グリーンロケッツ、ホンダを破って10位に浮上。次節に総決算をかける!

info_category1.gif2017/01/10



 新しい年を迎えたNECグリーンロケッツに、8日のHonda HEAT(以下ホンダ)戦を前に朗報が届いた。7日に、コカ・コーラレッドスパークスが豊田自動織機シャトルズを破った結果、グリーンロケッツの12位以上が確定したのだ。
 これで入替戦に回る可能性が完全に消え、何の憂いもなく試合に臨めることになった。
 一方、対戦相手のホンダは、グリーンロケッツに敗れると最下位が確定し、自動降格が決まる。こちらは背水の陣だ。
 つまり、余裕を持って試合に臨めるグリーンロケッツと、何が何でも勝利をつかもうと必死のホンダ、という図式が試合前にできていたのだ。


 
 ホンダのキックオフで始まったゲームも、立ち上がりはスムーズだった。
 グリーンロケッツは、最初のディフェンスで防御ラインを乱さずに圧力をかけ続け、ホンダが苦し紛れに蹴ったボールをWTB竹中祥が捕ってカウンターアタック。できたラックからSH茂野海人がサイドを突破して大きくゲインし、サポートしたLO廣澤拓につなぐ。廣澤はさらにNO8スコット・ヒギンボッサムにボールを託し、FL村田毅がゴールラインに迫る。
 村田はトライ寸前で押し止められたが、ラックからヒギンボッサムが潜り込み、TMO判定にかけられたものの、先制トライを挙げた。
 時間にしてまだ2分。
 SO田村優がコンバージョンを決めて7―0とした。
 9分には、ホンダ陣ゴール前のスクラムからヒギンボッサムが左にサイドアタック。できたラックから右へ展開し、HO川村慎が直進して防御にくさびを打ち込む。さらに右へ攻めたグリーンロケッツは、田村からパスを受けたCTBアマナキ・サヴィエティが力強くインゴールまで走り切って、2つ目のトライを追加した(田村コンバージョン成功)。
 これで14―0。
 さらにグリーンロケッツの攻勢は続く。
 16分にはWTB後藤輝也が防御を突破。サポートした川村がタッチライン沿いを快走してゴールラインに迫る。この場面はトライに至らなかったが、ホンダのゴール前でスクラムのチャンスを得て、FWが奮い立った。
 スクラムを押し込んで反則を誘い、もう一度スクラムを選択。押し切って、ホンダの息の根を止めようというのだ。
 瀧澤直キャプテンが振り返る。
「あの場面は、相手や状況によってはショットでPGを狙い、3点を追加すべき場面かもしれませんが、今季これまで積み重ねてきた練習や、今日の試合でのスクラムの感触を考え、さらには次節、来季への思いも込めてスクラムを選択しました」
 しかし、3度目のスクラムで「足下が滑った」(PR田中光)ところでコラプシングの反則を取られて得点に結びつけられなかった。
 ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)が言う。
「最初の15分は完璧にゲームをコントロールしていたのに、その後でミスやペナルティで相手に息を吹き返らせてしまった。ボールキープとゲームマネジメントにまだ課題がある」
 実際、それからの時間帯は一転してホンダのペースに。
 32分には、ハーフウェイライン付近のラックで、タッチライン際を守っていたCTBジョーダン・ペインが、相手から目を離してレフェリーの方を向いた瞬間に、背後の狭いスペースをホンダWTB本村直樹に走られてトライを奪われ、38分にもゴール前のラックからホンダFLミロデイヴィッドに突破を許して同点に追いつかれた。
 前半終了間際に田村がPGを追加して17―14とリードを保つことはできたが、快勝ムードが暗転してハーフタイムを迎えることになった。


 
 後半。
 グリーンロケッツは、4分にヒギンボッサムが足を痛めてジョージ・リサレと交代。前半にも村田が負傷で権丈太郎と交代しており、依然として嫌な流れが続く。
 しかし、そんな流れを断ち切ったのがリサレの“腕力”だった。
 入った直後の相手ボールのラインアウト。
 防御ラインに入ったリサレは、直進してきたホンダNO8マパカイトロパスカからボールをもぎ取り、ピンチを一転してチャンスに変えた。
 このボールを田村が背後にキックを転がし、追走した後藤が好捕して大きく前進。そこから攻撃を連続し、最後はサヴィエティがインゴールに駆け込んだ。……が、TMOで、サヴィエティへのラストパスの際にグリーンロケッツにオブストラクションがあったと判定されてトライが取り消された。
 それでもグリーンロケッツの士気は衰えなかった。
 ペナルティキック後のラインアウトからしっかりと組織で守り、ホンダのミスを誘ってハーフウェイライン付近でスクラムを得る。
 ボールは田村からサヴィエティへと渡り、田村が大きく外側に回り込む。この田村の動きにホンダ防御が釣られた瞬間に、サヴィエティは近寄ってきたペインにすっと短いパスを差し出した。
 防御のギャップに走り込んだペインは、そのまま約50メートルを独走し、今度こそ正真正銘のトライを記録した。
 さらに続くキックオフのボールを廣澤が高いジャンプでキャッチすると、自陣から果敢に攻撃。フェイズを5つ重ね、田村からいいタイミングでパスを受けた後藤がノーホイッスルでインゴールに飛び込んだ。
 いずれも田村がコンバージョンを決めて、スコアは31―14に。
 しかも、トライ数は4―2だ。あと1つトライを加えてホンダの反撃をノートライに抑えれば、ボーナスポイントも獲得できる。
 しかし、次のキックオフからのアタックでペナルティを取られると、ホンダにラインアウトからトライを奪われて、またもや接戦モードに逆戻り。
 グリーンロケッツは、その後も攻め続けたがトライを奪えない。
 19分にはゴール前のラインアウトからモールを組んでのトライを狙うが、押し込めずに相手ボールのスクラムに。
 2分後には、ラックから田村のパスを受けた川村が、タックルを受けながらもLO小野寺優太にパスを通して小野寺がゴールラインに迫る。このラックで反則を誘うと、ラインアウトを選択して、もう一度モール勝負を挑んだ。が、押し切れず。さらにターンオーバーされて地域を戻された。
 それでも激しいタックルでトライを許さず、39分に田村がPGを追加。
 さらに試合終了を告げるホーンが鳴った後もホンダに自陣に攻め込まれ、ペナルティを連発してピンチを迎えたが、全員が良く戻って守り、最後はホンダが苦し紛れのキック。そのボールが、田村が差し出した足に当たり、転がったところを廣澤が拾って前に出る。



 そして、サポートした小野寺にパス。小野寺は、ハーフウェイラインを越えたところで後方から走り込んできたペインにパスを通し、ペインがそのまま独走。マン・オブ・ザ・マッチを決定づけるトライを挙げて、延々と続いた攻防に終止符を打った。
 快勝ムードで試合に入りながらも、ボーナスポイントも得られず、ホンダに追い上げられた展開を、瀧澤キャプテンはこう振り返る。
「FW戦で後手を踏んだ場面が多かったゲームでした。ブレイクダウンで後手を踏んでホンダにターンオーバーを許したし、スクラムにこだわったところでも、モールでトライを狙ったところでも、トライを取り切れなかった。それが相手に息を吹き返らせる結果につながったと思います。でも、油断という気持ちはなかった。むしろ、次節に向けていい課題ができたと思っています」
 そして、こう付け加えた。
「5ポイントは取れませんでしたが、勝ったことは誇りに思いたい」
 これでグリーンロケッツは6勝7敗1引き分け勝ち点29として10位に浮上。
 次節の宗像サニックスブルース戦(14日 レベルファイブスタジアム 11時30分キックオフ)に勝てば、星を五分にしてシーズンを終えられるだけではなく、最高で8位まで浮上できる可能性が出てきた。
 開幕戦でリコーブラックラムズに敗れて始まった苦しいシーズンを、最後は白星で飾れるか。
 グリーンロケッツは、次節に今季の総決算をかける。





 ジョーダン・ペインは、コミュニケーションが取れるようになって、本来の力が出るようになった――というのがチームメイトの一致するところだ。
 同じCTBの釜池真道が言う。
「もともと足の速さや体の強さは夏合宿のときから際立っていましたが、試合中のコミュニケーションに慣れて、本来の力が発揮されるようになりましたね」
 86年生まれの釜池から見れば、93年3月25日生まれ23歳のペインはかなり年下。だが、「普段の生活でも、ポジション飲み会でも落ち着いているから、年下のような感じがしない(笑)」と話す。
 しかし、ピッチの上では、ボールを持つや、若々しさに溢れた鋭いステップとスペースに走り込む嗅覚で、今季すでに5トライを挙げている。試合に出たのが9試合にもかかわらず、だ。
 ペインが言う。
「最初はどうすればいいのか戸惑って、少し苦しんだ部分がありました。でも、毎週プレーすることで、どういうプレーをすればいいのかわかってきた。だんだん周りの言葉もわかるようになって、プレーが良くなった部分はあるでしょう。特に、ユウ(田村優)が英語でコミュニケーションを取ってくれるのが助かっています」
 活躍の結果はデータに表れている。
 2回の独走トライを挙げたこともあって、ホンダ戦では182メートルという驚異的なゲインを記録。堂々のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれている。いや、ホンダ戦に限らず、途中出場したパナソニックワイルドナイツ戦でも、わずか14分間の出場で、チーム2位の75メートルのゲインを記録し、来日初トライも挙げている。
 ボールを持たせれば、チームを前に出してくれる選手――それが、ペインなのである。
「ボールを持って走ることが何よりも好きです。特にトップリーグでは、相手の大きなディフェンダーを抜いてトライすることが、とても気持ちいい」
 しかも、走るだけではない。
 前節のコカ・コーラレッドスパークス戦では、後半立ち上がりに流れを変えるビッグタックルを決め、試合終了直前にも、抜け出したコカ・コーラの選手を自陣から追走してトライを阻止。
 ピーター・ラッセル ヘッドコーチから「誇りに満ちている素晴らしいプレー」と絶賛された。
 今が旬の選手になりつつあるのだ。
 ペインはこれまでニュージーランドで代表歴がないため、2019年W杯で日本代表になる資格を持つ、「特別枠」の選手。だから、来季もグリーンロケッツのメンバーとなって、実績を積み上げることを熱望している。
「確かに19年に日本代表になる資格があることは理解しています。僕としても、代表に選ばれて、インターナショナルの舞台で活躍したい気持ちは強い。でも、その前に、目の前の1試合1試合に全力を尽くして実績を積むことが何よりも大切でしょう。今の自分の仕事は、トップリーグに集中することだと思っていますから」
 だからこそ、次節の宗像サニックスブルース戦に闘志を燃やす。
 すべては、「シーズン最終戦を白星で飾り、みんなと楽しくお祝いをしたい」からだ。
(取材・文:永田洋光)

 

このレポートの試合

2017-01-08 Honda HEAT ○ 41-21 ●

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