今にも雨が落ちてきそうな空も、なんとか持ちこたえた。
森田健作千葉県知事のキックオフ・セレモニーが終わって、NECグリーンロケッツと東芝ブレイブルーパスの選手が配置につき、試合開始の笛を待つ。
ともに前週の開幕戦に敗れたチーム同士は、今季初勝利を目指してキックオフから激しくぶつかり合った。
立ち上がりはグリーンロケッツが見せ場を作った。
3分に中央付近のラインアウトからSH西田創がハイパント。これを左WTB大東功一が追走して東芝のノックオンを誘い、東芝ゴールまで15メートルの好位置でスクラムを得た。
ここからグリーンロケッツは連続攻撃に持ち込んで反則を誘い、東芝ゴール前のラインアウトに持ち込む。
今シーズンから適用される新ルールでは、昨シーズン試験的に採用された「モールを引き倒して守ってもいい」という条項が削除されたため、モールからのトライを狙いやすい。グリーンロケッツにすれば、願ってもない先制のチャンスだ。
ラインアウトを確保したグリーンロケッツはしっかりとモールを組んで押し込み、じわりじわりと前進する。そして、FLニリ・ラトゥが突進したが、東芝の厚い防御に阻まれて落球。前週に続いてニリの先制トライとはならなかった。
なおも東芝陣で試合を進めたグリーンロケッツは、9分にSO安藤栄次がほぼ正面のDGを蹴り込んで3点を先制。キックオフ直後からの攻撃をスコアで締めくくった。
東芝は、序盤は昨シーズンにトップリーグ・デビューを果たしたSOデイビッド・ヒルのキックで地域を獲り、手堅く戦ってくる──というのが、グリーンロケッツ側の読みだったが、ゲームのなかでの駆け引きでその裏をかき、グリーンロケッツの防御に穴をあける。
10分過ぎには、ヒルの右隣に狭いサイドからWTB廣瀬俊朗が走り込んで大きくゲイン。グリーンロケッツをゴール前へと押し下げて、モール攻撃に持ち込む。
東芝のモールの圧力に押されたグリーンロケッツが、コラプシング(モールを崩す行為)の反則を犯すと、PGを狙わずにタッチへボールを蹴り出し、ふたたびラインアウトからモールに持ち込んだ。
そして、13分にNO8石澤健太郎がトライを奪って逆転(ゴール成功)。
グリーンロケッツは直後のキックオフで東芝の反則を誘って、安藤がPGを決め、1点差に追い上げたが、その辺りからじわじわと東芝がいろいろな局面で優位に立ち始めた。
試合後、東芝の廣瀬キャプテンはこう言った。
「序盤でNECがキックに強い防御陣形を敷いていたので、カウンター・アタックをしようと話し合った。前半にPGを狙わなかったのも、チームに“攻めるんだ”という意思表示をするためでした」
グリーンロケッツにとって痛かったのは、1点差に追い上げた直後のキックオフでミスを連発。東芝陣に攻め込むどころか、自陣22メートルラインでの相手ボールのラインアウトという苦しい状況に追い込まれたことだ。
東芝はトライにこだわってPKをラインアウトにして攻め立て、21分にもモールからトライを加えてグリーンロケッツを突き放しにかかる。
開幕前に「東芝のFWと激しくやり合うのを選手はみんな楽しみにしている」と熊谷皇紀キャプテンが話していたが、グリーンロケッツが本領を発揮して密集戦で東芝の反則を誘い、反撃に転じたのは28分。
PKをタッチに蹴り出してのラインアウトでミスが起こりかけたが、FLセミシ・サウカワが上手くカバーしてHO網野正大につなぎラック。いいタイミングでボールが出る。しかし、途中出場のSH藤戸恭平のパスを受けたニリがノックオン。そのボールを東芝CTBナタニエラ・オトに切り返されて、チャンスは一転してピンチに変わる。
今度はグリーンロケッツのCTB釜池真道とFBブライス・ロビンスが懸命に戻ってオトを倒してターンオーバー。
その後も攻守がたびたび入れ替わる展開で、3500人の観客を沸かせたが、グリーンロケッツはラストパスがつながらず、得点を6点から積み上げることができない。
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そんな流れは後半に入っても変わらなかった。
グリーンロケッツは6分にCTB櫻谷勉が、東芝ヒルのキックをチャージ。こぼれ球にプライスが反応してゴール前に迫る。そうして得たラインアウトで、藤戸がパスアウトしようとしたところで、谷口かずひとレフェリーと接触しそうになり、パスが乱れてチャンスを活かせない。
10分には東芝のアタックを粘り強く止め、ボールをターンオーバーしたものの、その後のキックから東芝にカウンター・アタックを仕掛けられてまたもやピンチに。トライはなんとか防いだが、オフサイドをとられてヒルに3点を加えられた。
似たような展開で、お互いにターンオーバーから積極的に攻撃を仕掛けるが、一つひとつの攻撃でゲインする距離が東芝の方が大きく、グリーンロケッツは辛いガマンを強いられる。
そして、後半20分。
グリーンロケッツの落球を拾った東芝は、自陣ゴール前からカウンター・アタックを仕掛け、湧き出るようなサポートでボールをつないで、FB立川剛士がトライ。ヒルがゴールを決めて、ここで勝負を決めた。
「後半20分までは自分たちのラグビーができたけど、最後の20分で足が止まった」と振り返ったのは、熊谷キャプテン。岡村要ヘッドコーチは、「王者・東芝を相手に、あれだけミスを重ねたら勝てない」と、頻出したハンドリング・エラーを悔いた。
結局のところ、敗因はミスの多さに尽きた。
相手キックオフへの対応。攻め込んでゴールラインが見えたところでの落球。苦労に苦労を重ねてようやく到達した相手ゴール前で単純なミスが起こり、それを東芝に一気に切り返される。こんな展開を、立ち上がりから60分も続ければ、最後に足が止まるのも無理はない。
「トライがなかなか獲れない」というのが、昨シーズンからのグリーンロケッツの課題だったが、この試合では、相手防御を突破する「ラインブレイク」もほとんど見られなかった。
終了直前に安藤がセミシに短くフラットなパスを出してセミシが突破したのが、唯一のきれいなラインブレイクだったが、それをスローフォワードと判定されて試合が終わってしまったところに、この試合のもやもやとした不完全燃焼感が集約されていた。
開幕から連敗と厳しいスタートとなったグリーンロケッツは、次週は秩父宮ラグビー場で、昨年度の日本選手権で敗れた因縁の相手リコーブラックラムズと対戦する。
元オーストラリア代表SOスティーブン・ラーカムが絶好調のリコーは、今節三洋電機ワイルドナイツに敗れはしたものの22─44と食い下がるなど、侮れない相手。しかし、日本選手権1点差負けの借りを返しての今季初勝利というシナリオは、グリーンロケッツの面々を、いやが上にも高ぶらせてくれるはずだ。
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今日はみんな激しいプレーができていたね。そこが先週と違って、いいところだった。 敗因は個人のミステイクに尽きる。キックで陣地を獲れなかったし、チャンスにボールを落として相手に奪われてしまう。今日は何回ミスからターンオーバーされたのかな……個人的な印象では20回から25回はそういう場面があったと思う。 ミスが起こったときのリアクションも良くなかったね。 だから、敗因は単純でミスが多かったこと。そして、次のリコー戦に向けての課題も単純で、ミスをしないこと。ね、ラグビーはシンプルでしょ?
東芝は個々に強い選手が再三突破していたけど、NECはスターがいない。だから、15人が力を合わせることが一番大事だね。 そういう意味では、これからの練習が大切だと思う。キャッチ、パス、キック。そういった単純なことを練習してミスを減らす。そして、ちょっとハード・トレーニングかな。 今日の試合で良かった選手は、個人ではなくてFWの8人だね。 スクラムもラインアウトも良かったし、激しくいく気持ちも表に出ていた。 トップリーグはどのチームも強いから、試合前の準備がとにかく大事。だから、来週も厳しく練習して、激しく試合に臨みます。 |
取材・文:永田 洋光/写真:築田 純(アフロスポーツ)
ホームグラウンドの声援を受けて前半立ち上がりから攻め込んだグリーンロケッツは、9分にSO安藤栄次がDGを決めて先制。前週同様に先手を取った。
しかし、東芝は13分にモールを押し込んでトライを奪って逆転。安藤のPGで追いすがるグリーンロケッツを、ふたたびモールからのトライで突き放して、前半をリードして折り返した。
後半は、グリーンロケッツが粘り強い防御で東芝の猛攻をしのぎ、12分にPGを加えられたものの、食い下がった。
勝負の分かれ目は20分。
グリーンロケッツが必死の防御でボールを奪い、陣地を取り返そうと蹴ったキックに東芝が反応。カウンター・アタックからFB立川剛士がトライを奪って、勝負を決めた。
終盤にグリーンロケッツは猛反撃を見せたが、最後のプレーが惜しくもスロー・フォワード。後半を完封されて、前週に続き連敗した。
グリーンロケッツは、次週19日(土)にリコーブラックラムズと秩父宮ラグビー場で対戦する。