 今後の松浦の走りに期待しよう!
(取材・文:永田洋光)

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