
自縄自縛。
そんな言葉が浮かんだ。
ミスをしてはいけない……。
反則をしてはいけない……。
プラン通りにプレーを進めなければいけない……。
追加点を取らないといけない……。
逆転しないといけない……。
80分間の試合時間の大半が過ぎて電光掲示の時間が40へと近づくにつれ、NECグリーンロケッツの選手たちの背中には、そんな「しなければいけない……」という重苦しいオーラが張りついていた。
焦りと苛立ち。
肩には余計な力が入って、我孫子のグラウンドでは普通にできたことができなくなってしまう。そして、考えられないようなミスが起こって、それがチームに負の連鎖反応を呼び起こす。
グリーンロケッツ13-18コカ・コーラウエストレッドスパークス。
信じられないような敗戦は、相手の力よりも、自分たちの心のなかにあるプレッシャーが敗因だった。
立ち上がりは最高に近いスタートだった。
キックオフをキャッチミスして、いきなりコカ・コーラに攻められたが、自陣のラックでターンオーバー。ボールを奪った瞬間に走り込んだWTB窪田幸一郎が抜け出して独走状態となる。左にはFB吉廣広征がサポートして、絶好のトライチャンス。しかし、窪田が最後の1対1を抜き去ろうとして捕まり、トライには至らなかった。
それでも45秒間の攻防でグリーンロケッツの「攻める」意志は十分に伝わったし、実際にゲームの大半が敵陣で進んだ。
11分。SOヤコ・ファン・デル・ヴェストハイゼンがハーフウェイ・ライン付近から長い距離のPGを狙う。ボールはわずかにポストを逸れてドロップアウトとなったが、チャンスはまだまだ続く。
コカ・コーラが、ゲーム再開のドロップキックを直接タッチに蹴り出すミスを犯して、22メートルライン上中央でのNECボールのスクラムとなった。
グリーンロケッツは、このスクラムから右へSH西田創を走らせて連続攻撃に持ち込む。
ラックを2つ連取したあとで今度は広い左側のスペースへ展開。CTBブライス・ロビンスがタテに切れ込んで防御を集め、そこから出たボールをHO臼井陽亮がインゴールに持ち込んだ。
ヤコがゴールを決めて7-0。
ミスも散見したが、それを上回る勢いが感じられた立ち上がりだった。
17分にコカ・コーラがPGを返して7-3となってからも、グリーンロケッツは攻めた。
しかし、度重なるミスで追加点を奪えず、コカ・コーラの逆襲を食らう。
グリーンロケッツは守りへの切り替えも早く、得意のブレイクダウン(密集でのボール争奪戦)で奮闘してコカ・コーラの反則を誘うが、そこからの反撃でミスが生じてまたコカ・コーラにボールを渡してしまうのだ。
時間の経過とともに両チームとも組織的なアタックではなく、偶発的なチャンスから攻撃に転じる場面が増え、それが、目まぐるしくボールは動くがスコアボードは7-3からまったく動かないゲーム展開を生んだ。
防御が安定している分、グリーンロケッツの優位は動かなかったが、追加点を奪えない苛立ちが次第にチームに蓄積していく。
前半終了間際、相手のキックがプレッシャーをかけに行ったロビンスの胸にスッポリと入り、そこからビッグチャンスが生まれる。しかし、ゴールラインを目の前にしながらラックを連取してもトライは生まれず、最後はパスミスで相手にボールを渡してしまう。
こんなはずでは……という戸惑いを残したまま試合はハーフタイムに突入した。
後半も立ち上がりはグリーンロケッツのペース。
3分には窪田をサポートしたFL安田知生が好走。その安田にコカ・コーラが危険なタックルを見舞って、グリーンロケッツが好位置でペナルティキックを得た。
グリーンロケッツはこのPKからゴールを狙わずにラインアウトを選択し、トライを取りに行く。
しかし、ここでサインミスから相手にボールを奪われ、得点には至らない。
そこから数分間にわたって、両チームがターンオーバーから攻め合うが、どちらも決定的なチャンスを作れずに終わる。
13分にグリーンロケッツがヤコのPGで3点を追加して、ようやくスコアボードが動いた。
試合の流れが変わったのはその3分後。
相手キックをキャッチしようとした吉廣と西田が交錯して転がったボールをコカ・コーラに奪われ、それをトライに結びつけられた。ゴールが決まらず10-8。
グリーンロケッツは、このトライで目が覚めたのか、続くキックオフから相手陣に攻め込んでチャンスを作る。
ターンオーバーで獲得したボールから連続攻撃に持ち込み、ゴール前のラックからWTB首藤甲子郎にボールが渡る。ケガからの復帰戦となった首藤がそのまま突進してもトライになりそうな場面だったが、首藤は大事を取って大外にロングパスを放る。
しかし、パスが通らずにタッチラインを割ってしまう。
さらにグリーンロケッツは波状攻撃を仕掛けたが、次第にサポートの数が減って密集で反則を取られ、結局無得点のまま。
対照的にコカ・コーラは、グリーンロケッツのゴール前で得たラインアウトのチャンスに、スムーズにトライを奪って逆転(ゴール成功)。さらに38分にもPGを加えて勝利を不動の物にした。
何とかトライを奪おうと反撃したグリーンロケッツだったが、試合終了を告げるブザーが鳴り響いた時点でボールはハーフウェイ・ライン上。ペナルティキックをもらったグリーンロケッツは、7点差以内負けのボーナスポイントを確保するためにPGを狙わざるを得なかった。
ヤコが長い距離のPGを決めてスコアは13-18。
立ち上がり攻勢を有効に得点に結びつけられなかったグリーンロケッツにすれば、自滅以外に考えられない敗戦だった。
試合後、岡村要ヘッドコーチは言った。
「今日は相手のプレッシャーが云々よりも、自分たちで自らプレッシャーをかけてそれに負けた。自滅です」
今、グリーンロケッツに必要なことは、もう一度頭を整理して自信を取り戻すこと。焦りと苛立ちがチームの歯車を狂わせていることを、冷静に検証する必要があるだろう。
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敗因はたくさんあります。 でも、それはみんな自分のチームのこと。コンタクト・エリア(タックルが起こった地域周辺)での弱さ、リアクションの遅さ、ミスの多さ……今日は、コカ・コーラが勝ったのではなく、NECが負けた試合だったと言えるでしょう。 先週(の神戸製鋼戦)はミスもあったけど、ゲーム・コントロールもできていたし、ようやくチームが復調へのスタートラインに立った印象を持ちました。それが、今週はまた元に戻ってしまった。選手はみんな高いレベルにいるのに、誰も自分のトップのパフォーマンスを出せていない。もっと戦う姿勢を持たないとダメでしょう。
来週の近鉄戦まで、もう一度チーム・スローガンの「B・S・G」、つまり、血と汗を流して栄光をつかむという原点に返って練習する。それが、再建の方法です。 とにかく自分たちが持つ力を最大限に発揮すること。そこに尽きます。 でも……今日は本当に「シンジラレナイ」試合でした。 |
取材・文:永田 洋光/写真:加守 理祐
前半13分にHO臼井陽亮が先制トライを挙げ、SOヤコ・ファンデルヴェストハイゼンのゴールで7-0とリード。コカ・コーラに1PGを返されたものの、終始ボールをキープして攻め続けた。ただ、攻めても攻めても入らない追加点。7点から動かないスコアに不安が募る。
後半13分にヤコがPGを追加して、スコアはやっと10-3に広がったが、再三のチャンスをミスで逸してトライを奪えない。対照的にコカ・コーラは、グリーンロケッツのミスをついて16分にトライを返して2点差に詰め寄り、26分にはラインアウトからトライを奪ってついにグリーンロケッツを逆転。さらにPGも追加してスコアを8点差にまで広げた。
このままでは勝ち点ゼロに終わるグリーンロケッツは、試合終了直前にヤコがPGを決めて3点を追加。なんとか7点差以内負けのボーナス・ポイントだけは確保して試合を終えた。
「NECは、コカ・コーラからかけられた以上のプレッシャーを、ミスで自らかけてしまった」と、試合後、岡村要ヘッドコーチは唇を噛んだ。