浅野良太選手、帰国インタビュー 「土壇場での信用の大切さを学んできました」
2009/11/10

トップリーグ前半戦を1勝6敗の不本意な成績で終えたNECグリーンロケッツに救世主復活!
今年春からニュージーランドにラグビー修行に出ていた浅野良太選手が10月末に帰国。後半戦からチームに合流する。ニュージーランドでは、国内選手権(以下NPC)を戦う地域代表チームカウンティーズ・マヌカウのメンバーに選ばれ、7試合に出場して現地の専門誌『ラグビーニュース』誌でも活躍する“外国人選手”として大きく取り上げられた。
不振に喘ぐチームに合流して、後半戦をどう戦うか。ニュージーランドでの経験と、そこから得た教訓を聞いた。
■なぜニュージーランドに行ったのか
ニュージーランドに行きたいという思いは、ここ2年ほどずっと抱いてきたのですが、今年は先方からのオファーもあって、実現できました。
海外でプレーしたいと考えたのは、自分自身の目標として2011年にニュージーランドで行われるW杯に日本代表として出場したい気持ちがある。そのために何をしないといけないかを考えたときに、新しい環境で違う自分を引き出して成長する必要性を感じたんです。
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■クラブチームからのチャレンジ
ニュージーランドでは、NPCのカウンティーズ・マヌカウというチームでプレーしたのですが、そこに選ばれるために、開幕前に向こうに行って現地のクラブチームでプレーしました。週2回はカウンティーズの候補選手が集められて練習をする機会があるのですが、実際の試合は週末に行われるクラブの試合だけ。つまり、カウンティーズの練習をしているメンバーが、週末になると各々のクラブに散らばって試合をして、プレーの様子をスタッフが見に来る。それがメンバー選考を兼ねていた。そうやって、カウンティーズに選ばれたわけです。
■日本のラグビーとの比較
たとえばラインアウトの緻密さは日本の方が上だと思いました。一方で、当たりの強さはやはり向こうが上回っている。僕自身は、サイズは別にして、コンタクトの強さでは通用すると思っていたし、実際に大きな相手と戦っても今まで身につけたスキルで十分に対処できた。これまで教わったラグビーが間違っていなかったことを確信しました。
NPCのゲームには現役の代表選手が出場することもあるし、未来のオールブラックスを担うような若手も出場する。僕自身の目標である11年のW杯では、日本は(アジア予選を通過して出場権を獲得すれば)オールブラックスと戦うことになるから、そういうことを意識しながらプレーしましたが、「こいつらにはかなわない」みたいな気持ちには一度もなりませんでした。
むしろフィジカル的な部分が一人ひとり強くなれば、組織としては日本の方が長けている部分もあるから十分に対抗できるんじゃないかという手応えを得ました。というか、自分自身で見て、プレーを体験して対抗できると確信できましたね。
■通用したプレー
タックルとジャッカルはさらに自信をつけることができました。リザーブから途中出場して、短い時間でターンオーバーを2回やったこともありました。
勉強になったのは、アタックに関してでしたね。今まで教わっていないようなアタックの入り方を細かく教えられました。たとえば、ボールを目で追わずに相手の陣形を見て、最後にパスをもらうときだけボールを見る──というようなこと基本的なことですが、非常に新鮮でした。
■ニュージーランド・ラグビーの特徴
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強く感じたのは、ボールを持った人間の、欲の強さでした。
たとえばボールを一番外側のWTBまで回そうとすると、日本ではとにかくパスを回すことを考えますが、ニュージーランドではそう決まっていても、みんながボールを持った瞬間に何かしてやろうと考えている。サポートするプレーヤーも、欲の強い選手が何かアクションを起こすことを前提にして動く。僕も、欲を出さないと目立たないし潰されてしまうので、そういう点にこだわりました。残念ながらトライはできませんでしたけど(笑)。
こういう執着心はディフェンスの場面でも強くて、それがゴール前のピンチを必死に戻って守る危機意識の高さに結びついている。ゴール前でトライなのかレフェリーが判定に苦しむ場面がけっこうありましたけど、それも執着心の強さの表れでしょうね。
■ニュージーランドで学んだこと
これはカウンティーズ・マヌカウだけの特徴かもしれませんが、ディフェンスのときにタックルしてから起きあがって次のポイントに向かうときに、戻るスピードと、相手を見ながら戻ることをとてもうるさくチェックされました。
向こうに行った当初、僕はこれまでやっていた通りにボールを見ながら戻るようにプレーしていたのですが、ものすごく怒られた。一度まっすぐ下がって相手の態勢を見てから次の状況に向かえ、というわけです。ただ、これは今シーズンのNECにも取り入れられていて、帰国して合流した練習で同じことをやっていたので、逆に安心しました(笑)。
環境を変えることで新しい知識や経験を得られると思ったからこそニュージーランドに行ったわけですが、いろいろな面で知識や経験が増えた。決断して良かったと思います。自分のプレーが通用する手応えも得られたし、収穫は多かったですね。
僕は、ボンベイという田舎町にホームステイしていたのですが、その家の食事が美味しくて、そこから僕のニュージーランド生活がすべて上手くいったように思います。家族の人柄もすごく良くて、適度な距離を保って接してくれたのでとても快適でした。
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ニュージーランドではNECスポーツのホームページで試合の様子をつかむぐらいしか情報がなくて、チームが1勝6敗という成績は知っていましたが、映像を見ていなかったので、とても心配でしたが何をどう心配していいのかわからなかった。
だから、チームに合流して、みんながいい意味で落ち込んでいないことがわかってホッとしました。後半戦は「やってやろう!」という空気が感じられたので、僕がそこにいいインパクトを与えて起爆剤になれれば、と思います。グラウンドの内外でみんなのやる気に、さらに刺激を与えることができればいいですね。
■信用することの大切さ
僕がニュージーランドで所属していたカウンティーズも、競り合ったゲームがけっこう多くて、それこそ終盤にトライを奪われて逆転負けしたこともあった。そういうときに、向こうのスタッフから言われたのが、「信用すること」の大切さでした。
組織防御も、1対1のディフェンスも、コミュニケーションも、すべては信用が基礎になっている。チームメイトに信用してもらえるように1対1のディフェンスを練習し、試合では1対1で必ず止めてくれると仲間を信用することで、組織防御が機能する。でも、誰かが規律を乱したり、信用を裏切ると、そこから防御が破綻する。
自分がこれまでやってきたことを試合のどんな局面でも忠実に実行する我慢強さが、そういう信用を形作っていくと僕は思うので、NECでも同じように我慢強くみんなを信用し、自分もみんなから信用されるプレーを心がけていきたいと思います。
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ニュージーランドから帰ってきても、練習は春先から一貫した内容を続けているし、やっていることは決して悪くない。あとは、みんながお互いを信用し合って、チームでやろうとしていることを忠実に実行することだけでしょう。それで結果が出れば自信が出るし、そういうちょっとしたことでチームはガラッと変わる。もちろん、そのちょっとしたことが難しいのは理解していますが、今の僕はチームに合流したばかりなので客観的な見方でいろいろなことを指摘できる。そこで、みんなの信用や信頼を深めるようなアドバイスをしていきたいと思います。
取材:永田 洋光










