終盤の猛反撃も及ばず、グリーンロケッツ、サニックスに敗れて10位でシーズンを終える!

info_category1.gif2017/01/14



 2016―17年度トップリーグ最終戦は、NECグリーンロケッツにとって、難しい試合だった。
 前節で12位以上が確定し、入替戦に回る可能性が消えた。かといって、日本選手権出場の条件である3位にはどうやっても届かない。客観的に見れば勝っても負けても何も変わらない“消化試合”と言われても仕方のないゲームだ。
 もちろん選手たちは、宗像サニックスブルースに勝って7勝7敗1引き分けと、成績をまったくの五分に戻してシーズンを終えたい気持ちに燃えていた。開幕から3連敗で始まった今季を締めくくり、来季にいい感触を残すためには、それが最良の終わり方だからだ。
 一方のサニックスには、絶対に負けられない理由があった。
 7日に、ラグビー部を立ち上げて支援してきた宗政伸一社長が急逝。最終戦は、「亡くなった社長が大好きだったランニングラグビーで勝とうと準備をした」(田村衛土キャプテン)と、左腕に喪章を巻いて必勝の意気込みで登場した。
 そうした背景があったところに、試合開始のキックオフで、SO田村優が蹴ったボールは10メートルラインを越えなかった。
 ゲームは、気合い満点の、サニックスのセンタースクラムから始まったのだった。
 そしてフェイズを重ねること7つ。グリーンロケッツの防御を引き裂いて、この試合でトップリーグ100試合出場を達成したCTBロビンズブライスがトライ奪い、コンバージョンも決めていきなり7点を先制した。
 まだ2分が経過したばかりだ。
 グリーンロケッツもすぐに反撃。
 ラインアウトからモールを組んで圧力をかけ、HO川村慎、FL細田佳也、PR瀧澤直キャプテンと、FWで次々と密集サイドを攻め、サニックスの反則を誘って9分に田村がPGを決めた。
 これで3―7だ。
 さらに10分にはFL大和田立が相手ボールをジャッカルしてチャンスを作り、サニックス陣22メートルラインを越えたところでマイボールのラインアウトに。ここでLO廣澤拓が、捕球したボールを走り込んだSH茂野海人に返すサインプレーを見せる。
 しかし、茂野は素早く反応したサニックスPRヘンカス・ファン・ヴィックに倒され、続くラックでオーバー・ザ・トップの反則を取られてチャンスは消えた。
 サニックスは、このペナルティキックを素早く仕掛けて、自陣から反撃。そのまま攻撃を継続して13分にトライを追加。スコアは3―14と開く。
 この日、グリーンロケッツが苦しい戦いを強いられた原因は、グラウンドのなかにもあった。
 瀧澤キャプテンは「スクラムでも、ブレイクダウンでもサニックスに圧力をかけられた」と試合後に苦い表情で振り返ったが、FW戦で劣勢を強いられ、バックスにいいリズムでボールを渡せないのだ。だから、反撃に転じてもサニックスの防御に勢いを与える結果に終わり、それが試合展開を重苦しくさせた。
 待望のトライがようやく生まれたのは22分だった。
 20分過ぎに自陣でサニックスのラインアウトのミスを川村が拾って前進。そこからフェイズを7つ重ね、田村からのロングパスを受けたWTB松浦康一が今季4つめとなるトライを右隅に決めた。強い向かい風のなか、田村が難しい角度からのコンバージョンを決めて10―14だ。
 しかし、29分にサニックスにまたトライを追加され、追撃ムードに乗れない。ハーフタイム直前もサニックス陣内深くに攻め込みながらミスが生じ、10―19と引き離されて前半が終了した。


 
 後半も、立ち上がりから快調に攻めたのはサニックスだった。
 グリーンロケッツは自陣ゴール前に釘付けにされながらも、粘り強くひたすら守る。しかし、8分にスクラムで反則を取られ、そのフリーキックをLOジャック・ポトヒエッターが速攻。その隣に走り込んだロビンスがトライを奪い、コンバージョンも成功して10―26。土俵際に追い込まれた。
 それでも諦めないのが今季のグリーンロケッツだ。
 続くキックオフから攻め込むと、今度はサニックスをゴールラインに追い込んでFWで分厚い攻撃を仕掛ける。
 12分には、ゴール前で得たペナルティキックをタッチに蹴り出してラインアウトを選択。モールを組んでインゴールになだれ込む。
 これはTMOに委ねられ、グラウンディングが確認できないとして5メートルスクラムに戻されたが、このスクラムが反撃の狼煙となった。
 グリーンロケッツの選択肢は、NO8スコット・ヒギンボッサムのサイドアタックに、田村を起点としたバックスの仕掛け、そして右の狭いサイドへ茂野のアタックと、いくつも考えられた。
 バックスはアマナキ・サヴィエティとジョーダン・ペインの両CTBがスクラムとほぼ平行に並び、その手前に、少しスクラムと距離を取って田村と松浦が並ぶ。
 スクラムから茂野がボールを手にしたとき、田村がラインの後ろを回るように外側に走った!
 釣られたサニックスの防御が横に広がる。
 しかし、茂野はそのままフラットなパスをサヴィエティに放り、サヴィエティはすぐに隣のペインにパス。ペインは引き延ばされた防御の真ん中を悠々と走り切ってゴールポスト真下にトライ。田村がコンバージョンを決めて、17―26と9点差に追い上げた。



 時間は14分。逆転するのに十分な時間が残っている。
 反撃は、サニックスの連続攻撃を止めたゴール前のラックでペインがターンオーバーしたところから始まった。グリーンロケッツは右に展開。茂野→松浦→FB吉廣広征とつないで吉廣のキックで相手陣に入る。
 22分にはドロップアウトからカウンターアタックを仕掛け、途中出場のFLジョージ・リサレが突破。内側をサポートしたヒギンボッサムにつなぎ、ヒギンボッサムがオーバーヘッドパスをWTB後藤輝也に放る。このパスはタイミングが合わずにトライにはつながらなかったが、ヒギンボッサムがパスを放った後にタックルに入ったとしてサニックスWTBアンドリュー・エブリンハムがイエローカードを受けてシンビンに。
 反撃ムードのなか、グリーンロケッツは10分間、人数的にも優位に立った。
 24分、続くラインアウトから連続攻撃。吉廣が持ち込んだラックから茂野が左にパスを放り、途中出場のFL権丈太郎→ヒギンボッサムとつながり最後は廣澤がインゴールに飛び込んだ。
 この左隅のトライも、田村がしっかりコンバージョンを決め、スコアは24―26。
 ついに遠かったサニックスの背中を間近にとらえた。
 それから15分は、勝利の2文字をかけて両チームの意地と意地が激突する。
 まず攻撃を仕掛けたのはサニックス。しかし、グリーンロケッツはその攻撃を食い止めるとカウンターアタックで反撃。サニックスのゴール前でペナルティキックを得ると、ラインアウトからモールでトライを狙う。しかし、サニックスの防御にゴールラインを越えられない。
 残り3分となったところで田村が初めてランを見せて防御を突破。吉廣がゴールラインに迫る。さらにラックから松浦が右コーナーに飛び込んだが、2人がかりのタックルに押し出されてドロップアウトに。
 ラスト1分。
 田村のハイパントでいったんボールはサニックスに渡るが、ラックのこぼれ球にLO小野寺優太が鋭く反応。ボールを奪ってラストアタックに転じる。ここで田村がハイタックルを受けて、グリーンロケッツにアドバンテージが出た。
 グリーンロケッツは、なおもトライを目指して攻め続けたが、結局トライは奪えず、ランニングタイムで81分を超えたところで、田村が右タッチライン際からの逆転PGを狙うことになった。
 これまですべてのキックを成功させてきた田村だったが、この最後のキックだけボールはわずかにポストを右にそれて万事休す。
 グリーンロケッツは、2点差をひっくり返せないまま、シーズンを終えた。



「後半は、前半とはまったく違ったゲームになって反撃したが、追いつかなければならない状況で、焦りからか迷いが出て、細かい判断のミスが続いた。ラグビーは、80分間を通してしかるべきときに正しいオプションを選択し続けないと勝てないが、そのためには、今日のようなムラがあってはいけない」と、ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)は、最終戦を白星で締めくくれなかったチームに苦言を呈した。
 瀧澤キャプテンも、ムラが出るところに現在のチーム力が現われているとして、こう総括した。
「確かにサニックスも気持ちの入った素晴らしいディフェンスをしていましたが、前半のように簡単にトライをとられたり、僕たちがチャンスでトライをとりきれなかったりといったムラがあった。そうしたところが、今季の順位に反映している。ただ、今日でシーズンが終わりましたが、来季に向けていい材料もたくさんあった。それを来季につなげていきたいと思います」
 16―17年度のグリーンロケッツは、6勝8敗1引き分け勝ち点30の10位でシーズンを終えた。開幕3連敗から巻き返したものの、その勢いを上位進出へとつなげられなかったシーズンだった。
 この悔いと、今季芽生えた新しい力を検証して、どう来季につなげるか。
 すべては今季の総括にかかっている。
 



――今季を振り返って一言。
 
「ヘッドコーチがピーターさんに替わって、今季はやろうとしてきたことが、ある程度は結果につながりました。その点でポジティブなシーズンだったと思います。もちろん、結果につながったと言っても優勝や上位進出は果たせませんでしたが、勝ち星を積み重ねたり、何年も勝っていなかった神戸製鋼コベルコスティーラーズに勝ったように最終順位が僕たちよりも上のチームにも勝つことができました。シーズンが始まるまえに、ピーター(・ラッセル ヘッドコーチ)さんから自信を取り戻すことと、1つでも多く勝ち星を積み上げることをターゲットすると言われたので、これはポジティブな結果だと言えるでしょう」
 
――チームが、開幕3連敗から立ち直るきっかけになった試合はどの試合ですか。
 
「この試合がきっかけ、とは明確に決められません。もちろん、トヨタ自動車ヴェルブリッツや、神戸製鋼のような強豪に勝ったことで盛り上がりましたが、1つひとつの勝ちにも、1つひとつの負けにも、それぞれ意味がありました」
 
――今季は、若い選手も試合に多く起用されました。
 
「確かにチームの活性化はできたと思います。コーチがピーターさんに替わったこともあって、若手もベテランも関係なく、フラットな目で見て選手を起用してくれました。内容的にも、若い選手たちが自信を持ってプレーし、力を出せた試合は良かったし、来季につながるでしょう。本来なら、もっとメンバーを替えながら戦えばチームがもっと活性化したかもしれませんが、それは来季に目指そうとピーターさんたち首脳陣と話しています」
 
――その反面、最終戦もそうですが、惜しいところで勝てない試合もありました。
 
「勝てるかどうかギリギリ試合を勝ちきれないのはなぜか、原因はそう簡単にはわかりません。ただ、強いチームは、そういう試合を必ず勝っています。それは、これまでにそういうゲームを勝ったかどうかという経験の問題なのかもしれません。その点は、僕を含めてリーダー陣が、勝つ方向にチームを導かないといけなかったのかな、と思っています。これはリーダーが替われば変わる問題かもしれないし、メンバーがいろいろな経験を積むことで変わる問題かもしれません。答えを出すのは容易ではありませんが、根気よく解決に取り組むしかないと思っています」
 
――今季の収穫を挙げてください。
 
「みんなが少しずつでも自信を取り戻したことでしょうね。最終的に順位は10位に終わりましたが、強いチームにも勝つことができたし、自分たちがやるラグビーに自信が持てるようになったのが、一番の収穫だと思います。来季は、年齢や経験にかかわらず、選手たちがそれぞれ正しいと思ったことを発言し、信じていることをやれば強いチームになると思います。逆に、リーダーやベテランが若手にどんどん厳しいことを言うことでも、チームはまた強くなる。そういう競争を激しくしていきたいですね」
 
――最後にファンへメッセージを!
 
「シーズンを通して応援していただいて、本当に感謝しています。今季は、応援グッズにしても応援のコールにしても、プレーを離れたところでチームとしていろいろなチャレンジをしましたが、それが可能になったのも、ファンの皆さまのご協力があったからこそだと思っています。
 僕たちは来季も、今季以上にチームとして結果を残して行く決意でいますし、さらに魅力的なチームでありたいと考えていますので、引き続き、ご支援いただければと思っています。
 本当にありがとうございました!」
(取材・文:永田洋光)
 

 

このレポートの試合

2017-01-08 Honda HEAT ○ 41-21 ●

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