グリーンロケッツ、4トライを奪ってコカ・コーラを圧倒! 勝ち点5を上げて入替戦回避へ前進!

info_category1.gif2016/12/26



 前節でキヤノンイーグルスに敗れて4勝7敗1引き分けとなったNECグリーンロケッツ。
 入替戦を回避して順位を1つでも上に上げるためには、24日のコカ・コーラレッドスパークス戦から残り3試合は、すべて勝たなければならない「Must Win」のゲームだ。
 しかし、コカ・コーラのキックオフで始まったこの試合、2つめのラックでSH茂野海人がキックを蹴ろうとしたところでオブストラクションの反則を取られ、いきなり3点を失う。入りとしては、良くなかった。
 流れを変えたのは、続くキックオフだった。
 SO田村優がふわりと蹴り込んだボールをWTB後藤輝也が全速力で追い、圧力を受けたコカ・コーラWTB石垣航平がノックオン。そのボールがキャプテン瀧澤直にすっぽりと入り、そこから連続攻撃に移る。
「相手の背の高い選手がキャッチするようなボールは競るのが難しいですが、その周辺に蹴ってもらったボールはしっかりと狙っています」と後藤。今季は、キックオフのボールをキャッチしてそのままゴールラインまで駆け抜けたトライも2本記録しているが、こうした圧力が次の展開を有利に導いているのだ。
 その後のグリーンロケッツは、ほとんどの時間を相手陣でプレーすることになる。
 18分には、NO8スコット・ヒギンボッサムがラインアウトで相手ボールを奪ってラックに持ち込み、コカ・コーラの反則を誘う。
 このペナルティキックを、20分に田村が決めてグリーンロケッツは同点に追いついた。
 ただ、グリーンロケッツは、地域的に優位に立ってコカ・コーラに圧力をかけ続けるが、なかなか得点に結びつかない。
 瀧澤キャプテンも、「自分たちのミスで相手に流れを渡した場面が多かった」と反省したが、攻め込んではハンドリングエラーでボールを失い、24分に相手ゴール前のスクラムで相手に押し込まれるなど、あと少しのところで攻撃を仕上げられなかった。
 そんな展開に業を煮やしたように、28分には田村がハーフウェイライン付近から50メートル近いロングDGを狙う。ボールはポストに届かなかったが、その前にコカ・コーラの選手に当たり、グリーンロケッツはそのままゴール前でのラインアウトを得る。
 しかし、ここでもモールを組んでトライを狙ったが、FWでボールをキープできずにターンオーバーされてしまう。
 陣容を立て直したのは、その直後のカウンターアタックから。ハーフウェイライン付近でボールを持ったFB吉廣広征は苦しい態勢で相手に捕まったが、ラックからCTBアマナキ・サヴィエティがボールを持ちだして前に出た。これでもう一度アタックする布陣が整った。
 そして、31分。
 ゴール前のラックでアドバンテージを得たグリーンロケッツは、田村が防御の背後にふわりとしたキックを上げ、「サインプレーではなかったのですが……」と言いながらも後藤が素早く反応。ゴールライン直前でボールをキャッチして、そのままインゴールに飛び込んだ。
 田村がコンバージョンを決めて10―3。
 前半終了間際には、この試合で初めてコカ・コーラに自陣で連続攻撃をゆるしたが、ゴール前でヒギンボッサムが厳しいタックルでターンオーバー。茂野がボールをタッチに蹴り出して、ハーフタイムを迎えた。


  
 後半は、CTBジョーダン・ペインのビッグタックルが流れを呼び込んだ。
 6分、スクラムからアタックを仕掛けたコカ・コーラの動きをじっくり見極め、CTBウィリアム・トゥポウにドンピシャのタイミングで飛び込んで一撃で吹っ飛ばしたのだ。
 これでボールがこぼれ、地域を下げられたコカ・コーラがキックのオフサイドを犯してグリーンロケッツにチャンスが巡ってくる。
 ペインは、タックル直後に顔面を押さえてグラウンドにうずくまり、森田洋介と交代して、脳しんとうを予防するための処置=ヘッドインジャリーアセスメント(HIA)を受けたが、5分で復帰。そのまま攻守に活躍を続けた。
 グリーンロケッツは、ペインの奮闘に応えるように、FWがモールを押し込み、そこから攻撃を連続してFL村田毅がトライを挙げる。田村のコンバージョンも決まって17―3。これで展開が楽になった。
 19分には、ハーフウェイライン付近のラインアウトから一度右を攻め、そこから左へアングルチェンジ。茂野→吉廣→後藤→LO廣澤拓と細かくパスをつなぎ、大外で待っていたHO川村慎が内側に切れ込んで大きくゲイン。一気に22メートルラインを越え、そこからラックを連取して後藤が相手防御のギャップを突破。最後は吉廣にパスを通してトライを追加する。
 24分には、ヒギンボッサムが相手パスを自陣22メートルライン内でインターセプトして攻撃に転じ、田村のキックを追走した後藤が弾んだボールに走り込んでキャッチ。そのままトライかと思われたが、芝生に足を取られて転倒。すぐに起き上がってインゴールにダイブしたが、グラウンディングするところでボールを落としてトライにはならず。
 しかし、コカ・コーラの連続攻撃で自陣に封じ込められていた苦しい時間帯を脱出した。
 そして、27分にはゴール前のラインアウトからモールを組み、途中出場のPR土井貴弘がトライを奪って、ボーナスポイント獲得に大きく前進した。



 終了直前には、抜け出したコカ・コーラ石垣をペインが懸命に追走。必死のタックルで独走トライを防ぎ、ボールをタッチに蹴り出した。
 これをコカ・コーラがクイックスローで入れてトライを狙ったが、ペインがボールを蹴り出した時点で試合終了のホーンが鳴っていて、トライは認められなかった。
 この場面は、ペインが諦めてトライを与えても、グリーンロケッツがボーナスポイントをゲットすることに変わりなかった。しかし、そうした“損得勘定”ではなく、相手に1トライも許さないという気迫を見せた点で、このプレーが試合で一番のハイライトだった。
 ピーター・ラッセル ヘッドコーチ(HC)も、ペインの“意地”を絶賛する。
「今日はディフェンスが際だって良かった。特に、最後のトライを防いだペインのタックルは、誇りに満ちていて、非常に素晴らしかった。展開としては、自分たちのミスで自分たちの首を絞めるようなゲームで完璧とは言えないが、それでも5ポイントを獲得できたことは評価したい」
 もう1つの勝因が、相手ラインアウトの研究だった。
 村田は、「相手がどこに投げてくるか、やってくることがほぼわかっていました」と話したが、相手ボールにプレッシャーをかけ、しばしば奪い取った。マイボールでも、臼井陽亮に代わって今季初めて背番号2をつけて先発した川村が、ミスなくスローイングをこなして、攻守のプラットフォームにした。
 瀧澤キャプテンやラッセルHCが指摘するように、アタックでは一か八かのフィフティ―フィフティ・パスも見られ、ミスが多く出たが、ディフェンスやラインアウトといったゲームの骨格を形作る部分は揺るがなかった。80分間のほとんどを優位に進められたのは、こうした地味なところが安定していたからだ。
 これでグリーンロケッツは、勝ち点を25に伸ばして11位に浮上。13位の豊田自動織機シャトルズに勝ち点で10差をつけ、ほぼ入替戦圏内を脱出した。
 一方で、大混戦の今季は、残り2試合を連勝すれば、8位以内に入る可能性も見えてきた。
 シーズン序盤にもたついたグリーンロケッツが、もたついた分の遅れを取り戻して13年度以来3シーズンぶりとなるトップ8入りを果たせるか。
 新年最初の試合は、8日11時30分に、秩父宮ラグビー場でHonda HEATを迎え撃つ!







 川村慎は今、7シーズン目のトップリーグを楽しんでいる。
 昨季は開幕戦と神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦の2試合続けて先発で出場したが、その後はリザーブに回り、今季もこれまで全試合に出場しながら、背番号はいつも「16」。後半途中から投入されるリザーブ要員だった。
 そして、久しぶりの先発が巡ってきたコカ・コーラレッドスパークス戦。
 前半の立ち上がりこそスクラムで苦しんだが、ラインアウトは終始安定。スクラムも試合のなかで立て直し、勝ち点5の勝利に貢献した。持ち味のアタックでは、後半18分過ぎに左タッチライン沿いを走って大きくゲイン。19分のFB吉廣広征のトライのきっかけを作った。
「先発だからと言って特に意識することはありませんでした。先発であれ、リザーブであれ、いつも試合は特別だと思っている。だから、求められていることをしっかりやろうと臨みました。コーチのデーブ(・ディロン)にも『自分の仕事をしっかりやってくれればいい』と言われました。臼井(陽亮)さんがいない分、セットピースの安定と、自分の持ち味を出すことを心がけましたね」
 そう。これまでのグリーンロケッツは、臼井が背番号2を背負い続けてきた。
 臼井が先発し、川村が臼井に代わって途中から試合に入るのがパターンだったのだ。
 とはいえ、臼井に対して「特別な意識はない」と川村は言う。現在のラグビーが、フロントローは先発と控えの合計6人で80分間フル稼働するシステムになっている以上、2人の間にあるのは相手に勝つために知恵を出し合い、情報を交換する協力関係なのである。
「フロントローは、特にハーフタイムでの情報交換が大切で、相手がどういう組み方をしてくるのかを臼井さんからしっかり聞きながら、後半は相手の様子を見ています。そうした前情報があるから、いざ試合に入ったときに組みやすい。先発は、スクラムを組みながら相手の情報を探り出し、走りながらも対処の方法を考えるからすごく難しいです。
 自分自身に関して言えば、昨季から試合に出る時間が後半20分からになったり、だんだん増えています。それは、試合のなかで僕に投資してくれる時間が増えていることでもある。だから、信頼に応えられるように、自分にできることを1つひとつやっていこうと考えています」
 中堅として感じるチームのムードも、今季は「違う」と川村は言う。試合を経るごとに、チームに経験が少しずつ積み上がり、スタンダードが上がりつつある、と言うのだ。
「プレーのスタンダードを高くしないとトップ4入りは難しい。1つのオーバーにしても、キャリーやパスにしても、できないことができたときにスタンダードがアップするように感じます。
 ただ、現状は1つできても、次の試合でまた戻ってしまう部分がある。サンウルブズに行ったメンバーからは、『いつも当たり前にできるようにしないとダメ』と指摘されています。チームが今、好循環に入った感触があるので、3歩進んで2歩下がるような感じでもいいから、少しずつ積み上げていきたい。この年齢になると、そうした指摘をする役割も、チームで果たさないといけないと考えています」
 今季は残り2試合だ。
 臼井の状態で背番号が2になるのか16になるのかは未定だが、心に決めていることがある。「自分の強みをしっかり出せるようにいい準備をすること」だ。
「今のチームには、茂野海人と田村優という、日本人でナンバーワンのハーフ団がいる。だから、彼らにいいボールを供給できるように、1メートルでも2メートルでもゲインしたい。FWとしての強くて堅いプレーで、一歩でも前に進みたいですね」
 新年最初の秩父宮は、そんな川村に注目だ!
(取材・文:永田洋光)

 

このレポートの試合

2016-12-24 コカ・コーラレッドスパークス ○ 27-3 ●

アーカイブ